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剣帝
剣帝⑦
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「はぁー!!!」
ましろは、ライオネルに向かって突っ走る。今度は、先に〈範囲〉の時間を止める。ライオネルの時間も止まっているようだ。ましろは、そのことを確認したあと右手の指を鳴らし、自身の時間の流れを加速する。
そして、無銘がライオネルに当たる瞬間……
「またか!」
再びライオネルの姿が目の前から消えた。
「せつなうしろ!」
ライオネルは、せつなの後ろに姿を現していた。
せつなは、辛うじて飛んで回避する。
やはり、ライオネルの能力が分からないと攻撃を当てることすら叶わない。
カランカランッ!
「なんだ?」
いつの間にポケットが破れたのか、懐中時計が地面に落ちた。
……確かこの時計は……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「この時計は、お前にやるよ」
「別に要らないけどなぁ……」
「まあ、そう言うな。〈時間操作〉を使うなら基準の時間がいるだろ?それにこの時計は、少し特殊でな。〈時間操作〉を使っても時間がズレないんだ」
レインは、そう言ってましろの手の上に懐中時計を乗せる。
「基準の時間ってなんだ?」
「世界の元々の時間て言えばいいかな。詳しく言うと、お前は〈範囲〉にある時間の操作ができる。つまり、お前が能力を使うと〈範囲〉の中と外とで時間の流れがズレてしまうだろ?まあ、アレだ。お前が時間を止めて攻撃するとき〈範囲〉の中にいる奴は、一瞬の出来事に見えるが〈範囲〉の外にいる奴は、普通にお前が攻撃をしたように見える……その感覚のズレが時間の流れのズレだ」
「ん……うん?」
何となく分かるが、それがどうかしたのだろうか。別に時間の流れがズレても大したことなさそうだが……
「俺も詳しくは、分からんが時間の流れがズレるのはよくないことらしい。まあ、基準の時間と〈範囲〉の時間を比べてみて、きちんと〈時間操作〉が出来てるか確認用で使うなりしたらいいさ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そうだ。この時計は、基準の時間が分かる時計だった。
懐中時計の中では、金色の針と銀色の針が動いている。金色の針が基準の時間を示し、銀色の針が〈範囲〉の時間を示している。
〈範囲〉の時間を停止している間、銀色の針は動きを止めるので、基準の時間より遅れてしまう。また、自身の時間の流れを加速すれば、銀色の針が加速した分だけ早く進むので、基準の時間より早くなってしまう。
一応、懐中時計を確認してみると
……あれ?〈範囲〉の時間が少し遅れている。……
時間を止めた分だけ〈範囲〉の時間が遅れるかもしれないが、ましろは、加速を使ったので〈範囲〉の時間が早く進み過ぎていることはあっても〈範囲〉の時間が基準の時間よりも遅れるはずは無いのだが……
……絶対におかしい。俺が時間を巻き戻したりしない限り、基準の時間より〈範囲〉の時間が遅れるなんて……
「うしろ!」
「くっ」
せつなの指示が聞こえたので、地面を蹴りつけ前へ跳ぶ。
さらに、ライオネルが背後から突然現れ攻撃してきた。何とか塞ぐが、考え事をしている暇なんてない。
「ボーッとして何かあったの?」
「ごめん。少し考え事しちゃってた……」
「ライオネルは、一瞬で攻撃してくるんだから気を抜いたらダメ」
せつなが心配して隣に降り立つ。
確かに、せつなの言うとおりだ。〈範囲〉の時間が遅れていることは気になるが、そんなことを考えながら戦えるほどライオネルは、弱くない。
ましろは、懐中時計をポケットに直す前にもう一度時間を確認してみた。すると……
〈範囲〉の時間がさらに遅れていた。
「わかった……」
「え?」
「ライオネルの能力がわかった!」
「本当なの?」
せつなにライオネルの能力を説明する。
「確かに、それならライオネルがましろの攻撃を避けたり一瞬で背後をとったりしてくることも説明着くけど……」
「だから、ここからは……」
次は、作戦をせつなに教える。
「面白そうね」
「ライオネルの能力が俺の予想通りなら上手くいくはずなんだ」
「わたしもそう思う」
せつながニッコリと微笑んでくれる。それだけで、少し自信が沸いてきた。
「そろそろお話も終わったか?俺様も待つばっかで飽きたからもう、終わらせてやるよ!」
「悪いけど、終わらせるのは俺たちだ!」
ましろは、もう一度だけライオネルに向かって突っ込む。
しかし、今回は今までと異なりせつなも一緒に突っ込む。
「はは!そうこなくっちゃな!」
そして、ライオネルとましろ、せつなの二人がぶつかり合う。
ましろは、ライオネルに向かって突っ走る。今度は、先に〈範囲〉の時間を止める。ライオネルの時間も止まっているようだ。ましろは、そのことを確認したあと右手の指を鳴らし、自身の時間の流れを加速する。
そして、無銘がライオネルに当たる瞬間……
「またか!」
再びライオネルの姿が目の前から消えた。
「せつなうしろ!」
ライオネルは、せつなの後ろに姿を現していた。
せつなは、辛うじて飛んで回避する。
やはり、ライオネルの能力が分からないと攻撃を当てることすら叶わない。
カランカランッ!
