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リア充
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ここ数日、この前のことがグルグルと頭の中をかき乱して、気分が悪い。覚悟は出来てきた、そのためにだらけた生活をしていた。でも、今改めてそれが現実だってわかると、なんとも言い難い気分。
「私が、この世界のヒロインである私が、翔真と結ばれるところを、大人しく見てればいいよの」
あの時、あぁ言った彼女の声が、顔が全く頭から離れない。やっぱり、私が向かうべき未来は刑務所なのだろうか。そんな事を考えれば、考えるほど、真っ暗な深い穴の底に沈んで行く気分。………本当に気分が悪い。
「桃月さん?大丈夫?」
心配そうに顔を覗き込む立花くんのおかげでハッとする。そうだ、今は立花くんと前から話していた映画を観にきているんだった。なのに、こんな気分でいるなんて、しかも立花くんに心配させるなんて、最悪だな本当。気持ちを切り替えねば
「大丈夫だよ、立花くん。ちょっとボーッとしてただけだし。それに、楽しみにしてた映画だよ?例え死んでも見るに決まっているじゃん!」
「流石、桃月さん。でも、死んだら見えないよ」
そう言って、あはははと笑う立花くん。いやぁ、流石飴と鞭の飴の部分。優しさの塊だ。あぁ、癒される。そうだなぁ。今は考えるのをやめよう。それに、本当に私が刑務所送りなら、今を楽しむべきだ。最後の夏休みになるなら、最高のものにしなくては!
「そっか。じゃあ行こっか。……あぁ、はい、これ」
「え?」
と渡されたのは映画のチケット。今から見る予定のものだ。果たして、いつの間に買ったんだろうか。
「ごめんね、桃月さんが来る前に買っちゃったんだ。席とか大丈夫だった?」
「いや、後ろの方の真ん中だし、最高の席だよ?うん。逆にごめんね?いくらだった」
カバンの中身を漁り財布を取り出す。たしか、映画って1800円くらいだったよなぁ。ちょうどあったけ?
「いや、大丈夫だよ。それに、母さんに割引券を貰ってだいぶ安くなったから。ここは、僕のおごりってことで」
「いや、いや。それはダメだよ」
お金って大事だ。稼ぐのって本当に大変なんだ。思い出す前世の記憶。ブラック企業にこき使われ、働いていた時代。あの頃の給料を時給に表すとワンコインぐらいだったなぁ。最低賃金をはるかに下回ってたなぁ。泣けてくるなぁ。
と話はそれたが、お金は大事なのだ。こういうのはちゃんとしておかないとダメだって言うしね。
「ちゃんと、払うから?ね!」
だから値段を教えてくれと言っても中々教えてくれない立花くん。じゃあっと何円かを渡そうとしても受け取ってくれない。これは、このままでは、拉致があかない。
「わ、わかった。ここはありがたく立花くんに奢ってもらうよ。ありがとうございます」
ペコリと頭を下げれば、頭上から
「どういたしまして」
と優しい声が聞こえて来る。まったく、付き合っている恋人同士ならまだしも、ただの友達に奢るなんて、どこまでも甘いぞ、立花くんよ。そんな事をしてたら勘違いされちゃうんだからな!
……まぁ、取り敢えずだ。チケット代のお返しをどうにかするか、だな。ここは、アレしかないだろう。
「というわけで、少し待っててくれた前。立花くんよ」
「うん?どういうわけがわからないけど、待ってるね?」
じゃあ、と立花くんをその場に残して私が向かうのは売店だ。映画には欠かせないポップコーンやらを売っている場所。お金を受け取ってもらえないなら、他のもので返すしかないだろう。こっちの方が安くなってしまうが、大事なのは気持ち………だよね?
メニューを見上げ何を買うべきか考える。取り敢えずポップコーンでしょ?あと飲み物。あー、チュロスも捨てがたいし、フライドポテトもある。んー、迷うな。それに、立花くんは何味のポップコーンが好きなんだろうか。王道の塩?それともキャラメル?バター醤油も中々だし。あ、ちょっと高いポップコーンもある。これ、美味しいんだよな。あぁ、迷うなぁ、本当に迷う。飲み物もどうするべきか。でも、まぁ、ここは無難なのがいいのかな………よし、決めた!
「お待たせして、ごめんね?立花くん」
「いや、大丈夫だよ……って、桃月さん。それ」
「一緒に食べようかと思って。迷惑だった?」
そう言って、買ってきたものを差し出す。結局、私が買ったのは、ハーフ・ハーフのポップコーン(キャラメルとバター醤油)とフライドポテト、それからソフトドリンクである。立花くんの好みがわからなかったから、抵当に選んだが、今考えると好きでもないものを渡されるのは迷惑かもしれない。
「いや、そんなことはないよ。どっちかというと嬉しいよ。ごめんね?いくらだった?」
「いや、これはチケット代のお礼?だからいいよ」
「いや、でも」
「いいから、いいから。それに、今は手が塞がって、お金、受け取れないし。ぶっちゃけ言ってレシート捨てちゃったから、値段わかんないから。ね?」
そんな事を言えば、立花くんは少し残念そうに、でも嬉しそうにそっか、ありがとうね。と言ってポップコーンやらが乗ったトレーを持ってくれた。その自然な動き、こいつ女の扱いに慣れてやがる。
「あーあ、桃月さんには敵わないなぁ。せっかく格好をつけようと思ったのに。しかも、この量、絶対にチケット代より高い」
「そんな事ないよ、立花くん。それに、チケット代奢ってくれて嬉しかったし、かっこよかったよ?」
「…………はぁ。やっぱり桃月さんは天然だ。」
いや、私は思った事を言っただけなんだけど。なんか変だろうか
「まぁ、いっか。今はこのままで。……そろそろ映画が始まるし行こっか」
「うん」
ずっと楽しみにしていた映画はもうすぐそこ。あぁ、楽しみだなぁ!
「私が、この世界のヒロインである私が、翔真と結ばれるところを、大人しく見てればいいよの」
あの時、あぁ言った彼女の声が、顔が全く頭から離れない。やっぱり、私が向かうべき未来は刑務所なのだろうか。そんな事を考えれば、考えるほど、真っ暗な深い穴の底に沈んで行く気分。………本当に気分が悪い。
「桃月さん?大丈夫?」
心配そうに顔を覗き込む立花くんのおかげでハッとする。そうだ、今は立花くんと前から話していた映画を観にきているんだった。なのに、こんな気分でいるなんて、しかも立花くんに心配させるなんて、最悪だな本当。気持ちを切り替えねば
「大丈夫だよ、立花くん。ちょっとボーッとしてただけだし。それに、楽しみにしてた映画だよ?例え死んでも見るに決まっているじゃん!」
「流石、桃月さん。でも、死んだら見えないよ」
そう言って、あはははと笑う立花くん。いやぁ、流石飴と鞭の飴の部分。優しさの塊だ。あぁ、癒される。そうだなぁ。今は考えるのをやめよう。それに、本当に私が刑務所送りなら、今を楽しむべきだ。最後の夏休みになるなら、最高のものにしなくては!
「そっか。じゃあ行こっか。……あぁ、はい、これ」
「え?」
と渡されたのは映画のチケット。今から見る予定のものだ。果たして、いつの間に買ったんだろうか。
「ごめんね、桃月さんが来る前に買っちゃったんだ。席とか大丈夫だった?」
「いや、後ろの方の真ん中だし、最高の席だよ?うん。逆にごめんね?いくらだった」
カバンの中身を漁り財布を取り出す。たしか、映画って1800円くらいだったよなぁ。ちょうどあったけ?
「いや、大丈夫だよ。それに、母さんに割引券を貰ってだいぶ安くなったから。ここは、僕のおごりってことで」
「いや、いや。それはダメだよ」
お金って大事だ。稼ぐのって本当に大変なんだ。思い出す前世の記憶。ブラック企業にこき使われ、働いていた時代。あの頃の給料を時給に表すとワンコインぐらいだったなぁ。最低賃金をはるかに下回ってたなぁ。泣けてくるなぁ。
と話はそれたが、お金は大事なのだ。こういうのはちゃんとしておかないとダメだって言うしね。
「ちゃんと、払うから?ね!」
だから値段を教えてくれと言っても中々教えてくれない立花くん。じゃあっと何円かを渡そうとしても受け取ってくれない。これは、このままでは、拉致があかない。
「わ、わかった。ここはありがたく立花くんに奢ってもらうよ。ありがとうございます」
ペコリと頭を下げれば、頭上から
「どういたしまして」
と優しい声が聞こえて来る。まったく、付き合っている恋人同士ならまだしも、ただの友達に奢るなんて、どこまでも甘いぞ、立花くんよ。そんな事をしてたら勘違いされちゃうんだからな!
……まぁ、取り敢えずだ。チケット代のお返しをどうにかするか、だな。ここは、アレしかないだろう。
「というわけで、少し待っててくれた前。立花くんよ」
「うん?どういうわけがわからないけど、待ってるね?」
じゃあ、と立花くんをその場に残して私が向かうのは売店だ。映画には欠かせないポップコーンやらを売っている場所。お金を受け取ってもらえないなら、他のもので返すしかないだろう。こっちの方が安くなってしまうが、大事なのは気持ち………だよね?
メニューを見上げ何を買うべきか考える。取り敢えずポップコーンでしょ?あと飲み物。あー、チュロスも捨てがたいし、フライドポテトもある。んー、迷うな。それに、立花くんは何味のポップコーンが好きなんだろうか。王道の塩?それともキャラメル?バター醤油も中々だし。あ、ちょっと高いポップコーンもある。これ、美味しいんだよな。あぁ、迷うなぁ、本当に迷う。飲み物もどうするべきか。でも、まぁ、ここは無難なのがいいのかな………よし、決めた!
「お待たせして、ごめんね?立花くん」
「いや、大丈夫だよ……って、桃月さん。それ」
「一緒に食べようかと思って。迷惑だった?」
そう言って、買ってきたものを差し出す。結局、私が買ったのは、ハーフ・ハーフのポップコーン(キャラメルとバター醤油)とフライドポテト、それからソフトドリンクである。立花くんの好みがわからなかったから、抵当に選んだが、今考えると好きでもないものを渡されるのは迷惑かもしれない。
「いや、そんなことはないよ。どっちかというと嬉しいよ。ごめんね?いくらだった?」
「いや、これはチケット代のお礼?だからいいよ」
「いや、でも」
「いいから、いいから。それに、今は手が塞がって、お金、受け取れないし。ぶっちゃけ言ってレシート捨てちゃったから、値段わかんないから。ね?」
そんな事を言えば、立花くんは少し残念そうに、でも嬉しそうにそっか、ありがとうね。と言ってポップコーンやらが乗ったトレーを持ってくれた。その自然な動き、こいつ女の扱いに慣れてやがる。
「あーあ、桃月さんには敵わないなぁ。せっかく格好をつけようと思ったのに。しかも、この量、絶対にチケット代より高い」
「そんな事ないよ、立花くん。それに、チケット代奢ってくれて嬉しかったし、かっこよかったよ?」
「…………はぁ。やっぱり桃月さんは天然だ。」
いや、私は思った事を言っただけなんだけど。なんか変だろうか
「まぁ、いっか。今はこのままで。……そろそろ映画が始まるし行こっか」
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