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お前しかいない
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しおりを挟む今日は祭りである。
学園祭とはいえ、これは俺の為の祭り……そう
小暮洋の生誕祭なのである!
俺は演劇部に属していて、看板役者として活動している
というのは自称ではあるが、必ずそうなると確信していた。
何故ならば洋は主役に抜擢されたからだ。
それも一年生なのにである。
これはもう誰が何と言おうと俺の時代が来たって事だろう?
だって入部してそうそう主役なんてなれるだろうか?
否、なれはしない。凡人にはね。
凡人にはそんな事は無理だ、どうあがいたって無理、でも天才なら?
そう天才小暮洋、この俺なら可能なのだ!
このルックス、この声、この演技力、神に愛されたこの俺だからこそ
出来た所業である。
そして今日、この学校の全生徒が知る事になるのだ、
スーパースター小暮洋という名を!
小暮洋の伝説の1ページ目が今から始まろうとしている。
刮目せよ、小暮洋の演技を! そして酔いしれろ小暮洋の演技に!
喝采せよ、スーパースターの小暮洋の誕生である!
*****
「じゃあ小暮、あんまり緊張しないでいいから、気楽にな?
部長が出ない回はそんなに客も入らないし、最悪失敗しても大丈夫だから」
先輩が緊張してガチガチの俺をリラックスさせようとしてくれるが、
「ダメに決まってるだろうが! 何舐めた事言ってんだ」
部長から喝が飛ぶ。
分かっていたとは言え流石にここは気をつかって欲しい所だった。
いくら渡辺千里の勧誘に失敗したからって、酷すぎやしないか?
緊張している後輩にさらに追い打ちをかける人が部長だなんて!
こうして小暮洋の初舞台はプレッシャーに押しつぶされ、散々なものとなった。
*****
「ねえ、見た? 凄いわよ映像部のやつ」
「映像部? 知らない。何よ凄いって」
「ほら、あの子が出てるんだけどね、あの、モンブラン」
「嗚呼、モンブラン! でもあの子プロじゃん」
「そうなんだけど、凄いのよ。あれは見ておいた方がいいわよ」
「そんなに言うなら見ておこうかな」
俺の耳にそんな会話が聞こえてきたのは、
傷心中の為に中庭のベンチにへたりこんでいた時だった。
だから俺はこうなってしまった原因となった奴が出ているそれを
見に行く事にしたのだ。
はっきり言ってただの粗探しではあった。
スーパースターになるはずだった俺の邪魔をした奴の邪魔をしてやろう
そんな不純な動機で映像部へと向かったのであった。
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