おやじが女子高生に恋をした

masaaky

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今日もいつもの日常3/3

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『おはようございます。』

『あぁ、おはよう。今日はえらく元気がいいなぁ。』

会社の前で部長に会った。
もちろんいつも挨拶はする。
社会人として当然だ。
でもいつもより少しテンションが高かったのかもしれない。
部長がいつもより元気がいいというのだから、そうなのだろう。

いつもきれいに整頓された自分の机の前で今日の仕事の段取りを始める。
福士は会社の経理の仕事をしている。
営業とかには向いていない。
人としゃべることはとにかく苦手である。
今の仕事は自分に向いている。
ただひたすら領収書と電卓と帳簿ににらめっこだ。
無機質なものと向き合っていると何だか心が落ち着く。
というより何かに集中しているこの時間が心地よい。
目の前に片付けなくてはいけない仕事が山積みになればなるほど自分の心は充実していく。

『あれー?何だか今日はとっても機嫌がよさそうですね。』

隣の席の女子社員が声をかけてきた。
彼女の名前は小林翔子。
高校を卒業してすぐにこの会社に入社してきた。
5年目になるので、もう23歳になるのかな。
とにかくよくしゃべる子だ。
福士は無口なのでしゃべりかけても
『うん。』
とか
『そうだね。』
とか相槌を打つくらいなのだが、それでも話をやめずしゃべりかけてくる。
いつもは翔子がしゃべりかけてくることで、仕事の手が止まってしまうことがあるのでなるべく目を合わさないようにしていた。
でも今日はなぜか顔を上げて
『そんなことないと思うんだけどな。』
と答えてしまった。

珍しく目が合い、いつもと違う返事に戸惑った表情を一瞬したものの、すぐに翔子はここぞとばかりにしゃべりかけてきた。
『あれー。やっぱりそうですよ。何だか今日は機嫌よさそうです。何かあったんですかー?』

『・・・。な・な・なにもないよ・・・。』
すぐに口ごもってしまい、下を向いた。

誰かのことを考えたり、昔の思い出を思い出したり、久しくそんなことはなかった。
学生服を着ている自分を思い出しとことなどここ数年なかった。

(たしか、家の押し入れに高校の卒業アルバムがあったな・・・。家に帰って今日は卒業アルバムを見よう。)

家に帰るのが楽しみになった。

いつも家に帰るのが楽しみではない。
かといって、会社の同僚と飲みに行くのも好きではない。
会社の愚痴を聞かされるからだ。
彼女もいないし、何かに夢中になる趣味も特にはない。

43歳になるこの年までずっとこんな同じような生活をしてきた。

『小林さんって、同窓会とかってある?』

『えっ。ありますよ。同窓会っていうか、仲のいい友達とかとは何人かでよく集まって女子会しています。ちゃんとした同窓会っていつ以来かな??えーっと、たしか・・・』

(しまった。話が長くなりそうだ・・・。部長がちらっとこっちを見ている。)

『あ、そうなんだ。そうだ、トイレ行ってきます。』

『同窓会でもあるんですか?』

祥子がそう言って話を続けようとしていたので、急いで立ち上がってトイレに駆け込んだ。

(ふっー。たぶんあの調子だと30分くらいはしゃべり続けられたな・・・)

トイレがしたかったわけではないので、用を足したふりをして一息をついた後周りを見渡してゆっくりと席に着いた。

祥子は給湯室に向かったのだろうか隣の席にはいなかった。

(同窓会っていつから行っていないのかな?そんな機会でもなければ二度と彼女と会うこともないだろうしな。でも同窓会があってもそもそも彼女が来るかどうかもわからないしな・・・)

今日バスで会った女子高生がたまたま昔好きだった同級生の女の子に似ていたかもというだけでこうだ。
しかも25年前の思い出なのでそもそも彼女と似ていたのかさえも記憶が曖昧だ。

(今度、吉田くんたちに会ったら聞いてみよう。)

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