310 / 318
310話
しおりを挟む
次の日、私は王城に行く気だったのだが、連続での長距離移動は妊娠中の体に良くないとのことで、明日に繰り越しになった。その日は妊夫検診に行くことになり、後は家でゆっくり過ごすことになった。幸いなことにお腹の子は問題なく育っているようだった。
そして迎えた次の日、渋々ながらお二人は王城へ向かうための準備を終え、ウォルトさんに馬車をだしてもらっていた。
「さて、準備も終わったし、馬車に乗り込もうか。レイは……、まだ拗ねているのか?」
「そうですね……。先程、部屋までお見送りをしようと呼びかけたのですが、返事がなくて……。」
「まぁ、あれだけついていきたいと言っていたからな。」
そう。昨晩、私達が王城へ行くことを伝えると、レイさんはついていくと言い出したのだ。流石に連れて行くことはできないため、それを伝えれば拗ねてしまったのだった。
「じゃあ、行ってくる。家のことは頼んだぞ?さ、ハル。中へ。」
「はい、ガルムさん。ソラさん、レイさんにもよろしくお伝えください。」
「分かりました。ハルさんもお気をつけて。」
私はお見送りしてくれるシータさん達に頭をペコリと下げてからガルムさんの手を取って馬車へと乗り込む。私達が座ったところで、御者をしてくれるウォルトさんが確認を取ってから馬車が動き出す。一定の速さに到達して、揺れが安定してから私はお二人に話しかける。
「王城、久しぶりですね。ここまで待ったお詫びとして、無理難題をふってこないといいのですが……。」
「んー……、それはないんじゃないか?仮に無理難題をふっかけるなら、もっと前に強行してくると思う。」
「そう……、ですかね……?」
「あぁ、俺もガルムと同じくそう思う。まぁ、万が一って時は俺達が何とかする。だからハルは、普段通りを意識すればいい。」
そう言ってアルトさんはガルムさんの膝の上にいる私の頭を撫でてくれる。それが嬉しいと同時にホッとするもので、余計な肩の力が抜ける。すると、何か音を聞き取ったのかガルムさんの耳がピクッと反応する。
「先程から気になっていたんだが、何かキャビンの上にいないか?」
「ガルムもか。気の所為かと思ったが、ガルムが言うのならやはり何かいるのかもな。」
そうなの……?私には何も感じなかったけど……。
そう思って耳を澄ませても馬車が移動する音くらいしか聞き取れなかった。その時、ガルムさんの話が聞こえたのか、異変に気づいたのか外からウォルトさんが声をかけてくる。
「申し訳ありません、一旦とめます……!」
その声と同時に馬車が段々遅くなっていき、やがてピタリと止まった。
さっきのウォルトさんの声、若干慌てていたような……?そんなになるなんて、ガルムさん達が感じた異変がよほどのものなのかな……?