「なんだ?」
いつの間にポケットが破れたのか、懐中時計が地面に落ちた。
……確かこの時計は……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「この時計は、お前にやるよ」
「別に要らないけどなぁ……」
「まあ、そう言うな。〈時間操作〉を使うなら基準の時間がいるだろ?それにこの時計は、少し特殊でな。〈時間操作〉を使っても時間がズレないんだ」
レインは、そう言ってましろの手の上に懐中時計を乗せる。
「基準の時間ってなんだ?」
「世界の元々の時間て言えばいいかな。詳しく言うと、お前は〈範囲〉にある時間の操作ができる。つまり、お前が能力を使うと〈範囲〉の中と外とで時間の流れがズレてしまうだろ?まあ、アレだ。お前が時間を止めて攻撃するとき〈範囲〉の中にいる奴は、一瞬の出来事に見えるが〈範囲〉の外にいる奴は、普通にお前が攻撃をしたように見える……その感覚のズレが時間の流れのズレだ」
「ん……うん?」
何となく分かるが、それがどうかしたのだろうか。別に時間の流れがズレても大したことなさそうだが……
「俺も詳しくは、分からんが時間の流れがズレるのはよくないことらしい。まあ、基準の時間と〈範囲〉の時間を比べてみて、きちんと〈時間操作〉が出来てるか確認用で使うなりしたらいいさ」
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そうだ。この時計は、基準の時間が分かる時計だった。
懐中時計の中では、金色の針と銀色の針が動いている。金色の針が基準の時間を示し、銀色の針が〈範囲〉の時間を示している。
〈範囲〉の時間を停止している間、銀色の針は動きを止めるので、基準の時間より遅れてしまう。また、自身の時間の流れを加速すれば、銀色の針が加速した分だけ早く進むので、基準の時間より早くなってしまう。
一応、懐中時計を確認してみると
……あれ?〈範囲〉の時間が少し遅れている。……
時間を止めた分だけ〈範囲〉の時間が遅れるかもしれないが、ましろは、加速を使ったので〈範囲〉の時間が早く進み過ぎていることはあっても〈範囲〉の時間が基準の時間よりも遅れるはずは無いのだが……
……絶対におかしい。俺が時間を巻き戻したりしない限り、基準の時間より〈範囲〉の時間が遅れるなんて……
「うしろ!」
「くっ」
せつなの指示が聞こえたので、地面を蹴りつけ前へ跳ぶ。
さらに、ライオネルが背後から突然現れ攻撃してきた。何とか塞ぐが、考え事をしている暇なんてない。
「ボーッとして何かあったの?」
「ごめん。少し考え事しちゃってた……」
「ライオネルは、一瞬で攻撃してくるんだから気を抜いたらダメ」
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確かに、せつなの言うとおりだ。〈範囲〉の時間が遅れていることは気になるが、そんなことを考えながら戦えるほどライオネルは、弱くない。
ましろは、懐中時計をポケットに直す前にもう一度時間を確認してみた。すると……
〈範囲〉の時間がさらに遅れていた。
「わかった……」
「え?」
「ライオネルの能力がわかった!」
「本当なの?」
せつなにライオネルの能力を説明する。
「確かに、それならライオネルがましろの攻撃を避けたり一瞬で背後をとったりしてくることも説明着くけど……」
「だから、ここからは……」
次は、作戦をせつなに教える。
「面白そうね」
「ライオネルの能力が俺の予想通りなら上手くいくはずなんだ」
「わたしもそう思う」
せつながニッコリと微笑んでくれる。それだけで、少し自信が沸いてきた。
「そろそろお話も終わったか?俺様も待つばっかで飽きたからもう、終わらせてやるよ!」
「悪いけど、終わらせるのは俺たちだ!」
ましろは、もう一度だけライオネルに向かって突っ込む。
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