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偽妃 ※
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「それは私の言葉でございます。──私を恐ろしい、穢らわしいとお厭いでしたら、お隠しにならず、ただ去れとお命じください。御前に現れぬように控え、しかし万全にお守りいたします」
「何故、穢らわしいなどと。ウルリカ様は、御身と誇りを守られただけ。適切な処置をなさいました」
適切な処置、と含むように繰り返し、ウルリカは凄みを滲ませた笑みを浮かべる。
「そのように仰るとは。おやさしげに見えて、さすがルチア様の御子。猛々しい『建国の五柱』のご伴侶に相応しい。何よりあの陛下を手のひらで転がしておられるのですから、尊き御位に登られれば、実に頼もしい、この上なき賢后とおなりでしょうに」
「私は男ですよ」
その御位から逃れるために、様々な算段をしているというのに──その共犯者となっているのに、ウルリカの物言いは、シェルの立后を望むかのようだ。
(ウルリカ様は、今もお母様贔屓だから……)
大陸の宝石と謳われる王国。古より、世界宗教の聖座を置く聖市国を守護し栄える、信仰と芸術の香り高き、光輝なるミレニオ。
その第一王女である母は、強く誇り高く、子供の目から見ても特別な輝きを持つ人だった。その面影を自分に重ねるような言葉に、シェルはついため息をつく。
「何故、穢らわしいなどと。ウルリカ様は、御身と誇りを守られただけ。適切な処置をなさいました」
適切な処置、と含むように繰り返し、ウルリカは凄みを滲ませた笑みを浮かべる。
「そのように仰るとは。おやさしげに見えて、さすがルチア様の御子。猛々しい『建国の五柱』のご伴侶に相応しい。何よりあの陛下を手のひらで転がしておられるのですから、尊き御位に登られれば、実に頼もしい、この上なき賢后とおなりでしょうに」
「私は男ですよ」
その御位から逃れるために、様々な算段をしているというのに──その共犯者となっているのに、ウルリカの物言いは、シェルの立后を望むかのようだ。
(ウルリカ様は、今もお母様贔屓だから……)
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