先生、教えて。

オトバタケ

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 俺が入学した高校は、議員の家から車で二時間ほど離れていて、街からも一時間は離れている山の中にあった。
 一学年百人ほどの生徒のほとんどは幼稚舎からエスカレーター式であがってきた者達で、高等部からの編入者は俺だけだった。
 慣れない環境ではあったが、寮の部屋は独り部屋だったので、やっと確保できた一人の空間に安堵の息を吐いた。
 だが、安息の日々はすぐに終わることとなる。

 入学式を終えて一週間が経った頃、食堂で夕飯を摂って部屋に戻ろうと廊下を歩いていると、突然誰かに腕を掴まれて自室ではない部屋に連れ込まれたのだ。
 俺を無理矢理連れ込んだのは、何度か言葉を交わしたことのある同じクラスの委員長だった。
 大手証券会社の社長の息子の委員長の、優等生を絵に描いた姿はそこにはなく、劣情に染まった瞳でベッドに押し倒した俺を見つめている。
 この目は、中学の時に街で出会った、赤ん坊の俺を育てたと告げてきた母親の昔の男と一緒だ。
 気持ち悪い――!
 さっき食べた夕飯が、胃を逆流して迫り上がってきてしまう。

 必死で吐き気に耐えていると、俺のズボンと下着を無理矢理下げた委員長が、尻に何かトロリとした液体を垂らせてきた。
 何をされているのか、何をされようとしているのか、突然の事態に状況を理解しきれていない俺は、されるがままに委員長に身を任せていた。
 それを俺の同意と取ったのか、委員長の指が出すことしか知らなかった俺の孔に、遠慮なく挿し込まれた。
 そこで初めて、母親が男と夜な夜なやっていた行為を、息子の俺が母親と同じ役割でするのだと分かった。

 あんな汚ならしい行為を母親と同じ役割でやるなんて嫌だ!
 体を捻って逃げようとすると、挿し込まれていた委員長の指が、その動きでソコを掻き混ぜてしまった。
 甘い痺れが背中に走って、母親があげていたような甲高くて甘ったるい声が漏れてしまう。
 嫌よ嫌よも好きのうち、と自分勝手な解釈をしたのか、委員長は本格的にソコを解していった。
 頭では拒否しているのに、体は快感を求めて委員長を受け入れている。

 我慢できなくなったのか、解すのも程々に下半身を包む衣を脱ぎ捨てた委員長が、猛り立ったモノを押し込んできた。
 相手の意思など関係なく自分の欲望を満たすための犯罪行為だというのに、脳内では警鐘が鳴り響き逃げろと告げているのに、快感を求めて委員長の動きに合わせて浅ましく腰を振ってしまう。
 性的なことに嫌悪感を抱き、自己処理すらしたことがなかったのに、与えられた快楽で母親と同じ穢れた血が喜び、夢中で高みを目指してしまっている。
 委員長が満足して動きを止めても、俺は壊れた玩具のように腰を振り続けて、底無しに快楽を求め続けてしまった。

 それから時折、委員長と体を重ねるようになった。
 委員長から俺の話を聞いたのか、廊下を歩いていると知らない奴に部屋に連れ込まれて、関係を持ったりもした。
 高一の一年間で十センチ背が伸びて百八十センチ近くなっても、先輩、同級生、後輩と、求められたら誰とでも寝た。
 俺より小柄で女の子のような顔をした奴に突っ込まれ、女のように喘ぐこともあった。
 上の口でも下の口でもブツを咥え、俺を見下ろす何対もの瞳に見つめられて獣のように腰を振り、そんな俺の姿に興奮した奴らの廃液で体中をドロドロにしたこともあった。

 事を終えた後は、あんなに嫌っていた行為を母親と同じようにしてしまった自分に酷く落ち込んだ。
 もう二度とするもんかと誓うのに、求められると穢れた血が喜び、無心に快感を求めてしまった。
 前での快感を知れば母親のように挿し込まれて啼くことはなくなるだろうと思ってネコの奴を抱いてみたが、前だけでは刺激が足りずに後ろが疼いてしまい、無意識に自分の指を挿し入れて満足させていた自分に絶望した。
 俺は母親とは違うんだ、と思えば思うほど快感は強くなり、どんどんと行為にハマっていってしまった。

 高二から高三にあがる春休み、息の詰まる議員の家に居たくない俺は、夜な夜な繁華街に出て行きずりの男と関係を持っていた。
 その夜、声を掛けてきた大学生風のチャラい見た目の男に付いていくと、ラブホテルではなくマンションの一室に連れていかれた。
 部屋に入ると、俺に声を掛けてきた奴と同じようなチャラい男が三人いた。
 四対一で交わるわけだな、と特に驚きもせず、ニヤニヤと不気味に笑う男達を見ていると、俺を連れてきた男に腕を掴まれて、手早く注射針を刺されて注射器の中の蛍光ピンクの液体を注入された。
 ヤバイ薬だと瞬時に理解したが、今までの行為の罰が遂に下るのか、と全てを諦めて受け入れてしまっていた。

 薬で朦朧とする俺に、男達は解しもせずに無理矢理突っ込んできた。
 薬のせいで痛みは感じなかったが、ミシミシと体全体に響く音で、ソコが裂けたことが分かった。
 男達は、たぶん血を流しているソコに構うことなく抽挿を繰り返しながら、俺の顔を殴ったり、鞭で背中を叩いてきたりした。
 一人が達すると次の奴が挿ってきて、他の奴は火のついたロウソクを持ってきて体中にロウを垂らしたり、口内にブツを入れて排尿をしてきたりもした。
 何度目か分からない廃液が後ろに注がれたのを感じたのを最後に、俺の意識は途絶えた。

 気が付くと固いベッドに寝かされていて、心配そうに俺の顔を覗いていたアラフォーくらいの女性にいきなり怒られた。
 自分をもっと大切にしなさい、と怒っている女性は白衣を着ている。
 周りを見渡すと医療器具が並んでいて、ぷーんと薫る独特の薬品臭から、ここは病院で女性は医者なのだと分かった。
 どうしてここにいるのだろう、と自分の置かれている状況が分からずに眉を顰めていると、病院の前に倒れていたのだと女医が教えてくれた。
 あのまま死んでもよかったのに、と思っているのが伝わってしまったのか、女医に再び怒られた。

 生きることに迷っているなら此処に行ってみなさい、と紹介されたのが今働いている施設だった。
 施設の子達の無垢な魂に触れ、それを護りたいと思い、穢れた血に縛られて先の見えなかった俺の人生に希望の光が射した。
 施設を訪ねてからは男達との淫らな関係は断ち、議員の家にいても息苦しさに負けることはなくなった。
 あの時俺を助けてくれて、希望を見つける手助けをしてくれた女医が、梅田先生なのだ。
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