2 / 3
第1章 0歳【前編】
第1話 赤ちゃん誕生
しおりを挟む
ぼやけて何かが視界に映る。
俺の視界を全て遮って、肌色と黒色の2つの色が完全に支配する。
はっきりとは見えないが、きっと人間だろう。
「この子のお名前は?」
「この子は、アラステアよ」
「おぉ!!いい名前じゃないか!!」
「そうでしょう?」
何言ってんだ?
俺はそんなかっちょいい名前じゃないぞ。
もしかして俺の横には産まれたての赤ちゃんでもいるのか?
そうでもない限り、この状況は説明がいかない。
うん?
でも声がかなり近かったよな。
一体俺の周りに何が起きてるんだ?
「それじゃ、この子は一旦預からせて貰いますね」
「もうそんな時間ですか……」
「もう少しアラステアを見たかったな」
「すいません。ですが、一週間もすればすぐにまた会えますよ」
「それなら……」
「あぁ、そうだな。家に帰って元気な息子を待つとするか」
おいおい!!
何の話してんだよ。
俺の親戚に最近子供ができるっていうことは聞いてないし、そもそも何で俺とこんな距離が近いんだよ。
3人くらいが俺のすぐ傍で呑気に話している。
いったい何が起こっているのか分からない俺は無意識に左腕を動かそうとした。
あれ、なんか思ったように動かない……
怪我をしているから動かないという訳ではなく、単純に力が入らないというか自分が産まれたての赤ちゃんみたいにそもそも腕を上げるという動作を体が覚えていないように感じ取れる。
しかも一番驚いたのは体に1つも痛みがないという事だ。
俺が意識を失う前、確か俺は腹部に傷を負って血が出ていたはず……
記憶が曖昧なので本当に傷を負ったのか少し怪しいが。
ついでにいうなら視界も悪い。
何だなんだいったい?
今の状況を不思議に思っていると3人くらいで話してた人達の声が聞こえない。
先程肌色の顔、白色の髪の子供らしき人物が俺の視界を占領していたが、今は黄色と白色の明るい電気のようなものが映っている。
ここで俺は自分がついに幻覚を見始めたのだと思い始める。
理由は特にない。
単純にそう思ったのだ。
そして幻覚が見えた時の対処法として昔本で読んだことがある。
視界に映りこんではいけないもの、更に体の一部が突然動かなくなった場合は大きな声を出して助けを呼ぶか、そのまま自力で悪夢から覚めるかのどちらかだと。
確かに大きな声を出せば、自分で悪夢から目覚めるかもしれないし、誰かに襲われているなら声を出した方が得策だ。
勿論生きたいという意思があれば後者は完全にダメだが、俺は生きたいとは思っていないし、逆に死にたいくらいだ。
どちらにしろ好都合だし、一旦出るか出ないか分からない渾身の雄叫びを上げてみよう。
よし……
せーーーーの!!!!
「ゥーー!!」
うん?
うん?
俺こんな声だっけ、
いやいや俺こんなに声小さかったっけ?
単純に大声出すの久しぶりすぎて喉が慣れていなかったのか?
もう一度、もう一度だ。
よし今度こそ……
せーーーーの!!!!
「オギャァァーー!!」
おぉー!!
今回は凄まじい威力の雄叫びを上げれた……
むむ?
俺赤ちゃんだっけ?
自分の発した言葉に疑問を持った。
何故なら俺の発した言葉は紛れもなく、オギャァァーー!!という赤子が話す言葉だったからだ。
そしてそれと同時に今まで考えていた現実世界の妄想とは違い、1つの可能性を感じ始める。
俺はもしかして……
そのもしかして……
ま、まさか……
いやいや、でもでも、俺赤ちゃんだったよな?
一度あることは二度もある。みたいな言葉があるように俺は自分が本当に赤ちゃんなのか再度確かめるために先程よりも洗練された雄叫びを上げるべく、必殺技の息溜めを使う。
フゥーー
スゥーー
フゥーー
よし!
準備ができた。
後は声を出すだけ……
俺は意を決して声を上げる。
「オギャァァーー!!」
必殺技の息溜めにより、俺は予想以上の大声を出すことができたと同時にこの瞬間、自分が赤ちゃんである事が確定した。
お、おれ……本当に転生しちゃった……
確固たる証拠としてはまず鳴き声が赤ちゃん。
次に腹部を怪我しているはずが何故か痛くない。
次に怪我をしていないはずの下半身が動かない。
次に先程、お母さんとお父さん……何かもう1人いたような……
まぁいいか。それよりそんな感じの人が俺の視界を遮って近寄り、アラステアという名前を呼んでいた事。
これだけの証拠があれば、確実に生まれ変わったといってもいいただろう。
だが不思議な点は多々ある。
何故前世の記憶が残っているのか?
何故俺は転生というか生まれ変わりができたのか?
ずっと疑問を抱えているとムズムズして何故か泣きそうになるが今は言葉も話せないし、できることがなさすぎる。
産まれた当初から正確な記憶と前世の情報量があれば大人になるにつれて困ることはないが今の時期はとても暇だ。
「バブ……」
とりあえず今はここが何処なのか。
俺の親は誰なのか。
この世界は俺が求めていた世界かそれともただの前世同様退屈な世界かを見極める必要がある。
だが、一番はあの女子高生が気になる。
転生した今、何かできるわけじゃないけどモヤモヤは残る。
死ぬまで忘れる事はない。
俺の視界を全て遮って、肌色と黒色の2つの色が完全に支配する。
はっきりとは見えないが、きっと人間だろう。
「この子のお名前は?」
「この子は、アラステアよ」
「おぉ!!いい名前じゃないか!!」
「そうでしょう?」
何言ってんだ?
俺はそんなかっちょいい名前じゃないぞ。
もしかして俺の横には産まれたての赤ちゃんでもいるのか?
そうでもない限り、この状況は説明がいかない。
うん?
でも声がかなり近かったよな。
一体俺の周りに何が起きてるんだ?
「それじゃ、この子は一旦預からせて貰いますね」
「もうそんな時間ですか……」
「もう少しアラステアを見たかったな」
「すいません。ですが、一週間もすればすぐにまた会えますよ」
「それなら……」
「あぁ、そうだな。家に帰って元気な息子を待つとするか」
おいおい!!
何の話してんだよ。
俺の親戚に最近子供ができるっていうことは聞いてないし、そもそも何で俺とこんな距離が近いんだよ。
3人くらいが俺のすぐ傍で呑気に話している。
いったい何が起こっているのか分からない俺は無意識に左腕を動かそうとした。
あれ、なんか思ったように動かない……
怪我をしているから動かないという訳ではなく、単純に力が入らないというか自分が産まれたての赤ちゃんみたいにそもそも腕を上げるという動作を体が覚えていないように感じ取れる。
しかも一番驚いたのは体に1つも痛みがないという事だ。
俺が意識を失う前、確か俺は腹部に傷を負って血が出ていたはず……
記憶が曖昧なので本当に傷を負ったのか少し怪しいが。
ついでにいうなら視界も悪い。
何だなんだいったい?
今の状況を不思議に思っていると3人くらいで話してた人達の声が聞こえない。
先程肌色の顔、白色の髪の子供らしき人物が俺の視界を占領していたが、今は黄色と白色の明るい電気のようなものが映っている。
ここで俺は自分がついに幻覚を見始めたのだと思い始める。
理由は特にない。
単純にそう思ったのだ。
そして幻覚が見えた時の対処法として昔本で読んだことがある。
視界に映りこんではいけないもの、更に体の一部が突然動かなくなった場合は大きな声を出して助けを呼ぶか、そのまま自力で悪夢から覚めるかのどちらかだと。
確かに大きな声を出せば、自分で悪夢から目覚めるかもしれないし、誰かに襲われているなら声を出した方が得策だ。
勿論生きたいという意思があれば後者は完全にダメだが、俺は生きたいとは思っていないし、逆に死にたいくらいだ。
どちらにしろ好都合だし、一旦出るか出ないか分からない渾身の雄叫びを上げてみよう。
よし……
せーーーーの!!!!
「ゥーー!!」
うん?
うん?
俺こんな声だっけ、
いやいや俺こんなに声小さかったっけ?
単純に大声出すの久しぶりすぎて喉が慣れていなかったのか?
もう一度、もう一度だ。
よし今度こそ……
せーーーーの!!!!
「オギャァァーー!!」
おぉー!!
今回は凄まじい威力の雄叫びを上げれた……
むむ?
俺赤ちゃんだっけ?
自分の発した言葉に疑問を持った。
何故なら俺の発した言葉は紛れもなく、オギャァァーー!!という赤子が話す言葉だったからだ。
そしてそれと同時に今まで考えていた現実世界の妄想とは違い、1つの可能性を感じ始める。
俺はもしかして……
そのもしかして……
ま、まさか……
いやいや、でもでも、俺赤ちゃんだったよな?
一度あることは二度もある。みたいな言葉があるように俺は自分が本当に赤ちゃんなのか再度確かめるために先程よりも洗練された雄叫びを上げるべく、必殺技の息溜めを使う。
フゥーー
スゥーー
フゥーー
よし!
準備ができた。
後は声を出すだけ……
俺は意を決して声を上げる。
「オギャァァーー!!」
必殺技の息溜めにより、俺は予想以上の大声を出すことができたと同時にこの瞬間、自分が赤ちゃんである事が確定した。
お、おれ……本当に転生しちゃった……
確固たる証拠としてはまず鳴き声が赤ちゃん。
次に腹部を怪我しているはずが何故か痛くない。
次に怪我をしていないはずの下半身が動かない。
次に先程、お母さんとお父さん……何かもう1人いたような……
まぁいいか。それよりそんな感じの人が俺の視界を遮って近寄り、アラステアという名前を呼んでいた事。
これだけの証拠があれば、確実に生まれ変わったといってもいいただろう。
だが不思議な点は多々ある。
何故前世の記憶が残っているのか?
何故俺は転生というか生まれ変わりができたのか?
ずっと疑問を抱えているとムズムズして何故か泣きそうになるが今は言葉も話せないし、できることがなさすぎる。
産まれた当初から正確な記憶と前世の情報量があれば大人になるにつれて困ることはないが今の時期はとても暇だ。
「バブ……」
とりあえず今はここが何処なのか。
俺の親は誰なのか。
この世界は俺が求めていた世界かそれともただの前世同様退屈な世界かを見極める必要がある。
だが、一番はあの女子高生が気になる。
転生した今、何かできるわけじゃないけどモヤモヤは残る。
死ぬまで忘れる事はない。
1
あなたにおすすめの小説
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
国を追放された魔導士の俺。他国の王女から軍師になってくれと頼まれたから、伝説級の女暗殺者と女騎士を仲間にして国を救います。
グミ食べたい
ファンタジー
かつて「緑の公国」で英雄と称された若き魔導士キッド。しかし、権謀術数渦巻く宮廷の陰謀により、彼はすべてを奪われ、国を追放されることとなる。それから二年――彼は山奥に身を潜め、己の才を封じて静かに生きていた。
だが、その平穏は、一人の少女の訪れによって破られる。
「キッド様、どうかそのお力で我が国を救ってください!」
現れたのは、「紺の王国」の若き王女ルルー。迫りくる滅亡の危機に抗うため、彼女は最後の希望としてキッドを頼り、軍師としての助力を求めてきたのだった。
かつて忠誠を誓った国に裏切られ、すべてを失ったキッドは、王族や貴族の争いに関わることを拒む。しかし、何度断られても諦めず、必死に懇願するルルーの純粋な信念と覚悟が、彼の凍りついた時間を再び動かしていく。
――俺にはまだ、戦う理由があるのかもしれない。
やがてキッドは決意する。軍師として戦場に舞い戻り、知略と魔法を尽くして、この小さな王女を救うことを。
だが、「紺の王国」は周囲を強大な国家に囲まれた小国。隣国「紫の王国」は侵略の機をうかがい、かつてキッドを追放した「緑の公国」は彼を取り戻そうと画策する。そして、最大の脅威は、圧倒的な軍事力を誇る「黒の帝国」。その影はすでに、紺の王国の目前に迫っていた。
絶望的な状況の中、キッドはかつて敵として刃を交えた伝説の女暗殺者、共に戦った誇り高き女騎士、そして王女ルルーの力を借りて、立ち向かう。
兵力差は歴然、それでも彼は諦めない。知力と魔法を武器に、わずかな希望を手繰り寄せていく。
これは、戦場を駆ける軍師と、彼を支える三人の女性たちが織りなす壮絶な戦記。
覇権を争う群雄割拠の世界で、仲間と共に生き抜く物語。
命を賭けた戦いの果てに、キッドが選ぶ未来とは――?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。
4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。
そんな彼はある日、追放される。
「よっし。やっと追放だ。」
自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。
- この話はフィクションです。
- カクヨム様でも連載しています。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる