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エクストラステージ
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しおりを挟む私にとってそれは予想を遥かに超えていた。
「決めたぞ、私はコリジアス・ミラルルと婚姻を結ぶ」
シルジーダ王太子がそう発言したとき私は彼が何を言っているのかが理解出来な
かったのだ、それが側仕えとしては失格である事は重々に理解しているがそれで
もそんなあり得ない事を言われて反応出来る者がそうそう居るとも思えない。
「王子、それはどういう……」
「ん? どうしたソルデリス、らしくないな。早く準備に取り掛かれ」
それがいつもの事ならば私だってすぐに行動に移す事は出来たが、これはそんな
簡単な話ではないのだ。王族の結婚がそんなに簡単に決められる訳がないし、
そもそも婚約者であるヒラズリル様にどう説明をするというのかが私には分から
ない。
「王子、それは難しいかと存じますが……」
だから止めたのだ。当然意見するべきはするのが正しい私の在り方だと思って
いる。例え王子を怒らせたとしてもこれは止めるべきだと判断した。私の判断は
間違っていないはずだ。
「何故だ? 」
王子は怒る訳ではなく、寧ろ私がおかしな事を言い出したと思っている様子だ。
「王子、そう簡単に王族の結婚相手を変える事は出来ません。ヒラズリル様との
婚約は王がお決めになった事ですから尚更王子の意見で変えられるものではない
のです。そもそもどうしてそんな何処の馬の骨かも分からないような者との
結婚など認められるはずがありません」
「何を言っているんだソルデリス。コリジアス・ミラルルは同じ学生ではないか。
そもそもお前は彼女を褒めていたではないか。それなのにお前は意見を変えると
いうのか? 」
確かに私は彼女を褒めた。でもそれは彼女が平民の割にはという意味であったし
そもそも私個人の趣味嗜好を大いに追加した結果の発言だったのだアレは。
だからそんな偏った意見を元に王族が影響されるなんて事があってはいけないし
何よりも私が困ってしまう。だから絶対にこれは阻止するのだ。
「確かに私は褒めましたがそれは平民の割にという部分が大きいのです。ですから
王族と関わるなんて事があってはならないのです。あくまで学生だから関われた
というだけです」
「ふむ、なるほどな。それならば尚更だ。これは運命という奴だ」
何処でどうなればそういう考えに行きつくのだ?
「これはもう決定事項だ。いいなソルデリス。私は必ずコリジアス・ミラルルと
婚姻を結ぶぞ」
動き出してしまったものを止める事など私には出来ない。
私にはそんな力がないのだから、せめて彼女にだけは幸せになって欲しいと
思ったのは全ての原因が私にあると自覚しているから。
「この女狐が! 」
それは不幸な出来事だった。
ヒラズリル様自らコリジアス・ミラルルへと刃物を向けたのはきっと侯爵令嬢と
してのプライドが傷つけられたからだろうが、その悪意は私に向けられるべき
なのだ。私が全ての元凶なのだから、身を挺して全てを受け入れた。
良かった貴女を守れて、良かった最後に貴女のその顔が見られて。
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