人形館の花魁達と館の主人

黒部

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作家と人形

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いらっしゃいませ、御客様

主人の《ソウ》で御座います

え?本日は取材させて欲しいと?

どのような…嗚呼、あの子をですか

ええ、良いですよ

おや?もしかして、御客様…

やはり!あの有名な作家様で御座いましたか!

そうでしたか…私、何度か作品を拝見していたもので…

では、御案内します

どうぞ、夢の時間を…

~~~

「本日取材をさせて頂きます、作家の荒山と申します。どうぞよろしく」

「ヨシと申します、どうぞそちらへ御掛けに…」

ヨシ

少女の姿をした人形

見ただけでは違和感は無いが

関節や目を見ると人形そのものである

ヨシの目は紫水晶を使用しており

とても美しい色をしている

「荒山様…本日はどのような御話をしましょうか?」

彼女の元主人は噺家だったそうで

話し方も上手く

多くの話を知っていて

何度聞いても飽きないと評判である

「では…君の十八番にしようか」

「かしこまりました…」

~~~

おや、どうされました?御客様…

ヨシについて教えてくれ?

嗚呼…そうでしたか、貴方は……

良いでしょう、教えます

ヨシはある噺家から譲り受けた子です

正確にはその家族から…の方が正しいですかね

その噺家…主に“怪談”専門の噺家で

自分も怪談の一部になりたいと思い、人形作家に頼んだのです

『俺が死ぬまでに、俺の“骨”を使って一体の人形を作れ』

どう言うことか分かりますか? 

生きてる時の自分の骨を使うのです

麻酔なんてありませんし

骨から筋肉を削ぎ落とすのです

一枚一枚‥ゆっくりと…

痛みのあまり噺家は絶叫し、狂い…

四肢の骨を採った後、絶命したそうですよ

そんな変わり者の骨で作られた人形が“ヨシ”

え?どうやって骨を使ったか?

焼いた骨を砕いて漆喰に混ぜ、肌に塗り込んだのです

因みに人形作家は、漆喰が足りなくなった時
 
死んだ噺家の墓を掘り起こして

骨を盗んでいったそうですよ

ヨシは噺家と人形作家の二人の魂が籠った人形

本当に怪談として語り継がれています

噺家の家族は気味悪いと私に預けたのです

噂もあります

どうぞ、夜道には十分御注意を…
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