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しおりを挟む「なるほどね、これは確かに必要だわ」
編集作業を進めながら私は唸る。
鈴の制止も聞かずに撮影したカットは今、とても意味のある
ものへと変わったのだ。
これがあると無いとでは大違いだろう、まったく困ったものだ。
正直、私は栄ちゃんをそこまで評価している訳ではなかったが
鈴の付属品にぐらいにしか思っていなかった栄ちゃんがまさか
私の想像を超えて来た事にちょっとドキドキしてしまい、
出来上がったのを鈴が見た時にどんな反応をするかが、今から
とても楽しみになってしまった。
*****
今回も結果としては成功だったのだろう。
でも俺はみんなの評価よりも、鈴に認めて貰えた事がなにより嬉しかった。
これで少しは近づけたのかもしれない。
そして俺は思う
自分がこうしてやって来れたのは一体どうしてだったのか?
ここに辿り着くまでいろんな事があったけど、
それは自分の力だけで乗り越えられただろうか?
そんなはずはない。
どうしようもない俺が自力で出来る訳ないじゃないか
もう分っているはずだ、それが誰のおかげなのか、
いつも俺のそばで支え、助言を与えてくれたの誰だったのか
分かっている、分かっているんだ。
だからこそ俺は今、選択する事にした。
場所は校庭、近くには伝説の木がある。
そのとても大きな木がある場所で俺は三田村が来るのをじっと待っていた。
「お前、どういう事かわかって言ってんのか? 」
やって来てそうそう三田村は言う。
どうやらもう、今から俺が何をしようとしているのか、
全てを分かっているようだ。
「嗚呼、分かってる」
だから俺も覚悟を決め、思いを伝えた。
「俺にはお前しかいないんだ! 」
*****
「ねえ、あんた達は聞いた! 栄ちゃんの事! 」
千里が乱暴にドアを開けて入ってきた。
「まあね」
鈴はトランプを机の上に投げ捨てた。
「なによ、その反応は、おかしいでしょうが! 」
千里は自分の感情を爆発させるが
「そういう事もあるでしょ? 」
私がそう言うと
「はぁ? 無いわよ! ある訳ないでしょうが、あんた達、腐ってるわ! 」
鈴は怒髪天を衝く勢いで怒鳴り散らした。
終劇
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