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315話
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「私は……、」
私は今日までのレイさんとの生活を思い返す。その日々はとても色鮮やかに記憶に残っている。心なしか、ここ数日は気持ちが落ち込むことがなかった気がする。
温泉旅行に行く前までは、泣くまではいかないものの、感情の浮き沈みがあって、私なんて……、と落ち込む日もあった。そう考えると、私にとってもレイさんの存在は大きいのかもしれない。
それでも、すぐに即答できないのには理由があった。これまでは近所のお子さんのような関係であったからこそ、成り立っていたのではと考えざるをえないのだ。王様の言う通り、家族になるということら、責任が伴う。私にはレイさんを育て上げる自信がないのだ。
「ハル、ハルの率直な気持ちを教えてくれ。大丈夫、例え答えがなんであれ、俺達が受け止める。」
「あぁ、ガルムの言う通りだ。ハルの気持ちが一番大切なんだ。」
「お二人とも……、ありがとうございます。その……、私には母親になる自信がありません……。レイさんに十分な愛情をあげられるか不安なんです。」
そこまで自分の気持ちを吐露すれば、自分の中で燻っていた感情が一気に溢れ出す。
「自分の中には少なからず、あの母親の血が流れています。将来ああなるのではないかと思うと、不安で仕方がないんです……。もしその対象がレイさんになったらと思うと……!」
そう話す私の声は若干震えていた。ただそれ以上に、怖くて怖くて、自分ではそれに気づかなかった。段々視界も狭まっていき、視点も定まらなくなってきた。
すると、肩を掴み揺らしながら私を呼ぶ声が聞こえてくる。ゆらりとあげた目線の先にはアルトさんがいた。
「ハル、ハル……!大丈夫だ、ハル。そんなことにはならない。ハルはアイツつは違うじゃないか。それに、そういうことを言うヤツは大抵そうならないヤツだ。」
「そうだ。それに、もしそうなってしまったとしても、俺達がいる。キチンと止めるさ。だから、ハルの本当の気持ちを教えてくれないか?」
「私の本当の気持ち……。」
お二人の言葉で冷静さが戻ってきて、改めて自分の気持ちと向き合ってみる。自分が母親にふさわしいか否か、それを排した気持ちを。
私は……、
自分の気持ちを整理してレイさんに向き直る。その際、先程駆け寄ってくれたお二人には心配されてしまったが大丈夫だと目で訴えれば、私を支えようとしていた手を引いてくれた。
「レイさん、私は完璧な人間でもありません。むしろ不出来な方です。そんな私ですが、レイさんの母親になっても良いですか?」
「本当に、良いの?嘘はダメだからね!本当の本当に、僕のママになってくれるの?」
「はい、これからレイさんも私達の家族の一員です。よろしくお願いしますね。」
「やった!ハルお兄ちゃん、ううん、ママ、大好き!」
「わっ……!レイさん……!」
「おっと……、」
突如レイさんが抱きついてきて、あわや転びそうになるのを先に反応したガルムさんが支えてくれた。
私は今日までのレイさんとの生活を思い返す。その日々はとても色鮮やかに記憶に残っている。心なしか、ここ数日は気持ちが落ち込むことがなかった気がする。
温泉旅行に行く前までは、泣くまではいかないものの、感情の浮き沈みがあって、私なんて……、と落ち込む日もあった。そう考えると、私にとってもレイさんの存在は大きいのかもしれない。
それでも、すぐに即答できないのには理由があった。これまでは近所のお子さんのような関係であったからこそ、成り立っていたのではと考えざるをえないのだ。王様の言う通り、家族になるということら、責任が伴う。私にはレイさんを育て上げる自信がないのだ。
「ハル、ハルの率直な気持ちを教えてくれ。大丈夫、例え答えがなんであれ、俺達が受け止める。」
「あぁ、ガルムの言う通りだ。ハルの気持ちが一番大切なんだ。」
「お二人とも……、ありがとうございます。その……、私には母親になる自信がありません……。レイさんに十分な愛情をあげられるか不安なんです。」
そこまで自分の気持ちを吐露すれば、自分の中で燻っていた感情が一気に溢れ出す。
「自分の中には少なからず、あの母親の血が流れています。将来ああなるのではないかと思うと、不安で仕方がないんです……。もしその対象がレイさんになったらと思うと……!」
そう話す私の声は若干震えていた。ただそれ以上に、怖くて怖くて、自分ではそれに気づかなかった。段々視界も狭まっていき、視点も定まらなくなってきた。
すると、肩を掴み揺らしながら私を呼ぶ声が聞こえてくる。ゆらりとあげた目線の先にはアルトさんがいた。
「ハル、ハル……!大丈夫だ、ハル。そんなことにはならない。ハルはアイツつは違うじゃないか。それに、そういうことを言うヤツは大抵そうならないヤツだ。」
「そうだ。それに、もしそうなってしまったとしても、俺達がいる。キチンと止めるさ。だから、ハルの本当の気持ちを教えてくれないか?」
「私の本当の気持ち……。」
お二人の言葉で冷静さが戻ってきて、改めて自分の気持ちと向き合ってみる。自分が母親にふさわしいか否か、それを排した気持ちを。
私は……、
自分の気持ちを整理してレイさんに向き直る。その際、先程駆け寄ってくれたお二人には心配されてしまったが大丈夫だと目で訴えれば、私を支えようとしていた手を引いてくれた。
「レイさん、私は完璧な人間でもありません。むしろ不出来な方です。そんな私ですが、レイさんの母親になっても良いですか?」
「本当に、良いの?嘘はダメだからね!本当の本当に、僕のママになってくれるの?」
「はい、これからレイさんも私達の家族の一員です。よろしくお願いしますね。」
「やった!ハルお兄ちゃん、ううん、ママ、大好き!」
「わっ……!レイさん……!」
「おっと……、」
突如レイさんが抱きついてきて、あわや転びそうになるのを先に反応したガルムさんが支えてくれた。
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