バトンタッチした話

加速・D・歩

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・本編

146 悪戯

「ケース、腰大丈夫……? 僕の《回復》とマナを渡したけど……」
「大丈夫! もう歩けるし! マルありがとな」
「うん、無理だけはダメだよ? ちゃんと休憩を取ること」
「分かったって! それより、昼から【島】の探索だろ、楽しみ!」

【ベッド】に転がってる1日を終えて、マルとイデチャンちに伝わる[塗り薬]のおかげで、俺達の腰痛が治った。
 んで、イデチャンが薬の材料集めに近くの【森】に行くと【洞窟】を発見したらしい。
 って事で昼間に皆で探索する事になった。




「よし、全員集まったな」
「プキュ!」
「プキュギもな。じゃあ前衛が先に進んで探索してみよう」
「「おおー!」」

 メイチャンの《ライト》で【洞窟内】は明るい。結構この人数でも広く感じるぐらい大きなところだった。

「広いだけで何もない、か」
「外みたいに小動物系の魔物が居ると思ったのに」
「まあ、危険な場所より良いじゃねぇか」
「そこの突き当たりを行っても特にないか。」
「じゃあ、戻るか」
「おー、これはこれで楽しかったね」
「うん!」

 広い【部屋】がいくつも広がってるだけで何も落ちてもないし、モンスターすら居なかった。大冒険かも! って思ったけどそうじゃなかったかー。
 来た道を普通に戻って【洞窟】を出ると──

「うわっ?!」
「ケースケッ?!」

「うわ、みんなっ!」
「各自守れ!」
「皆を護って《聖なるバリア》!!」

 突然の地響きに足を取られて少し高い所から落ちる俺にマルとメイチャンが叫ぶ。地面に落ちる瞬間、痛みがなくて恐る恐る目を開けるとメイチャンに抱き抱えられてて、その周りにはマルが《付与》してくれた《バリア》の膜が。

「あ、ありがとう……助かった」
「怪我はしてないか? 上に上がるぞ」
「う、うん。」

──カメイメとワグーッツン、近くにいたヤツより恋人の所に行くなんて……さすがだな
──ね。マルゥメくんたちの《バリア》のおかげで誰も怪我しなかったけど
──あの地響きはいったい……


 上に戻って合流すると怪我した人は居なかったらしくホッとする。プキュギもリーナに抱えられて無事だった。
 急いで【屋敷】に戻ろうと帰ってたら誰かが『あっ! 見て』と【海】の方を指差した。
 
「何か、来るっ」
「あれ、救助……じゃ無いよね……」
「どう見ても幽霊船とクラーケン……こりゃヤバいかもな」

 あの荒れてる【海】からやって来たのは、大型の船──ただしどう動いてるのか不明なぐらい船体がボロボロで大穴だって空いてるし、帆も破れてる。なのに真っすぐこっちに向かってきた。
 その船の横には2体のクラーケン。ダイオウイカの10倍ぐらいデケェのがやっぱ【コッチ】に来てた。

「念のために《バリア》とかで【屋敷】を!」
「「はいっ!」」
「他は警戒!」
「「了解」」

 マルやヌヌたちと一緒に《バリア》を張って、全員もその中に入ってもらう。
 
『来るよ』

 誰かの声で【海岸】側を見ると船が乗り上がってそこからスケルトン系のモンスターがわらわらと出てきた。
 
「これ、倒せば良いんだよな」
「楽勝、楽勝! 行くぜ、オラッ!!」
「俺もあのイカ焼いてくるぜ!」

 総攻撃、各自がぶつかる音がする──

「プープキュ! プ~プ~♪《──》」
「お、《サンクチュアリ》みたいな感じか!」
「プキュギ、お前スゲェな」
「ププ~!」

 プキュギが歌うと広範囲に《光の聖域》が現れ入ってきたスケルトン達が苦しみ動きが鈍くなる。
 俺らは逆にパワーがみなぎってすげー戦いやすい!

