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へっぽこ召喚士、円卓会議に出席する②
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頭を下げる馬は彼に懐いているのだと関心していると、ふわりとミアの身体は軽くなり宙に浮いた。
「わっ!」
動揺するミアを他所に、リヒトはミアを抱き上げそのまま馬の背へと座らせた。そのまま横向きに座ったミアの腰を片腕で抱き、もう一方の手で手綱を掴んで馬を走らせる。
突如近くなった距離感に、心構えも何もしていなかったミアの心臓は、うるさい程に全身に心音を響かせる。悠々と駆ける馬の背に揺られる彼女の身体は、いつになく熱い。
「団、団長……!あの、一体っ……!」
何故かドキドキする気持ちと、慣れない馬の揺れに言葉を詰まらせていると、耳元で囁かれる力強い声にミアの身体が不思議と震えた。
「舌を噛みたくなかったら黙ってろ」
「……っ!」
「これから全部隊の隊長及び、各隊の召喚士長と共に円卓会議を行う。厄介な事にお前も参加対象だ。くれぐれも口を慎むように……いいな?」
静かに黙って頷くと、抱きしめられる力がほんの僅かに優しくなる。リヒトの手から伝わってくる熱に、不思議と心が落ち着いていく感覚に、風を感じながら呼吸を整えた。
見慣れない景色はより一層華やかしさを増していくのに気づき、見えてきた王宮に息を飲む。
(まさかとは思うけど……向かってる場所って、もしかして……?)
馬を走らせる方向は、明らかに王宮目掛けて一直線だ。迷うことなくリヒトは道を選び、そのまま風を切って進んでいく。
ヘマだけはしないと自分に言い聞かせ続けていると、気づけば王宮へと辿り着いていた。一般庶民であるミアが訪れることはまずない王宮を前に、自然と口が開いてしまう。
リヒトがするりと馬から降りていったのも気づかずに、豪華絢爛な王宮を眺めていると、ぐいと手を再び引かれた。
横座りのために簡単に体勢は崩れ、ミアは気がつけばリヒトの腕の中にいた。
「団長……?」
「少し黙れ」
荒々しく吐き出したリヒトの声に、口をつぐんでしまったがミアは動揺を隠しきれないでいた。降りるのが遅いミアを無理くり降ろした、ならまだ分かる。
だが、リヒトは両腕でミアを抱えたまま一向に離す気配がない。
「この場にお前を連れてきたくは無かったが……」
「?」
「俺が傍にいる。何があっても離れるなよ」
こんな王宮を前にして単独行動を取るほど間抜けに見えているのだろうかと、自分が情けなくなっていると、優しい手が頭を撫でた。
「行くぞ」
いつにも増して真剣な面立ちで瞳を覗かれ、背筋が伸びる。離された腕に、少しだけ寂しさを覚えつつ、リヒトが進む道を辿るようにミアも王宮の敷地内に足を踏み入れた。
頭を下げる馬は彼に懐いているのだと関心していると、ふわりとミアの身体は軽くなり宙に浮いた。
「わっ!」
動揺するミアを他所に、リヒトはミアを抱き上げそのまま馬の背へと座らせた。そのまま横向きに座ったミアの腰を片腕で抱き、もう一方の手で手綱を掴んで馬を走らせる。
突如近くなった距離感に、心構えも何もしていなかったミアの心臓は、うるさい程に全身に心音を響かせる。悠々と駆ける馬の背に揺られる彼女の身体は、いつになく熱い。
「団、団長……!あの、一体っ……!」
何故かドキドキする気持ちと、慣れない馬の揺れに言葉を詰まらせていると、耳元で囁かれる力強い声にミアの身体が不思議と震えた。
「舌を噛みたくなかったら黙ってろ」
「……っ!」
「これから全部隊の隊長及び、各隊の召喚士長と共に円卓会議を行う。厄介な事にお前も参加対象だ。くれぐれも口を慎むように……いいな?」
静かに黙って頷くと、抱きしめられる力がほんの僅かに優しくなる。リヒトの手から伝わってくる熱に、不思議と心が落ち着いていく感覚に、風を感じながら呼吸を整えた。
見慣れない景色はより一層華やかしさを増していくのに気づき、見えてきた王宮に息を飲む。
(まさかとは思うけど……向かってる場所って、もしかして……?)
馬を走らせる方向は、明らかに王宮目掛けて一直線だ。迷うことなくリヒトは道を選び、そのまま風を切って進んでいく。
ヘマだけはしないと自分に言い聞かせ続けていると、気づけば王宮へと辿り着いていた。一般庶民であるミアが訪れることはまずない王宮を前に、自然と口が開いてしまう。
リヒトがするりと馬から降りていったのも気づかずに、豪華絢爛な王宮を眺めていると、ぐいと手を再び引かれた。
横座りのために簡単に体勢は崩れ、ミアは気がつけばリヒトの腕の中にいた。
「団長……?」
「少し黙れ」
荒々しく吐き出したリヒトの声に、口をつぐんでしまったがミアは動揺を隠しきれないでいた。降りるのが遅いミアを無理くり降ろした、ならまだ分かる。
だが、リヒトは両腕でミアを抱えたまま一向に離す気配がない。
「この場にお前を連れてきたくは無かったが……」
「?」
「俺が傍にいる。何があっても離れるなよ」
こんな王宮を前にして単独行動を取るほど間抜けに見えているのだろうかと、自分が情けなくなっていると、優しい手が頭を撫でた。
「行くぞ」
いつにも増して真剣な面立ちで瞳を覗かれ、背筋が伸びる。離された腕に、少しだけ寂しさを覚えつつ、リヒトが進む道を辿るようにミアも王宮の敷地内に足を踏み入れた。
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