后狩り

音羽夏生

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初夜 ※

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 男娼を抱いた後も、何故か皇太子の機嫌は芳しくない。湯を浴び濡れた体を拭い、夜着を着せ掛ける手を掴まれ、シェルは主の望みを知る。睫毛を伏せて前に回り、跪いてその陽物に口づけながら、シェルは主の閨事で高まってしまった自身の劣情を堪えていた。
 どうにか主を吐精に導き寝室を辞す時、シェルの下着には、漏れ出た罪悪感が染みを作っていた――。
 あの惨めな夜は、これから起こることへの恐れを招く一方で、今は救いでもあった。
 男に抱かれることに慣れた男娼でも、皇太子を満足させることはできなかった。
 今は十人の妃を擁する後宮で暮らす皇帝が、女も男も知らない未熟なシェルの肉体から得るものはさらに少ない。とても恐ろしく、この期に及んでも逃げ出したいが、今宵耐えれば、興味が逸れる日は遠くないだろう。
 「馴らし」の間、毎夜求められたから、口での奉仕は気に入られているのかもしれない。それならば、以前のように執務の合間の慰めとして、お召しいただければいい。後宮に置かれ、皇后に立たなくても、皇帝の望みを果たすことはできる。
 立后の目的が、シェルを――ユングリングの嫡子を女扱いし貶めることなら、ただの男妾とされた方がいい。
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