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ビルダヴ家の掟
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しおりを挟むずっとそうやって育って来た。
それが当たり前なのだと思っていた。
だから親父を倒した時は嬉しかったのだ。
あの時の感情は何と言えばいいのだろうか?
今までのすべての押さえつけられていたものが一気に解放される感覚はもう
天にも昇る思いだった。
でも少しだけ、ほんの少しだけ寂しかった。
あの強かった親父が負ける姿など想像もしていなかったし、想像したくも無かっ
たのだという事に気付いたのだ。
我が家には母親は居なかった。
そんな中で親父がどうにこうにか男手ひとつで俺達を育てるのに、掟はとても
有効だった。いろんな思いもしたけれど、それでも納得出来たのだ。
だから俺は親父に感謝しているのだ。
結婚して離婚した俺を迎え入れてくれた親父。
そんな親父に口答えをしている弟を見て俺は思ったんだ『生意気だな』って。
親父も流石にきつくはなって来ていたのだろう。
だから弟の言う事に対しておざなりだった。
本当ならぶっ飛ばされていてもおかしくはないのに、そんな事はもう出来なく
なってしまっていた。
あの頃が懐かしい。
このままでは駄目だと思った。
このままでは親父が親父で無くなってしまう。
だからこそ俺が親父の威厳を守る事にしたのだ。
もう口答えなどさせはしない。
その為にも俺は日々のトレーニングを欠かさない。
何があっても負けない身体を作るのだ。
弟達に恐怖を植え付けよう。
何があっても逆らう事のないように。
そして何よりもこの家で親父が一番なのだという事を知らしめる為に。
*****
「ねえ、私達っていつになったら結婚出来るの? 」
そんな事をトレーニング中に聞いて来る彼女の目には一体何が映っているのだろ
うか? 俺が誰の為に鍛えているのか分かっていないのか?
「いつって言われてもな、取り敢えず兄ちゃんに勝たないとならんのだ。ふぅ~」
カチャンと俺はダンベルを置いた。
今の俺に足りないのは筋肉だ。だから筋肉をつけなければならない。
だから腕を変えてまたダンベルを持った。
「そう、分かったわ。もういい。ロビとの婚約は破棄するわ」
「ななな、何で! 」
突然の宣告に俺は驚く。意味が分からなかった。
「だって無理よ。ロビの家のおかしなルールに付き合う事なんて私には無理なの」
そして俺は気付いたのだ。
ビルダヴ家の掟はおかしなものなのだって事に。
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