311 / 318
311話
しおりを挟む
アルトさんが降りてから、外で何やらウォルトさんと会話をする声が聞こえてきた。内容までは聞き取れなかったが、何か危険が迫ってはいなさそうだった。
「はぁ……。ハル、危険はないから、一旦降りてきてくれるかい?」
「だ、そうだ。降りようか、ハル。」
「はい、分かりました。ありがとうございます、ガルムさん。」
私は短く返事をしてガルムさんの膝から下ろしてもらい、そのままキャビンから降りる。そのタイミングで頭上からパタパタと何かが羽ばたく音が聞こえ、アルトさんが伸ばした腕に飛び込んだ。
「えっ……?」
「ん……?なぜ、いるんだ……?」
そう、アルトさんの腕に抱えられたのは今朝部屋に閉じこもったはずのレイさんだった。私とガルムさんが驚いている中、レイさんはアルトさんによって地面に降ろされていた。降ろしたあと、アルトさんはレイさんに問うた。
「それで?何でキャビンの上なんかにいたんだ?」
「お、怒らない……?」
「はぁ……。怒らないから、話してみろ。」
ため息交じりにアルトさんはレイさんの言葉を促すと、こちらの様子を伺いながら話し出した。
「王城に行くって言っていたから、ついていきたくて……。ダメって言われたけど、バレなければいいかなって……。」
「それで、キャビンの上か……。」
「待て。そもそもどうやってキャビンの上に登ったんだ?少なくとも、俺は玄関を出ていくところを見ていないぞ?」
確かに……、ガルムさんの言う通りだ。それに、ソラさんもレイさんが部屋に引きこもっているって言っていたし……。
そう考えを巡らせていると、レイさんは少し誇らしげな様子を見せた。
「部屋の窓から飛んでいったんだ、凄いでしょ……!」
「その手があったか……。すっかり飛べることを失念していた……。さて、どうするか……。」
「ふむ……、家からはもうかなり離れてしまっているから、ここから帰らせるのもな……。」
確かに、アルトさんの言う通りかも。それに、家までの道が分かるかも怪しいし……。かく言う私だって分からない。
すると、何か察知したレイさんが声をあげる。その様子は見るに、どうしても王城に行きたくて仕方がないみたいだった。
「ぼ、僕、大人しくしてる……!良い子にしてる……!」
「そうは言ってもな……。」
「ふむ、そうだな……、」
ガルムさんもアルトさんもどうするべきか頭を悩ませていると、今までやりとりを見守っていたウォルトさんが口を開く。
「でしたら、王様との謁見の際は私と馬車に残っているのはいかがでしょうか。」
「それが一番いいのかもな。じゃあ、それで決まりだな。」
「いいの……!やった……!」
嬉しそうに笑うレイさんの肩を優しく掴み、目線の高さを合わせてアルトさんは言い聞かせるように話しかける。
「いいか、レイ。こういうことは、今回だけだからな?毎回こう許せるわけではない。そして何より、急にいなくなるなんてソラが心配するだろう?」
「分かった……。ごめんなさい……。」
「よし、ちゃんと謝れて偉いな。次は気をつけるんだぞ?」
「うん……!」
アルトさんが頭を撫でながらレイさんを諭す様子を見ていると、ある考えが思い浮かび、そのまま口に出した。
「アルトさんはいいパパになりそうですね。」
「なっ……!?」
「……、」
何故かガルムさんの方が大きく反応しており、アルトさんは口に手を当て、笑みを耐えていた。
も、もしかして、変なこと言っちゃったかな……?
そう不安に思っていると、程なくしてアルトさんが何か呟いているのが聞こえてくる。
「フフッ……、パパ、パパか……!いい響きだ……!」
「くっ……!」
喜んでいるアルトさんに反して、ガルムさんは少し悔しそうな顔をする。
「あっ……!もちろん、ガルムさんも良いパパになると思います……!」
「そ、そうか……!気を使わせてしまったな。」
「いえ、本心の言葉です……!」
「ククッ……、ありがとう。」
「んっ……!?」
そう言ってガルムさんはいきなりキスをしてきた。それで頬が赤くなった頬を隠すように顔を反らせば、妙にニコッと笑っているレイさんと目が合う。
「へへっ、やっぱりラブラブだね。」
「なっ……!?」
「ククッ……。そうだ、俺達はラブラブなんだ。」
「が、ガルムさん……!」
「ハルは俺ともラブラブだぞ?」
「アルトさんまで……!」
「それはもちろん、知っているよ!2人ともハルお兄ちゃんにべったりだもんね。」
「え、あ、う……。」
まだ子供なレイさんがこういうくらい分かりやすいのかと思うと、恥ずかしくって言葉にならない言葉が口から溢れるのだった。
「はぁ……。ハル、危険はないから、一旦降りてきてくれるかい?」
「だ、そうだ。降りようか、ハル。」
「はい、分かりました。ありがとうございます、ガルムさん。」
私は短く返事をしてガルムさんの膝から下ろしてもらい、そのままキャビンから降りる。そのタイミングで頭上からパタパタと何かが羽ばたく音が聞こえ、アルトさんが伸ばした腕に飛び込んだ。
「えっ……?」
「ん……?なぜ、いるんだ……?」
そう、アルトさんの腕に抱えられたのは今朝部屋に閉じこもったはずのレイさんだった。私とガルムさんが驚いている中、レイさんはアルトさんによって地面に降ろされていた。降ろしたあと、アルトさんはレイさんに問うた。
