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黄金の夜明け
黄金の夜明け⑥
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「ねえましろ……もしかして死霊の声が聞こえたの?」
「いや、聞こえてはいないけど何となくわかったんだ」
「そう……」
「しんみりしてるところ悪いけど僕らはそろそろ逃げさせてもらうよ」
せつなと話しているとゼフレンがそう言ってきた。
「今さら逃がすかよ、捕まえてから何でせつなを捕まえようとしてるのか、お前らの目的は何なのか聞き出してやる。」
「それについてはその内話してやるよ、じゃあな」
ゼフレンはそう言うと、スカーレットが呪文を唱え出す。
「待てよ!」
ましろがゼフレンを捕まえようとすると、今までどこにいたのか人型の死霊が現れカレンとせつなを襲いだした。
「これは、ラッキーだったな」
ゼフレンがそう言ったかと思うとスカーレットの術が発動し姿が消えていく。
今からゼフレンを追うことは難しそうなので死霊を倒すために後ろを振り返る。せつなはまだ回復しきれていないらしく簡単な生霊術すら使うこともできずに死霊が目の前に迫っており、カレンがせつなを庇うために前にでていた。
「間に合え!」
ましろは急いで死霊を〈左手〉で掴む。
何とか間に合ったようで死霊は消え去った。
「ふう、危なかった。二人とも無事か?」
「何とかね」
「わたしはあれくらい平気」
せつながいつも通り減らず口を叩いていたので何だか安心したましろは視界が少しぐらついているがせつなに肩を貸そうとした。
「全く……少しは感謝の気持ちはないのかね……それじゃあ早く店にもどろ……」
早く店にもどって団子でも食べようと言おうとしたのだが、体に力が入らず倒れてしまった。
カレンが慌ててましろに駆け寄って体を起こそうとする。
「ましろ?……いけない、血が出てる!しかもこんなにたくさん、大丈夫なの!?」
「ましろ!ましろ!しっかりしてよ!」
せつなはましろの体を揺さぶり、珍しく取り乱していた。
全く……俺が倒れたくらいで何そんなに取り乱してるんだよ、らしくないぞ……それにちょっと泣いてるじゃねえかよ……
「これくらいで……泣くなよ……可愛い顔が台無しだぞ……」
ましろは、何とか腕に力を入れてせつなの涙を拭った。
「そんなこと言ったって……ましろのことが心配なんだから!ましろにまで置いてかれたら……わたし……」
「せつなさん!早くましろを病院に連れてかないと!このままだと死んじゃう」
「うん……わかった。ましろはわたしが助ける」
(……くそ、こんなところで死ぬわけにはいかないのに……体からどんどん力が抜けてく……)
ましろの意識は限界を迎え、そこで意識は途絶えてしまった。
「ぼうやとはいつ再戦できるかしらね?」
「さあな……だがいつまでも楽に倒せる相手じゃないだろうな」
ゼフレンたちはあの後地上に出ただけでまだルベール国内にいた。
「あら?あなたがそんなことを言うなんて珍しいわね」
「ふん、別にそうでもないだろ。ボスと戦った時なんて命がいくつあっても勝てないと思ったからな」
「ボスじゃないでリーダーでしょ?またあの子に怒られるわよ?それに、ぼうやもあの子と比べられたらかわいそうよ、次元が違うんだから」
「それもそうだな……というよりお前もリーダーをあの子何ていってるんじゃねえよ、また怒られるぞ」
「だって……ねぇ?」
スカーレットは何か言いたげにゼフレンの方を向いてる。
「言いたいことは分かるが言うなよ?」
「バレないバレない。あの子リーダーって言うには可愛いすぎ……」
ガキンッ!!!
スカーレットが何か言おうとしていたがそれを遮るように突然槍が地面に突き刺さった。
「ほらな、リーダーが怒ったじゃないか……」
「相変わらずあの子の能力は怖いわね……世界中どこにいても馬鹿にできないじゃない!」
「リーダーの能力はどれも恐ろしいからな……」
「あら?たくさんあるの?わたしは二つしか知らないんだけど」
「お前は二つだけか、俺は四つ見たことあるぞ」
「末恐ろしいわね……あなたは何の能力を見たの?わたしは今の空間系の能力ともう一つは……」
スカーレットが続きを話そうとしているとゼフレンが手を前に出し止めてきた。
「もうなによ~」
「止まれ、追っ手だ。それもかなりの大物だな……」
「はぁ、死霊との戦闘で疲れてるのに……殺されたいのかしら?」
「まあ、追っ手の命に関しては特に言われてないから殺しても構わんだろ……出てこいよ!我々に用があるんだろ?」
ゼフレンがそう言うと建物の影から一人の男が現れた。
「よう、こないだは世話になったな」
「……スコーピオンか……どうした?娘は死霊殺しに渡したが?」
「(そうか、アイツらはきちんとやってくれたか……)それならお前らを逃がすわけにはいか無いな。どうだい、大人しく捕まる気はないかい?」
スコーピオンは、手を広げ余裕の構えでそう聞いてきた。
「悪いがやることがまだあるのでね……あなたも大人しく店に戻って団子でも焼いてればどうだい?」
ゼフレンも同じく手を広げながらそう聞いた。
「「はは!」」
「僕も一度あなたと戦ってみたかったんですよね、最強の毒使いさんと」
