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8話
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ここでの食事は朝食だというのにとても華やかだ。
今までは朝、スカーレットがパンにハムと目玉焼きを乗せたものなどを作ってくれ、それはそれで慎ましくも幸せな朝食ではあったのだが、流石にこれは反則だ。
焼き魚にサラダにスープ、各種フルーツが丁寧に盛られたお皿、パンは焼き立てでとてもいい香りがする。
ただ一つ問題があった。
怪我の療養中に何度かグレンと食事をするうちに気が付いたのではあるが━━。
「……どうした?」
「いや、あの…実はマナーとか、そういうのがわからなくて、グレンを不快にさせてるかも…」
そう、俺はこういう形式ばった場での経験がなく、なんとなく見よう見まねで食事をしていたが、流石に不安だったのだ。
「ふん、朝食ぐらいでマナーなど気にするな」
先程まで丁寧に食べていたグレンだったが、煩雑にフォークを置くと、手掴みでパンを食べ始め、凄い勢いでお皿を空にしていく。
それに倣って俺も食べ始める。
「おいひい…♪」
どれもこれも美味しい、スカーレットにも食べさせてあげたかった。
俺が身を買われる事になったのだが、結果として俺の方が良い思いをしてしまっている気がする。
…などと今考えていても仕方がないので、目の前にある食事に集中した。
「あまっ♪」
フルーツを食べていると、何やら視線を感じる。
「……グレン?」
「なんだ?」
「えーっと…どうかしたのかなって」
「暇だから観察をしている」
よく見るとグレンはなんともう食べ終えている。
そして腕を組んで俺を見つめていた。
「ごめん!早く食べるよ」
「いや、そのままでいい」
「う…でもそんなに見られていると食べにくいよ」
「慣れろ」
慣れろと言われても…と思ったが、俺にはどうすることもできないので諦めてスープを飲み、残りの食べ物を口へと運んでいく。
「ふぅ、美味しかった~、ありがとうグレン」
「さて、アルク、片づけが済んだら俺の部屋に来い」
「ん、わかった」
台車のようなものに食器を置き、人形と一緒に台所へと向かう。
それにしても何の用だろう。
新しい仕事でも任されるのだろうか。
正直このままだと人形のサポートをしているだけで特に俺の必要性は感じない。
人形が洗う皿を拭き終わり、一通り清掃が終わったようなので、足早にグレンの部屋へと向かう。
「入るよ」
「あぁ」
部屋は何やら不思議な香りが漂っていた
少し甘いような、眠くなるような、そんな香りだ。
「さてアルク、身体の調子はどうだ?」
「うん、もうだいぶ良くなったけど、たまにフッと力が抜ける時があるね」
「ふむ、やはりか」
俺の身体がどれほど酷かったのかはわからないが、体調はとても調子がいい。
でも時折力が抜けて転びそうになる事があるのだ。
「おそらくそれは私がお前の身体に影響を与えすぎた結果だ」
「?」
何やら難しい事を説明される。
比較的複雑な魔術を使い強引に脳の表面を修復した事で、魔力を持っていないのにも関わらず俺の身体は時折魔力欠乏のような錯覚を起こしてしまうらしい。
「つまり?どうすれば治るの?」
「まぁひとまずはコレを飲め」
何やら白っぽい、銀色のような液体が入ったガラスの小瓶を渡される。
匂いを嗅ぐとその香りは部屋で漂っているものそのもののようだ、見た目は美味しそうではないが、香りは悪くない。
「んではいただくよ?」
特に何の疑問も抱かずに口をつける。
瓶を逆さにするとゆっくりと口の中に入ってくる。
とろみがあるようだ、舌で少しずつ舐めとるように摂取する。
とても不思議な味がする。
ものすごく美味しいわけではないが、身体がコレを求めているような、そんな感覚が全身に行き渡る。
「ん……」
「どうだ?身体に異常はないか?」
「特に何も?んん゛っなんか少し喉に絡むけど」
「そうか」
「ところでこれは何の薬?だったの?」
「私の魔力を一般人用に摂取できるようにしたものだ」
「ふぅん」
「では次はスカート捲り、腹を見せろ」
「えっ?」
グレンは俺の目の前にくると、跪くような姿勢になる。
早くしろ、というように赤い瞳で俺の目を見つめる。
この男の前で抵抗しても無駄な事はわかっているが、目の前でスカートを捲るのは流石に厳しい。
「うぅ…なんでこんな…」
なんとか覚悟を決め、グレンの前でゆっくりとスカートを捲る。
なぜこんな恥ずかしい事をさせるのか、考えが追いつかないがグレンの手がスルスルと滑り込み、そのままお腹に触れる。
「ん………」
グレンの手は少し冷たい。
しかしそれとは対照的に段々とお腹の中が熱くなっていく。
「ぐ、グレン?なんかお腹が…」
「じっとしていろ」
徐々にグレンの手は下に下がっていき、おへそ、そしてすぐパンツの上、下腹部をゆっくりと撫でる。
「うぅ…なんかくすぐったい…」
ジワジワと爪楊枝でなぞられているような、そんな感覚が下腹部をピリピリとさせ、少しスイッチが入ってしまう。
それに加えてグレンに思いっきり女性用下着を見せつけているというその恥ずかしさのせいで、少しずつアソコが反応してしまう。
すぐ目の前にいるグレンには伝わってしまっているかもしれない。
グレンはそんな大ピンチな俺に何も言わず下腹部を撫で回している。
まったく、本当にこれは一体なんなんだ。
「ねぇグレン…これは━━━━」
我慢ができず、グレンに聞こうとすると下腹部全体に電気が走ったような感覚がすると、俺はそのまましゃがみ込んでしまった。
「ふむ、まぁ成功だな」
「ぁ…ぁ……」
突然の刺激で失禁してしまったかと思った。
恐る恐る股を探ってみても濡れたりはしておらず、大惨事には至らなかったようだ。ふらついた足で立ち上がる。
「グレン…!何をするのさ!」
「ふっ、すまん、最後のはちょっとしたイタズラだ」
「い、イタズラ!?」
「お前の身体に俺の仮の魔力回路を焼いておいた。これでもうふらついたりする事はないだろう」
「うん?なんだかよくわからないけどありがとう…なのかな?」
どうやら治療のような事をしてくれていたらしい、下腹部はまだ少しピリピリする。
グレン曰くこの魔力回路というものは他にも色々便利な効果があるらしい。
彼が空中で手を撫で回すような動きをすると下腹部が熱くなってくる。
「え…えっ…?何が起きて…?」
流石に下腹部が気になり、グレンに背を向けスカートをめくってお腹を見る。
下腹部には何やら怪しい模様のような、タトゥーのようなものが描かれている。
「ぐ、グレン…?なにこれ」
「魔力回路だと言っただろう?それでお前の状態がどうなのか大体わかる、スカーレットに使ったものを強力にしたものだ」
「わかるって、それどこまで…」
「更に呼び鈴機能もあるぞ、普段はこちらしか使わんから安心しろ」
グレンがクイと手首を動かすと、不意に下腹部にピリピリと弱い電気が走りパンツがムクりと波打つ。
「ぐ、グレンっっ!!」
俺は前屈みになりグレンを睨みつける。
これは流石に悪趣味だ。
「アルク、私は回路を作っている時どのような合図にするか迷っていたのだ、右手が挙がる…とかな。その時お前がソレを必死に反応させていたから、つい、な」
「ついじゃない!!戻せ!」
グレンにココが反応していた事がバレていたのも恥ずかしかったし、こんな風な身体になってしまったことも恥ずかしく、もうわけがわからずグレンに飛びかかる事しかできなかった。
「おっと、悪い事ばかりではない、いざという時にお前を守る事ができるのだ」
「うぅ、なにがぁ…」
あっさり拳はグレンに受け止められ、そのまま抱きつくような形になってしまう。
「アルク、お前は私の弱点になりうる、お前はとんでもなく弱いからな。だからコレを通して私が守ってやると言っているのだ」
「…………」
悔しいが何も言い返せなかった。
実際俺はスカーレットの時も何もできなかったし、それが原因でグレンの足を引っ張ったのは事実だ。
「さて、理解できたか?お前がここを去る時にはきちんと解除してやる、その頃には欠乏症もどきも治るだろう」
俺の頭をぽんぽんと叩くとグレンは出ていってしまった。
その背に何か文句や皮肉を言いたかったが、言い負かされる事は目に見えており何も言えず、
下腹部の妙な余韻を感じながらその場に座り込む事しか俺にはできなかった。
今までは朝、スカーレットがパンにハムと目玉焼きを乗せたものなどを作ってくれ、それはそれで慎ましくも幸せな朝食ではあったのだが、流石にこれは反則だ。
焼き魚にサラダにスープ、各種フルーツが丁寧に盛られたお皿、パンは焼き立てでとてもいい香りがする。
ただ一つ問題があった。
怪我の療養中に何度かグレンと食事をするうちに気が付いたのではあるが━━。
「……どうした?」
「いや、あの…実はマナーとか、そういうのがわからなくて、グレンを不快にさせてるかも…」
そう、俺はこういう形式ばった場での経験がなく、なんとなく見よう見まねで食事をしていたが、流石に不安だったのだ。
「ふん、朝食ぐらいでマナーなど気にするな」
先程まで丁寧に食べていたグレンだったが、煩雑にフォークを置くと、手掴みでパンを食べ始め、凄い勢いでお皿を空にしていく。
それに倣って俺も食べ始める。
「おいひい…♪」
どれもこれも美味しい、スカーレットにも食べさせてあげたかった。
俺が身を買われる事になったのだが、結果として俺の方が良い思いをしてしまっている気がする。
…などと今考えていても仕方がないので、目の前にある食事に集中した。
「あまっ♪」
フルーツを食べていると、何やら視線を感じる。
「……グレン?」
「なんだ?」
「えーっと…どうかしたのかなって」
「暇だから観察をしている」
よく見るとグレンはなんともう食べ終えている。
そして腕を組んで俺を見つめていた。
「ごめん!早く食べるよ」
「いや、そのままでいい」
「う…でもそんなに見られていると食べにくいよ」
「慣れろ」
慣れろと言われても…と思ったが、俺にはどうすることもできないので諦めてスープを飲み、残りの食べ物を口へと運んでいく。
「ふぅ、美味しかった~、ありがとうグレン」
「さて、アルク、片づけが済んだら俺の部屋に来い」
「ん、わかった」
台車のようなものに食器を置き、人形と一緒に台所へと向かう。
それにしても何の用だろう。
新しい仕事でも任されるのだろうか。
正直このままだと人形のサポートをしているだけで特に俺の必要性は感じない。
人形が洗う皿を拭き終わり、一通り清掃が終わったようなので、足早にグレンの部屋へと向かう。
「入るよ」
「あぁ」
部屋は何やら不思議な香りが漂っていた
少し甘いような、眠くなるような、そんな香りだ。
「さてアルク、身体の調子はどうだ?」
「うん、もうだいぶ良くなったけど、たまにフッと力が抜ける時があるね」
「ふむ、やはりか」
俺の身体がどれほど酷かったのかはわからないが、体調はとても調子がいい。
でも時折力が抜けて転びそうになる事があるのだ。
「おそらくそれは私がお前の身体に影響を与えすぎた結果だ」
「?」
何やら難しい事を説明される。
比較的複雑な魔術を使い強引に脳の表面を修復した事で、魔力を持っていないのにも関わらず俺の身体は時折魔力欠乏のような錯覚を起こしてしまうらしい。
「つまり?どうすれば治るの?」
「まぁひとまずはコレを飲め」
何やら白っぽい、銀色のような液体が入ったガラスの小瓶を渡される。
匂いを嗅ぐとその香りは部屋で漂っているものそのもののようだ、見た目は美味しそうではないが、香りは悪くない。
「んではいただくよ?」
特に何の疑問も抱かずに口をつける。
瓶を逆さにするとゆっくりと口の中に入ってくる。
とろみがあるようだ、舌で少しずつ舐めとるように摂取する。
とても不思議な味がする。
ものすごく美味しいわけではないが、身体がコレを求めているような、そんな感覚が全身に行き渡る。
「ん……」
「どうだ?身体に異常はないか?」
「特に何も?んん゛っなんか少し喉に絡むけど」
「そうか」
「ところでこれは何の薬?だったの?」
「私の魔力を一般人用に摂取できるようにしたものだ」
「ふぅん」
「では次はスカート捲り、腹を見せろ」
「えっ?」
グレンは俺の目の前にくると、跪くような姿勢になる。
早くしろ、というように赤い瞳で俺の目を見つめる。
この男の前で抵抗しても無駄な事はわかっているが、目の前でスカートを捲るのは流石に厳しい。
