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しおりを挟む「私、カメラマンをやりたいんです! 」
立花さんはそう言った。
確かに、はっきりと、目をキラッキラに輝かせて言った。
『何で!!!!! 』
だから俺は今すぐそう叫びたいくらいに衝撃的だった。
正直、俺は彼女は演者の方だとばかり思っていたからだ。
だってそうだろ?
彼女はとても美人だ。そんじょそこらの女優なんかよりも断然美人だし、
俺があの桜並木で彼女を初めて見た時、
嘘みたいに綺麗なあの画が今でも頭に媚びりついて離れない。
間違いなく映画のワンシーンだった。
だから、彼女が映像部を復活させようとしていると聞いた時俺は
あの心を鷲掴みされた画をもう一度見れるのだと
期待していたのに……
それなのにどうしてそんな裏方に、貴女は表舞台に出るべき人ですよ!
と今すぐ教えてあげようとしたが、
「そっか、じゃあ後は演者が必要ね。
まぁ目立ちたがり屋のおかしな人種は何処にでもいるから
すぐに見つかるでしょう。
そうそう、ちなみに私は脚本、栄ちゃんが監督だから
これは絶対だからよろしくね」
鈴がどんどん話を進めてしまう。
「加納さんって脚本書けるんですか! 」
立花さんが鈴の話に食いついた。また目をキラッキラに輝かせていて眩しい。
「書けるけど? 」
鈴も少し気圧され気味に答える。
そうなのだ、彼女の熱量は少しばかり他人よりも多い気がする。
「凄いです! ど、どんな話を書けますか?
私はですね、こう人間の内面が出て来るような映像が撮りたいんですけど
そういうのって可能ですかね?
あっ、別に名前にかけたとかそういうのじゃないんですけど、ごめんなさい。
で、出来ますか? 」
鈴が俺の方を見て、目で合図をしてくる。
どうにかしろという事らしいが、物怖じしない鈴が俺に助けを求めるとは
めずらしい事もあるものだ。
「あの、立花さん。鈴はそう言うのも書けるので大丈夫ですよ。
だからきっと立花さんの撮りたい映像がとれると思います」
「そ、そうですか!それは素晴らしいです、加納さん!
いや、加納先生とお呼びした方がいいのでしょうか?
是非、そうしましょう、是非! 」
立花さんは鈴の手を取って宣言するが
「お願いだから止めて! 」
鈴ははっきりと拒絶する。
俺は鈴がこんなにたじろぐ姿を初めて見た気がする。
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