「そう言われると嬉しいがこっちも早く店に戻って団子を食わせる約束してんだ。二人同時に掛かってきな!」
こうして、誰にも知られずにトップレベルの死霊殺しの激突が始まった。
「いや、聞こえてはいないけど何となくわかったんだ」
「そう……」
「しんみりしてるところ悪いけど僕らはそろそろ逃げさせてもらうよ」
せつなと話しているとゼフレンがそう言ってきた。
「今さら逃がすかよ、捕まえてから何でせつなを捕まえようとしてるのか、お前らの目的は何なのか聞き出してやる。」
「それについてはその内話してやるよ、じゃあな」
ゼフレンはそう言うと、スカーレットが呪文を唱え出す。
「待てよ!」
ましろがゼフレンを捕まえようとすると、今までどこにいたのか人型の死霊が現れカレンとせつなを襲いだした。
「これは、ラッキーだったな」
ゼフレンがそう言ったかと思うとスカーレットの術が発動し姿が消えていく。
今からゼフレンを追うことは難しそうなので死霊を倒すために後ろを振り返る。せつなはまだ回復しきれていないらしく簡単な生霊術すら使うこともできずに死霊が目の前に迫っており、カレンがせつなを庇うために前にでていた。
「間に合え!」
ましろは急いで死霊を〈左手〉で掴む。
何とか間に合ったようで死霊は消え去った。
「ふう、危なかった。二人とも無事か?」
「何とかね」
「わたしはあれくらい平気」
せつながいつも通り減らず口を叩いていたので何だか安心したましろは視界が少しぐらついているがせつなに肩を貸そうとした。
「全く……少しは感謝の気持ちはないのかね……それじゃあ早く店にもどろ……」
早く店にもどって団子でも食べようと言おうとしたのだが、体に力が入らず倒れてしまった。
カレンが慌ててましろに駆け寄って体を起こそうとする。
「ましろ?……いけない、血が出てる!しかもこんなにたくさん、大丈夫なの!?」
「ましろ!ましろ!しっかりしてよ!」
せつなはましろの体を揺さぶり、珍しく取り乱していた。
全く……俺が倒れたくらいで何そんなに取り乱してるんだよ、らしくないぞ……それにちょっと泣いてるじゃねえかよ……
「これくらいで……泣くなよ……可愛い顔が台無しだぞ……」
ましろは、何とか腕に力を入れてせつなの涙を拭った。
「そんなこと言ったって……ましろのことが心配なんだから!ましろにまで置いてかれたら……わたし……」
「せつなさん!早くましろを病院に連れてかないと!このままだと死んじゃう」
「うん……わかった。ましろはわたしが助ける」
(……くそ、こんなところで死ぬわけにはいかないのに……体からどんどん力が抜けてく……)
ましろの意識は限界を迎え、そこで意識は途絶えてしまった。
「ぼうやとはいつ再戦できるかしらね?」
「さあな……だがいつまでも楽に倒せる相手じゃないだろうな」
ゼフレンたちはあの後地上に出ただけでまだルベール国内にいた。
「あら?あなたがそんなことを言うなんて珍しいわね」
「ふん、別にそうでもないだろ。ボスと戦った時なんて命がいくつあっても勝てないと思ったからな」
「ボスじゃないでリーダーでしょ?またあの子に怒られるわよ?それに、ぼうやもあの子と比べられたらかわいそうよ、次元が違うんだから」
「それもそうだな……というよりお前もリーダーをあの子何ていってるんじゃねえよ、また怒られるぞ」
「だって……ねぇ?」
スカーレットは何か言いたげにゼフレンの方を向いてる。
「言いたいことは分かるが言うなよ?」
「バレないバレない。あの子リーダーって言うには可愛いすぎ……」
ガキンッ!!!
スカーレットが何か言おうとしていたがそれを遮るように突然槍が地面に突き刺さった。
「ほらな、リーダーが怒ったじゃないか……」
「相変わらずあの子の能力は怖いわね……世界中どこにいても馬鹿にできないじゃない!」
「リーダーの能力はどれも恐ろしいからな……」
「あら?たくさんあるの?わたしは二つしか知らないんだけど」
「お前は二つだけか、俺は四つ見たことあるぞ」
「末恐ろしいわね……あなたは何の能力を見たの?わたしは今の空間系の能力ともう一つは……」
スカーレットが続きを話そうとしているとゼフレンが手を前に出し止めてきた。
「もうなによ~」
「止まれ、追っ手だ。それもかなりの大物だな……」
「はぁ、死霊との戦闘で疲れてるのに……殺されたいのかしら?」
「まあ、追っ手の命に関しては特に言われてないから殺しても構わんだろ……出てこいよ!我々に用があるんだろ?」
ゼフレンがそう言うと建物の影から一人の男が現れた。
「よう、こないだは世話になったな」
「……スコーピオンか……どうした?娘は死霊殺しに渡したが?」
「(そうか、アイツらはきちんとやってくれたか……)それならお前らを逃がすわけにはいか無いな。どうだい、大人しく捕まる気はないかい?」
スコーピオンは、手を広げ余裕の構えでそう聞いてきた。
「悪いがやることがまだあるのでね……あなたも大人しく店に戻って団子でも焼いてればどうだい?」
ゼフレンも同じく手を広げながらそう聞いた。
「「はは!」」
「僕も一度あなたと戦ってみたかったんですよね、最強の毒使いさんと」
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