ルピナスは恋を知る

葉月庵

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310話

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次の日、私は王城に行く気だったのだが、連続での長距離移動は妊娠中の体に良くないとのことで、明日に繰り越しになった。その日は妊夫検診に行くことになり、後は家でゆっくり過ごすことになった。幸いなことにお腹の子は問題なく育っているようだった。

そして迎えた次の日、渋々ながらお二人は王城へ向かうための準備を終え、ウォルトさんに馬車をだしてもらっていた。

「さて、準備も終わったし、馬車に乗り込もうか。レイは……、まだ拗ねているのか?」

「そうですね……。先程、部屋までお見送りをしようと呼びかけたのですが、返事がなくて……。」

「まぁ、あれだけついていきたいと言っていたからな。」

そう。昨晩、私達が王城へ行くことを伝えると、レイさんはついていくと言い出したのだ。流石に連れて行くことはできないため、それを伝えれば拗ねてしまったのだった。

「じゃあ、行ってくる。家のことは頼んだぞ?さ、ハル。中へ。」

「はい、ガルムさん。ソラさん、レイさんにもよろしくお伝えください。」

「分かりました。ハルさんもお気をつけて。」

私はお見送りしてくれるシータさん達に頭をペコリと下げてからガルムさんの手を取って馬車へと乗り込む。私達が座ったところで、御者をしてくれるウォルトさんが確認を取ってから馬車が動き出す。一定の速さに到達して、揺れが安定してから私はお二人に話しかける。

「王城、久しぶりですね。ここまで待ったお詫びとして、無理難題をふってこないといいのですが……。」

「んー……、それはないんじゃないか?仮に無理難題をふっかけるなら、もっと前に強行してくると思う。」

「そう……、ですかね……?」

「あぁ、俺もガルムと同じくそう思う。まぁ、万が一って時は俺達が何とかする。だからハルは、普段通りを意識すればいい。」

そう言ってアルトさんはガルムさんの膝の上にいる私の頭を撫でてくれる。それが嬉しいと同時にホッとするもので、余計な肩の力が抜ける。すると、何か音を聞き取ったのかガルムさんの耳がピクッと反応する。

「先程から気になっていたんだが、何かキャビンの上にいないか?」

「ガルムもか。気の所為かと思ったが、ガルムが言うのならやはり何かいるのかもな。」

そうなの……?私には何も感じなかったけど……。

そう思って耳を澄ませても馬車が移動する音くらいしか聞き取れなかった。その時、ガルムさんの話が聞こえたのか、異変に気づいたのか外からウォルトさんが声をかけてくる。

「申し訳ありません、一旦とめます……!」

その声と同時に馬車が段々遅くなっていき、やがてピタリと止まった。

さっきのウォルトさんの声、若干慌てていたような……?そんなになるなんて、ガルムさん達が感じた異変がよほどのものなのかな……?

「俺も降りて確認してこよう。あの反応的に魔物ではないと思うが、ハルは一応ガルムとこのまま座って待っていてくれ。」

「はい、分かりました。気をつけてくださいね。」

私がそう言うとアルトさんはニコッと笑ってキャビンから降りていった。待っている間に、魔物でないのならお二人が感じた異変は何なのか疑問に思うのだった。
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