 リィちゃん達もイカに《炎攻撃》してて腕を落としてはまた別の脚へ!
 ワーチャンとモチくんは【海】の中から《精霊》で、イカを攻撃してたリーナとリィちゃんはユーくんと合流して《炎風竜巻》で2体のイカを美味しく焼き上げた。
 スケルトンはメイチャンとイデチャンがサクサクと倒して──

 あとは船本体。


「あの船にもプキュギのが効いてるのか。」
「総攻撃ヤッちゃう?」

 全員の一斉攻撃をする為、詠唱をしてる時──メメちゃんが待ったをかけた。

「待って、私があの中を調べたんだけど、誰か乗ってるの!」
「え、マジ? でも俺らを攻撃して来たってことは敵?」
「ううん、様子がおかしくて……封印されてる……?」

 メメちゃんの属性は《水》と《血》でそれを合わせて俺らがモンスターと戦ってる隙に船の隙間から中を見て回ってたらしい。船の、【船長室】にある【箱の中】? に、人が入ってるらしい。

「ど、どうする……?」
「もしその中の人が助けを求めてるとしたら……」
「分かった。その一人だけなんだよな?」
「うん、生命反応があったのはその【箱】だけ」

 ワーチャンとモチくんの《精霊》で船を解体しつつ、【箱】を持ってくることになった。
 他の人はイカを洗って保存。




「おーい、みんなぁ!」
「持ってきたぞ」

 床にドンと置いた1m四方の【木の箱】……本当に【ココ】に人が……?
 みんな、警戒しつつ、イデチャンが箱の蓋を取った。
 
「えっ、綺麗な子が居る……」
「全裸じゃん、服服っ!」

 そこには三角座りでまだ顔は見えないけど、水色の髪で毛先はピンクの少年? がいた。服は着てないみたいで誰かの投げたシーツで包んで、首には青い宝石がついた[ペンダント]を着けていた。
 とりあえず、【屋敷】の中に入れて目を覚ますのを待つ。
 一応あの【幽霊船】で来たから警戒はしてるけども。


『──……?』
「気がついたか?」
『だ──れ……あー……誰?」
「えーっと、俺の名前はケースだよ。君自分の事覚えてる?」

 何処から説明して良いのやら、目の前の少年にしどろもどろしてると他の人達が来て、状況確認をしてくれた。
 少年も自分の名前を聞かれて──

「うち、は──あんーな、あぃーんるな、……こほ、」
「無理しなくて良いよ。アィーンルナさん、で良いのかな」
「うん。あとは、覚えてない……ごめんなさい」
「いいよ、気にしなくて。心細いだろ、よし、飯食おうぜ」

 俺の着てない服を渡してサイズもそんなに変わらなかったし、着替えた彼の手を取って【食堂】へ。
 なんか、一人ぼっちで心細いって思ったら放っておけなくてさ。

 俺が彼を見ると少し落ち着いたのか笑顔になって、なんか……可愛いなって、うおっ!

「ケースは俺のもんだからな」
「んっ、ルナが見てる前でっ、ふっう、」
「2人は好き同士?」
「ああ。」
「うん、俺の彼氏でメイチャン」
「コ・カメイメだ。」
「よろしくね」

 ルナの目の前でいきなりキスするからビックリしたけど、それに動じないルナは微笑んだまま挨拶をする。
 マルや他の子も可愛い系は多いけどルナはかなり女の子顔てか髪も水色とピンクでめっちゃ女の子の服を着させたくなる。

[イカ焼き]も夕飯に出して「いただきまーす」をして食べる。

「さっきの、いただきますって皆と違う?」
「あれも他の人達と同じで『食材の生命と食事に関わった人々への敬意と感謝』を込めて、こうやって手のひらを合わせて祈るんだ。俺の故郷では皆やってたよ」
「ん、いただきますっ」