「それで?何でキャビンの上なんかにいたんだ?」
「お、怒らない……?」
「はぁ……。怒らないから、話してみろ。」
ため息交じりにアルトさんはレイさんの言葉を促すと、こちらの様子を伺いながら話し出した。
「王城に行くって言っていたから、ついていきたくて……。ダメって言われたけど、バレなければいいかなって……。」
「それで、キャビンの上か……。」
「待て。そもそもどうやってキャビンの上に登ったんだ?少なくとも、俺は玄関を出ていくところを見ていないぞ?」
確かに……、ガルムさんの言う通りだ。それに、ソラさんもレイさんが部屋に引きこもっているって言っていたし……。
そう考えを巡らせていると、レイさんは少し誇らしげな様子を見せた。
「部屋の窓から飛んでいったんだ、凄いでしょ……!」
「その手があったか……。すっかり飛べることを失念していた……。さて、どうするか……。」
「ふむ……、家からはもうかなり離れてしまっているから、ここから帰らせるのもな……。」
確かに、アルトさんの言う通りかも。それに、家までの道が分かるかも怪しいし……。かく言う私だって分からない。
すると、何か察知したレイさんが声をあげる。その様子は見るに、どうしても王城に行きたくて仕方がないみたいだった。
「ぼ、僕、大人しくしてる……!良い子にしてる……!」
「そうは言ってもな……。」
「ふむ、そうだな……、」
ガルムさんもアルトさんもどうするべきか頭を悩ませていると、今までやりとりを見守っていたウォルトさんが口を開く。
「でしたら、王様との謁見の際は私と馬車に残っているのはいかがでしょうか。」
「それが一番いいのかもな。じゃあ、それで決まりだな。」
「いいの……!やった……!」
嬉しそうに笑うレイさんの肩を優しく掴み、目線の高さを合わせてアルトさんは言い聞かせるように話しかける。
「いいか、レイ。こういうことは、今回だけだからな?毎回こう許せるわけではない。そして何より、急にいなくなるなんてソラが心配するだろう?」
「分かった……。ごめんなさい……。」
「よし、ちゃんと謝れて偉いな。次は気をつけるんだぞ?」
「うん……!」
アルトさんが頭を撫でながらレイさんを諭す様子を見ていると、ある考えが思い浮かび、そのまま口に出した。
「アルトさんはいいパパになりそうですね。」
「なっ……!?」
「……、」
何故かガルムさんの方が大きく反応しており、アルトさんは口に手を当て、笑みを耐えていた。
も、もしかして、変なこと言っちゃったかな……?
そう不安に思っていると、程なくしてアルトさんが何か呟いているのが聞こえてくる。
「フフッ……、パパ、パパか……!いい響きだ……!」
「くっ……!」
喜んでいるアルトさんに反して、ガルムさんは少し悔しそうな顔をする。
「あっ……!もちろん、ガルムさんも良いパパになると思います……!」
「そ、そうか……!気を使わせてしまったな。」
「いえ、本心の言葉です……!」
「ククッ……、ありがとう。」
「んっ……!?」
そう言ってガルムさんはいきなりキスをしてきた。それで頬が赤くなった頬を隠すように顔を反らせば、妙にニコッと笑っているレイさんと目が合う。
「へへっ、やっぱりラブラブだね。」
「なっ……!?」
「ククッ……。そうだ、俺達はラブラブなんだ。」
「が、ガルムさん……!」
「ハルは俺ともラブラブだぞ?」
「アルトさんまで……!」
「それはもちろん、知っているよ!2人ともハルお兄ちゃんにべったりだもんね。」
「え、あ、う……。」
まだ子供なレイさんがこういうくらい分かりやすいのかと思うと、恥ずかしくって言葉にならない言葉が口から溢れるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
三日天下の聖女です!
あんど もあ
ファンタジー
平凡なアルファパレス好き女子高生の私は、いきなり異世界に聖女として召喚されてしまった。でも、明後日に瘴気を浄化する神事をやってくれたら元の場所・時間に戻してくれると言うのでちょっと安心。なら三日間、立派な聖女になりましょう! ……でも、私が邪魔な人がいるようで……。
【本編完結】落ちた先の異世界で番と言われてもわかりません
ミミナガ
BL
この世界では落ち人(おちびと)と呼ばれる異世界人がたまに現れるが、特に珍しくもない存在だった。
14歳のイオは家族が留守中に高熱を出してそのまま永眠し、気が付くとこの世界に転生していた。そして冒険者ギルドのギルドマスターに拾われ生活する術を教わった。
それから5年、Cランク冒険者として採取を専門に細々と生計を立てていた。
ある日Sランク冒険者のオオカミ獣人と出会い、猛アピールをされる。その上自分のことを「番」だと言うのだが、人族であるイオには番の感覚がわからないので戸惑うばかり。
使命も役割もチートもない異世界転生で健気に生きていく自己肯定感低めの真面目な青年と、甘やかしてくれるハイスペック年上オオカミ獣人の話です。
ベッタベタの王道異世界転生BLを目指しました。
本編完結。番外編は不定期更新です。R-15は保険。
コメント欄に関しまして、ネタバレ配慮は特にしていませんのでネタバレ厳禁の方はご注意下さい。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる