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1章 訣別
04-3. 帰郷
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「すごい美人だし、セザールが変な言い方をするから誤解するじゃない!」
間違いのテレ隠しもあって、少し強めに抗議する。
「ごめん、確かにルイーゼは美人だよね」
二人で容姿の話に盛り上がれば、彼女はちょっとだけ困った顔をした後に自己紹介を始めた。
「ルイーゼ=アマデイと申します。キエザ辺境伯の姪に当たります」
少し頭を下げる動きも美しい。きっと頭が良いだけではなく、礼法にも通じた人なんだろう。所作が優美だ。
隣国とはお母様の代から交流が始まった。
両国の間には森が広がっていて魔素が濃い。魔獣のスタンピードによって大陸は分断され、国同士の行き来は完全に途絶えた。
魔素が濃いと植物や動物の発育が良い反面、魔獣が狂暴化しやすい。踏破するのはほぼ無理で、空を行こうとしても獰猛な鳥に襲われてままならない。ワイバーンだって種類はいくつもあって、人が飼いならせないような獰猛で大型の種もいる。
だから何代もの間、少しずつ森を削り人の行動範囲を増やしていった。森を失くさないように、でも人が移動できるように。慎重に動いた結果、時間がかかったのだ。
ようやく隣国の辺境伯領との間に、往来できるような道ができたのが、お母様が領主の時代だった。
その時以来、交流がある。
とはいえ国同士の付き合いではなく、フォートレル辺境伯家とアマディ辺境伯家という局地的かつ私的なものだ。
そして交流を持ったら、向こうの国ももこちらの国同様、中央貴族と辺境の乖離が進んでいた。
両親の結婚に国王からの横槍が入ったことで、我が家を含む南の辺境は中央から距離を取り始め、逆にアマディ家との交流が盛んになって今に到る。
東の辺境伯家であるマンティアルグ家もアマディ家のことを知っているが、中央におもねる気が一切ないので報告する気がない。むしろ積極的に二つの辺境伯家の交流を応援している状況だ。西と北の辺境伯家は中央寄りで付き合いがないため、こちらから何も知らせていない。
「初めましてルイーゼ。マリエ=オリオールです。勉強は苦手だけど、見捨てないで教えてくださると嬉しいわ」
「大丈夫よ。私は勉強が好きだけど、辺境では少数だもの。勉強が好きなんて言ったら奇異な目で見らることも多いわ。むしろ勉強が得意な人の方が少数じゃないかしら」
良かった。勉強が嫌いなのが私だけではなくて。
お兄様もフォートレル家の兄弟も勉強ができる方だったから、実は肩身が狭かったのだ。
「生活に役に立つことを知らなければ、勉強に興味が持てないと思うの。だから生活の中でどうやって使えるのかを考えながら学んでいきましょうね」
そう言ってルイーゼはにっこり笑う。
その笑顔はとても可愛らしくて、同性ながら思わず心がときめいた。
間違いのテレ隠しもあって、少し強めに抗議する。
「ごめん、確かにルイーゼは美人だよね」
二人で容姿の話に盛り上がれば、彼女はちょっとだけ困った顔をした後に自己紹介を始めた。
「ルイーゼ=アマデイと申します。キエザ辺境伯の姪に当たります」
少し頭を下げる動きも美しい。きっと頭が良いだけではなく、礼法にも通じた人なんだろう。所作が優美だ。
隣国とはお母様の代から交流が始まった。
両国の間には森が広がっていて魔素が濃い。魔獣のスタンピードによって大陸は分断され、国同士の行き来は完全に途絶えた。
魔素が濃いと植物や動物の発育が良い反面、魔獣が狂暴化しやすい。踏破するのはほぼ無理で、空を行こうとしても獰猛な鳥に襲われてままならない。ワイバーンだって種類はいくつもあって、人が飼いならせないような獰猛で大型の種もいる。
だから何代もの間、少しずつ森を削り人の行動範囲を増やしていった。森を失くさないように、でも人が移動できるように。慎重に動いた結果、時間がかかったのだ。
ようやく隣国の辺境伯領との間に、往来できるような道ができたのが、お母様が領主の時代だった。
その時以来、交流がある。
とはいえ国同士の付き合いではなく、フォートレル辺境伯家とアマディ辺境伯家という局地的かつ私的なものだ。
そして交流を持ったら、向こうの国ももこちらの国同様、中央貴族と辺境の乖離が進んでいた。
両親の結婚に国王からの横槍が入ったことで、我が家を含む南の辺境は中央から距離を取り始め、逆にアマディ家との交流が盛んになって今に到る。
東の辺境伯家であるマンティアルグ家もアマディ家のことを知っているが、中央におもねる気が一切ないので報告する気がない。むしろ積極的に二つの辺境伯家の交流を応援している状況だ。西と北の辺境伯家は中央寄りで付き合いがないため、こちらから何も知らせていない。
「初めましてルイーゼ。マリエ=オリオールです。勉強は苦手だけど、見捨てないで教えてくださると嬉しいわ」
「大丈夫よ。私は勉強が好きだけど、辺境では少数だもの。勉強が好きなんて言ったら奇異な目で見らることも多いわ。むしろ勉強が得意な人の方が少数じゃないかしら」
良かった。勉強が嫌いなのが私だけではなくて。
お兄様もフォートレル家の兄弟も勉強ができる方だったから、実は肩身が狭かったのだ。
「生活に役に立つことを知らなければ、勉強に興味が持てないと思うの。だから生活の中でどうやって使えるのかを考えながら学んでいきましょうね」
そう言ってルイーゼはにっこり笑う。
その笑顔はとても可愛らしくて、同性ながら思わず心がときめいた。
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