 なんか新しい弟が出来たみたいで可愛いな。ツー君はマルの弟だからさ、そりゃ誕生から小さい時に遊んだりもしてたけどさ。なんだろうな、この感覚……?
 弟より後輩って感じの方が近いか。
 
「そういや、ルナって何歳なんだろ? 背格好は俺達と似てるから歳も近そうだけど。」
「んー、わかんない」
「種族は──人間だよな、たぶん。」
「プン、すんすん……? プキュ?」
「プキュギどうした?」
「プキュギ? この子? かわいいね」
「だろ? 女の子だから優しく抱っこしてな、」
「プン? ププ?」

 本人が色々と忘れてるからなんも分かんないんだけど、ほぼ同じ歳かな。
 行く場所がないなら【学校】に来たらいいけど、【寮】もあるし。そんな話をしてたらリーナの所からプキュギがルナのもとに来て匂いを嗅いでは首を傾げる。
 珍しい行為に俺やマル達も顔を見合わせる。
 ルナはプキュギを気に入って撫でてるから抱っこさせてみたら──マルの時も思ったけどシックリと合う。


「【大浴場】は広くてのんびり入れるぞ」
「そうなんだ? 楽しみ!」
「ほら、先に行くぞ」
「ウチはダメ?」
「いいよ、な? メイチャン」
「わーったよ。あんまり引っ付くなよ」
「うんっ!」


【大浴場】について、【脱衣場】で全裸になってから行くと早めにきたからイデチャンやリィちゃん達がいた。

「カメイメ良いのかよ」
「早い時間に来たな」
「アィーンルナと来たがってな」
「「ああ、なるほど」」
「ケースに懐いてるもんな」


 お湯に浸かる前に体を洗う事を教える。

「この[スポンジ]にこの[ボトルボディソープ]の上を押して、液体が出たらこうやって揉むと、泡立つよ。やってみて」
「おわあっ! すごいっ!」
「んで、これは[スポンジ]は体を洗うやつね。隣のは頭を洗うやつだから」
「うんうんっ!」

 初めて見るもの? にワクワク、キラキラした目でルナが興味津々に説明を聞いてくれるから調子に乗って色々教えてしまった。
 先にメイチャンがイデチャン達と話してて──あっちはあっちで仲いいよね。

 俺は手にシャンプーを出して擦って泡立てたら髪の毛に。ワシャワシャと洗って、洗い流して──と。あれ? まだ泡立ってる?
 横をみるとルナが泡立った[スポンジ]を俺の頭に乗せていた。そりゃ流れないわけだ。
 注意しようとしたらメイチャンが先に怒ってて──「勿体ないことするな」的なね。そしたらルナもションボリしちゃって。

「ごめんなさい……っ」
「うん、反省してるならいいよ。こういうイタズラはやっちゃダメだよ? メイチャンも先にありがとうね」
「いや、強く言い過ぎた。ごめん」
「んん、ちゃんと洗う!」
「そうだよ、良い子だね」

 体を洗った後はキレイに流してから、お湯に浸かる。ルナも目を細めて気持ちよさそうだ。よし。

「ババンババンバンバン~♪」
「?」
「ケースって変な歌歌い始めるよな」
「前も歌ってたやつか」
「そうそう。お湯に浸かったらこの歌だよ」
「ばんばん?」

 ルナは不思議そうに俺が歌ってるのを真似し始めたから教える。

「「ババンババンバンバン~♪」」

「増えた」
「楽しそうだからいいか」

 そうそう楽しく浸かろう。
 肩まで浸かって~、夏だからある程度したら出るけど。




「や~だぁー!!」
「わがまま言わないの。」
「ケースと一緒がいいー!」
「アィーンルナの【部屋】は3班の所だろ」

 なんとかダダをこねるルナをなだめてプキュギを抱っこして寝たみたいだ。
 俺らもメイチャンに抱き抱えられながらすやぁ。

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