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帰り道
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しおりを挟む「アンタには悪い事をしたと思っているわ。それは全部私の教育が足りなかった
所為だから謝ります、ごめんなさい。でもここからはアナタが決める事だから
私には何の責任もないし、何があったって私はアナタを助ける事はないから
それだけは分かっておいて欲しい」
女将さんはそう前置きをしてから話し出した。
「花嫁探しの事は知ってるわよね? 」
「はい、一応は」
当然のその話はみんながしていたから知っている。ここにも貴族が泊まるので
その情報は知っておくべき事だったのだ。
「どう思った? 」
「どうって言われても」
何って答えるべきか私は言い淀む。
「受け入れられるかどうかって話よ」
「それはまあ、仕事ですし。私が何か言えるような事では」
所詮は他人事である。
他の家の事情など私には関係がないし、ましてやお貴族様の話である。
世界が違い過ぎる。
「そう、ならアンタには結婚は無理よ。あれを他人事だと思っている時点でね」
「え? それはどういう」
「ここではあの考え方が一般的なのよ。つまりは必ず側室がいる。その状況でも
アンタは息子と一緒に居られる? 無理でしょ? 」
貴族がやっている事を真似るというのが王都では当然の事で、そうする事が
正しいとされていた。だから当然のようにそれがまかり通るのである。そもそも
王都の住民にとってはそれが当たり前なのだ。だから私のように嫌悪感を抱く
事がおかしい。
「でも彼は違う」
「違わないわよ、あの子はここで育ったのだから。それにアンタ、今あの子が何処
に居るのかしっているの? あの子はあれから何度アンタに会いに来た? 」
違う違う。そんな事が聞きたかった訳じゃない。
余計な事など考えなければいいのだ。私はただ彼と結婚したかっただけで、
私達には輝かしい未来が待っているはずだったのに、
なのにどうしてこうなった?
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