「うぅ…なんでこんな…」
なんとか覚悟を決め、グレンの前でゆっくりとスカートを捲る。
なぜこんな恥ずかしい事をさせるのか、考えが追いつかないがグレンの手がスルスルと滑り込み、そのままお腹に触れる。
「ん………」
グレンの手は少し冷たい。
しかしそれとは対照的に段々とお腹の中が熱くなっていく。
「ぐ、グレン?なんかお腹が…」
「じっとしていろ」
徐々にグレンの手は下に下がっていき、おへそ、そしてすぐパンツの上、下腹部をゆっくりと撫でる。
「うぅ…なんかくすぐったい…」
ジワジワと爪楊枝でなぞられているような、そんな感覚が下腹部をピリピリとさせ、少しスイッチが入ってしまう。
それに加えてグレンに思いっきり女性用下着を見せつけているというその恥ずかしさのせいで、少しずつアソコが反応してしまう。
すぐ目の前にいるグレンには伝わってしまっているかもしれない。
グレンはそんな大ピンチな俺に何も言わず下腹部を撫で回している。
まったく、本当にこれは一体なんなんだ。
「ねぇグレン…これは━━━━」
我慢ができず、グレンに聞こうとすると下腹部全体に電気が走ったような感覚がすると、俺はそのまましゃがみ込んでしまった。
「ふむ、まぁ成功だな」
「ぁ…ぁ……」
突然の刺激で失禁してしまったかと思った。
恐る恐る股を探ってみても濡れたりはしておらず、大惨事には至らなかったようだ。ふらついた足で立ち上がる。
「グレン…!何をするのさ!」
「ふっ、すまん、最後のはちょっとしたイタズラだ」
「い、イタズラ!?」
「お前の身体に俺の仮の魔力回路を焼いておいた。これでもうふらついたりする事はないだろう」
「うん?なんだかよくわからないけどありがとう…なのかな?」
どうやら治療のような事をしてくれていたらしい、下腹部はまだ少しピリピリする。
グレン曰くこの魔力回路というものは他にも色々便利な効果があるらしい。
彼が空中で手を撫で回すような動きをすると下腹部が熱くなってくる。
「え…えっ…?何が起きて…?」
流石に下腹部が気になり、グレンに背を向けスカートをめくってお腹を見る。
下腹部には何やら怪しい模様のような、タトゥーのようなものが描かれている。
「ぐ、グレン…?なにこれ」
「魔力回路だと言っただろう?それでお前の状態がどうなのか大体わかる、スカーレットに使ったものを強力にしたものだ」
「わかるって、それどこまで…」
「更に呼び鈴機能もあるぞ、普段はこちらしか使わんから安心しろ」
グレンがクイと手首を動かすと、不意に下腹部にピリピリと弱い電気が走りパンツがムクりと波打つ。
「ぐ、グレンっっ!!」
俺は前屈みになりグレンを睨みつける。
これは流石に悪趣味だ。
「アルク、私は回路を作っている時どのような合図にするか迷っていたのだ、右手が挙がる…とかな。その時お前がソレを必死に反応させていたから、つい、な」
「ついじゃない!!戻せ!」
グレンにココが反応していた事がバレていたのも恥ずかしかったし、こんな風な身体になってしまったことも恥ずかしく、もうわけがわからずグレンに飛びかかる事しかできなかった。
「おっと、悪い事ばかりではない、いざという時にお前を守る事ができるのだ」
「うぅ、なにがぁ…」
あっさり拳はグレンに受け止められ、そのまま抱きつくような形になってしまう。
「アルク、お前は私の弱点になりうる、お前はとんでもなく弱いからな。だからコレを通して私が守ってやると言っているのだ」
「…………」
悔しいが何も言い返せなかった。
実際俺はスカーレットの時も何もできなかったし、それが原因でグレンの足を引っ張ったのは事実だ。
「さて、理解できたか?お前がここを去る時にはきちんと解除してやる、その頃には欠乏症もどきも治るだろう」
俺の頭をぽんぽんと叩くとグレンは出ていってしまった。
その背に何か文句や皮肉を言いたかったが、言い負かされる事は目に見えており何も言えず、
下腹部の妙な余韻を感じながらその場に座り込む事しか俺にはできなかった。
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