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行き先は不明
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しおりを挟む「君は一人でも生きていけるよ」
そんな言葉が彼からの最後の言葉だった。
正直『何だそれ? 』って思ったし、だからって私が振られる理由として正当だ
とはとても思えなかったのは確かだった。
「彼女には僕が居ないとダメなんだ」
なかなかにおもしろく、興味深い事を言うなと彼の言葉に少し関心してしまった
が、一人で生きていけない奴なんてただの欠陥品でしかないでしょ? って私は
思うけど間違っているのだろうか?
そもそもそんなのの一体何が良いというのだろうか? 庇護欲がかきたてられた
のかは知らないけれど、どう考えたってその女からは地雷臭がプンプンしている
のだがそれでもその女を彼は選ぶという馬鹿げだ選択をしたのだ。
まったく、世の中がおかしくなっているのではないかと疑いたい気分だった。
「だから彼女と生きて行く事に決めたんだ」
そもそも彼は自分の事をどう認識しているのだろうか?
自分が一人では生きていけない人間だと認識しているつもりなのだろうが、
でもそれってどういう事か彼が分かっているとは到底思えないのだ。
まるで一人では生きていけない奴は集まったら生きていけるようになるみたいに
言っているがそんな訳がないだろうし、そこの根拠がよく分からない。どうして
出来ないもの同士が集まれば出来るようになるのか? マイナスとマイナスを足
しても決してプラスになんてならないというのにどういう計算式なんだろう?
もしかして出来ない者同士が集まれば掛け算にでもなるというのだろうか?
それはとても凄い事だと思うし、とてつもない発見だとは思うけど……
あり得ないからそんな事。どうしてそんな事すらも理解出来ないぐらいに馬鹿に
なってしまったのだろうか? だんだん彼の事が残念な人に見えてきたから、
これ以上自分の思い出を汚さない為にも私は了承するべきだという結論に達した。
「ええ、分かったわ。そこまで言うのであれば仕方がないわね、別れましょう。
婚約を破棄する事を私は認めます」
それで全てが丸く収まったと思ったのだ。
だってそうじゃない? 彼の願いを聞きいれてあげたのだ、これ以上何を求める
必要があるというのだろうか?
「そうか、ありがとう分かってくれて。そこで一つ頼みたいのだが、君の方から別
れた事にしてはくれないだろうか? 」
「どうして? 」
「だって彼女が気にするだろ? 自分の為に婚約破棄したなんて事をこれからも
背負って生きて行くなんて彼女には耐えられないと思うんだよ。彼女はとても
繊細で優しい子なんだ」
そんな事、知った事ではないのだが?
そもそもこの状況でどうしてそんな事を平気な顔で言えるのかが理解出来ない
のだ私は。だってそこに本人が居るじゃないか! そんな事で傷つくようなタマ
じゃあないだろうし、寧ろ背負って生きて行けよとさえ思ったら
私の中で何かが弾けた。
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