Change the world 〜全員の縁を切った理由〜

香椎 猫福

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第十話 後編

立花と犬神 7

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翌日、ショッピングモールにて犬神絵美を見かけた
しかも、白いジープの男では無く、別の男だった
アイスクリーム屋の向かい側、本屋の店頭付近で雑誌を読んでいて偶然に出くわしたのだ
自分は犬神絵美と縁があるんだな、と立花桃は感心してしまう
それなのに、能力のせいで近付けない
こういう縁が持つ偶然は、神様や能力ではどうすることもできないのだろうか
しかも、この距離感がもどかしい
大声を出せば気付いてくれるのだろうか
それはさすがに能力が邪魔するのだろうか
ただ、少なくとも今の距離は近付くことができるらしい
犬神絵美が、アイスクリーム屋の店員を呼び出した
一体何をしているのだろう
女性店員がショーケースの前まで出てくると、次に犬神絵美が連れている男が近寄った
すると、つい今まで接客スマイルで対応していた店員が、急にその男と親しげに話し出した
知り合いだった事に気付いたのか、ある程度会話をした後に、店員はアイスクリームを一段増やすサービスをして犬神絵美に渡していた
知り合いの力は羨ましい、あのサービスを受けてみたい、と立花桃は小腹を空かせながら見つめる
中央のソファで満足そうに一人、アイスクリームを食べる犬神絵美、さらに距離は近付いたが、能力は発揮されない
まだ近付けるのか、それともこれは偶然だからなのか
早々とアイスクリームを食べ終わった犬神絵美が男を連れて再び、モール内を歩き出す
立花桃は雑誌を戻して、二人の後をつけることにした
それにしても、あの男と犬神絵美は釣り合わない
冴えない感じの男が犬神絵美から強引に連れ回されているようにしか見えないが、二人の関係性が気になる
まだ、犬神絵美には白いジープの男の方が似合うが、それはそれで許せない
あまり考えないようにして、能力が発揮されないであろう距離感を保って歩く
二人について回っていると、奇妙な事が続いた
冴えないくせに、男はモール内の店員に知り合いがやたら多い
しかし、どうも様子が変だった
店員たちは最初、明らかに男を他人として接している
何度も顔を向かわせながら会話をしておきながら、ふいに男が店員に近寄った後、態度が急変していた
これは何かある、疑わずにはいられない
犬神絵美は、その知り合いサービスを受けてばかりいたが、そもそも二人はモール内で何をしているのか
携帯ショップは全てのキャリアに声をかけ、子供服の店や婦人服の店までまわっていた
ここまで他人の買い周りを見る機会はもちろん初めてだが、特殊なものに思える
いや、待てよ、と立花桃は考え直す
これはデートっぽくはあるし、もしかして二人は既にデキていて、結婚まで視野に入れた買い周りなのかもしれない
そう検討をつけているところで、二人がモールを出ようとしていた
その出入口の前方に、白いジープが止まっている
二人は出入口より手前で別れ、改めて犬神絵美は車へ向かって歩き出し、自然と乗り込む
乗る直前、確かに運転席の男が「おかえり~」と明るく声をかけていた


「何なの、この関係」


思わず呟き、犬神絵美の二股疑惑に立ち尽くしてしまう
もし本当に二股をしているのであれば、例え親友の姉妹とは言え、絶対に許さない
立花桃は犬神絵美に対して殺意を覚えた

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