「俺も降りて確認してこよう。あの反応的に魔物ではないと思うが、ハルは一応ガルムとこのまま座って待っていてくれ。」
「はい、分かりました。気をつけてくださいね。」
私がそう言うとアルトさんはニコッと笑ってキャビンから降りていった。待っている間に、魔物でないのならお二人が感じた異変は何なのか疑問に思うのだった。
そして迎えた次の日、渋々ながらお二人は王城へ向かうための準備を終え、ウォルトさんに馬車をだしてもらっていた。
「さて、準備も終わったし、馬車に乗り込もうか。レイは……、まだ拗ねているのか?」
「そうですね……。先程、部屋までお見送りをしようと呼びかけたのですが、返事がなくて……。」
「まぁ、あれだけついていきたいと言っていたからな。」
そう。昨晩、私達が王城へ行くことを伝えると、レイさんはついていくと言い出したのだ。流石に連れて行くことはできないため、それを伝えれば拗ねてしまったのだった。
「じゃあ、行ってくる。家のことは頼んだぞ?さ、ハル。中へ。」
「はい、ガルムさん。ソラさん、レイさんにもよろしくお伝えください。」
「分かりました。ハルさんもお気をつけて。」
私はお見送りしてくれるシータさん達に頭をペコリと下げてからガルムさんの手を取って馬車へと乗り込む。私達が座ったところで、御者をしてくれるウォルトさんが確認を取ってから馬車が動き出す。一定の速さに到達して、揺れが安定してから私はお二人に話しかける。
「王城、久しぶりですね。ここまで待ったお詫びとして、無理難題をふってこないといいのですが……。」
「んー……、それはないんじゃないか?仮に無理難題をふっかけるなら、もっと前に強行してくると思う。」
「そう……、ですかね……?」
「あぁ、俺もガルムと同じくそう思う。まぁ、万が一って時は俺達が何とかする。だからハルは、普段通りを意識すればいい。」
そう言ってアルトさんはガルムさんの膝の上にいる私の頭を撫でてくれる。それが嬉しいと同時にホッとするもので、余計な肩の力が抜ける。すると、何か音を聞き取ったのかガルムさんの耳がピクッと反応する。
「先程から気になっていたんだが、何かキャビンの上にいないか?」
「ガルムもか。気の所為かと思ったが、ガルムが言うのならやはり何かいるのかもな。」
そうなの……?私には何も感じなかったけど……。
そう思って耳を澄ませても馬車が移動する音くらいしか聞き取れなかった。その時、ガルムさんの話が聞こえたのか、異変に気づいたのか外からウォルトさんが声をかけてくる。
「申し訳ありません、一旦とめます……!」
その声と同時に馬車が段々遅くなっていき、やがてピタリと止まった。
さっきのウォルトさんの声、若干慌てていたような……?そんなになるなんて、ガルムさん達が感じた異変がよほどのものなのかな……?
「俺も降りて確認してこよう。あの反応的に魔物ではないと思うが、ハルは一応ガルムとこのまま座って待っていてくれ。」
「はい、分かりました。気をつけてくださいね。」
私がそう言うとアルトさんはニコッと笑ってキャビンから降りていった。待っている間に、魔物でないのならお二人が感じた異変は何なのか疑問に思うのだった。
0
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
S級エスパーは今日も不機嫌
ノルジャン
BL
低級ガイドの成瀬暖は、S級エスパーの篠原蓮司に嫌われている。少しでも篠原の役に立ちたいと、ガイディングしようとするが拒否される日々。ある日、所属しているギルドから解雇させられそうになり、焦った成瀬はなんとか自分の級を上げようとする。
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
【本編完結】落ちた先の異世界で番と言われてもわかりません
ミミナガ
BL
この世界では落ち人(おちびと)と呼ばれる異世界人がたまに現れるが、特に珍しくもない存在だった。
14歳のイオは家族が留守中に高熱を出してそのまま永眠し、気が付くとこの世界に転生していた。そして冒険者ギルドのギルドマスターに拾われ生活する術を教わった。
それから5年、Cランク冒険者として採取を専門に細々と生計を立てていた。
ある日Sランク冒険者のオオカミ獣人と出会い、猛アピールをされる。その上自分のことを「番」だと言うのだが、人族であるイオには番の感覚がわからないので戸惑うばかり。
使命も役割もチートもない異世界転生で健気に生きていく自己肯定感低めの真面目な青年と、甘やかしてくれるハイスペック年上オオカミ獣人の話です。
ベッタベタの王道異世界転生BLを目指しました。
本編完結。番外編は不定期更新です。R-15は保険。
コメント欄に関しまして、ネタバレ配慮は特にしていませんのでネタバレ厳禁の方はご注意下さい。
専属【ガイド】になりませんか?!〜異世界で溺愛されました
sora
BL
会社員の佐久間 秋都(さくま あきと)は、気がつくと異世界憑依転生していた。名前はアルフィ。その世界には【エスパー】という能力を持った者たちが魔物と戦い、世界を守っていた。エスパーを癒し助けるのが【ガイド】。アルフィにもガイド能力が…!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる