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弥生
第六話
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午後九時半を過ぎた頃であった。
適当に夕食を採り、風呂に入って、居間で撮り溜めていたドラマを観ながら、独りの時間を満喫する。土曜日の夜の過ごし方は、大抵こんなものである。CMに差し掛かった頃合いに、スマホが震える。画面を開くと、貴俊からメッセージが入っている。
『マルさんがマコトと呑みたいって』
簡素な内容だったが、この手の呑みの誘いは珍しいことではない。マルさんは、昔からの常連客の一人で、俺が大学生でバイトを始めた頃から「だんや」によく呑みに来てくれていた。
ふっと息を吐いて、重い腰を上げた。
住居と店舗を隔てる引き戸を開ける。と、パン、パン、と銃声のような破裂音が響いて、面食らった。
「ハッピーバースデー!」
「…………なに?」
十席のカウンター席は見知った顔で埋まり、一斉にこちらに笑顔を向けていた。微かな火薬の臭いは、客達が手にするクラッカーによるものであるらしく、鮮やかな色の紙テープが地面に垂れていた。
「明日、マコトの誕生日だろ?みんなでお祝いしようってことになったんだよ」
大将が悪戯っぽく笑った。よく見れば、カウンター席の中央が一席空いている。苦笑いしながら、主役の席に腰を下ろした。ハルくんから熱いおしぼりを受け取り、手を拭う。
「……誕生日なんて忘れてたな」
「普通忘れるかぁ?」
まんまる顔のマルさんに、呆れたように笑われて、頭をかいた。年を重ねるたびに、誕生日というものに興味が薄れていくような気がする。
「あれ、そういえばハルくんも誕生日近かったんじゃなかったっけ?」
「俺は来週です」
ふと、昨夜の会話を思い出した。ハルくんは照れたように頬をかいた。
「なんだよー。大将、言ってくれよ」
マルさんが大袈裟に不貞腐れた顔をする。
「悪い。ハルの誕生日のこと忘れてた」
「ひどーい!」
カウンターの端から冗談目かした女性の声で野次が飛べば、「そうだ、そうだ」と大将に目がけてブーイングが飛ぶ。「悪い悪い」と貴俊がハルくんに頭を下げる。
「俺のことなんて、いいですって!」
ハル君は顔を赤らめて、制止する。初々しい反応が可愛らしい。ハルくんが作ってくれた焼酎の水割りを受け取ると、マルさんが音頭を取る。
「じゃあ、改めて……ハッピーバースデー、マコト!ハル!」
グラスをぶつけ合って乾杯する。既に赤い顔をしている呑兵衛達に追い付くように、焼酎を口に含んだ。大将がツマミにモロキュウを置いてくれる。
「それで、マコトは、いくつになるんだ?」
「……三十五になります」
警察官の強面のチバさんが遠くから声をかけてきた。
「うわ、そっかーマコトが三十五かぁ。ついこの間まで、大学生だったのになぁ。俺が年をとるわけだ」
「チバさんは、元々老け顔でしょー」
豪快に笑う五十半ばの中年男に、隣の女がツッコミを入れた。気がつけば、十年以上の付き合いなる彼等は、誰も彼も一様に年を重ねている。
この場で最も若く、キラキラした青年が思い出したように、厨房の奥に引っ込んだ。ハルくんが冷蔵庫から白い大きな箱を取り出して、俺の目の前に差し出した。
「マルさんからです」
近所にある有名洋菓子店の箱の中には、色とりどりのケーキが並ぶ。
「マコトとハルは主役だから、好きなケーキ選んでいいぞ」
「あはは、ありがとうございます。じゃあ、ハルくん、お先にどうぞ」
「いいんですかー?」
ハルくんは、少し迷ってガトーショコラを選んだ。俺は甘ったるい菓子は少し苦手なので、ベイクドチーズケーキにする。俺が選び終わると、いい年の大人達が、あーだこーだ言い合いながら、子供のようにはしゃいで、ケーキを選んでいった。
「いいなぁ、タルト美味しそう」
甘ったるい女の声がカウンターの端から聞こえた。俺より二つ年下の綺麗な女は、カウンターの向こう側の長身の男を見上げていた。
「食べかけだけど、いるか?」
貴俊は小首を傾げた。大将の持っている小皿には、食べ始めたばかりのチェリータルトが乗っていた。女は首を横に振って、ウェーブかかった長い髪をかきあげる。ネイルサロンで働く彼女の爪は、華やかな桜模様があしらわれていた。
「一口、ちょうだい」
彼女の艶っぽい催促を受けて、貴俊はフォークに一欠片のケーキ乗せて、カウンターから女の紅い唇に差し出した。女は唇を開いて、男のフォークを招き入れた。思わず、目を逸らした。胸の奥に暗い炎が灯り、熱く締め付ける。彼女には内縁の夫もいるはずであった。けれど、随分前から、貴俊のことを男として見ている、ような気がする。
「うわー、アイちゃん、やめろよ。マコトが妬くだろ」
マルさんが、冗談ぽく笑いながら二人を嗜めた。
「えー?」
アイちゃんは、キョトンとした顔で、わざとらしく口元を手で覆う。
「マコトはこんなことで妬いたりしませんよ」
貴俊は笑って「なぁ?」なんて、俺に話を振ってくる。
「まあ、イチイチ相手にしてられませんからね」
なんでもないことのように笑って、グラスを傾けた。
「マコトは大人だなー」
マルさんが、感心したように呟いた。
嫉妬しないなんてことはない。貴俊は俺とは違って、女性も恋愛対象と成り得るのだから、気にならないはずがない。けれど、客相手に嫉妬するような面倒臭いヤツになるのも、堪えられない。
「マコトさん、アイさんのこと狙っているんですか?」
小声で尋ねられて顔を上げると、垂れ目の青年が首を傾げていた。
「……いたッ」
貴俊がポンッとハルくんの頭を叩くと、常連達はワッと笑いだした。誰にも言ったこともなければ、聞かれたこともなかったが、長年の付き合いである彼等には、大将とマコトの関係は、おおかた察しがついているようであった。そして、そんな俺たちのことを、避けることもなく、色眼鏡で見ることもなく、あるがままに見守ってくれている彼等と酒を酌み交わすのは、居心地が良い一時であった。
「なんで、笑うんですかぁ?」
何も知らない新参者のハルくんだけは、ムッと口をへの字に曲げた。
「そのうち分かるわよ」
アイちゃんが、うふふと可愛らしく笑う。
呑み屋の新人店員にとって、一番厄介なのは、彼等のような常連客を相手にすることなのかも知れない。
適当に夕食を採り、風呂に入って、居間で撮り溜めていたドラマを観ながら、独りの時間を満喫する。土曜日の夜の過ごし方は、大抵こんなものである。CMに差し掛かった頃合いに、スマホが震える。画面を開くと、貴俊からメッセージが入っている。
『マルさんがマコトと呑みたいって』
簡素な内容だったが、この手の呑みの誘いは珍しいことではない。マルさんは、昔からの常連客の一人で、俺が大学生でバイトを始めた頃から「だんや」によく呑みに来てくれていた。
ふっと息を吐いて、重い腰を上げた。
住居と店舗を隔てる引き戸を開ける。と、パン、パン、と銃声のような破裂音が響いて、面食らった。
「ハッピーバースデー!」
「…………なに?」
十席のカウンター席は見知った顔で埋まり、一斉にこちらに笑顔を向けていた。微かな火薬の臭いは、客達が手にするクラッカーによるものであるらしく、鮮やかな色の紙テープが地面に垂れていた。
「明日、マコトの誕生日だろ?みんなでお祝いしようってことになったんだよ」
大将が悪戯っぽく笑った。よく見れば、カウンター席の中央が一席空いている。苦笑いしながら、主役の席に腰を下ろした。ハルくんから熱いおしぼりを受け取り、手を拭う。
「……誕生日なんて忘れてたな」
「普通忘れるかぁ?」
まんまる顔のマルさんに、呆れたように笑われて、頭をかいた。年を重ねるたびに、誕生日というものに興味が薄れていくような気がする。
「あれ、そういえばハルくんも誕生日近かったんじゃなかったっけ?」
「俺は来週です」
ふと、昨夜の会話を思い出した。ハルくんは照れたように頬をかいた。
「なんだよー。大将、言ってくれよ」
マルさんが大袈裟に不貞腐れた顔をする。
「悪い。ハルの誕生日のこと忘れてた」
「ひどーい!」
カウンターの端から冗談目かした女性の声で野次が飛べば、「そうだ、そうだ」と大将に目がけてブーイングが飛ぶ。「悪い悪い」と貴俊がハルくんに頭を下げる。
「俺のことなんて、いいですって!」
ハル君は顔を赤らめて、制止する。初々しい反応が可愛らしい。ハルくんが作ってくれた焼酎の水割りを受け取ると、マルさんが音頭を取る。
「じゃあ、改めて……ハッピーバースデー、マコト!ハル!」
グラスをぶつけ合って乾杯する。既に赤い顔をしている呑兵衛達に追い付くように、焼酎を口に含んだ。大将がツマミにモロキュウを置いてくれる。
「それで、マコトは、いくつになるんだ?」
「……三十五になります」
警察官の強面のチバさんが遠くから声をかけてきた。
「うわ、そっかーマコトが三十五かぁ。ついこの間まで、大学生だったのになぁ。俺が年をとるわけだ」
「チバさんは、元々老け顔でしょー」
豪快に笑う五十半ばの中年男に、隣の女がツッコミを入れた。気がつけば、十年以上の付き合いなる彼等は、誰も彼も一様に年を重ねている。
この場で最も若く、キラキラした青年が思い出したように、厨房の奥に引っ込んだ。ハルくんが冷蔵庫から白い大きな箱を取り出して、俺の目の前に差し出した。
「マルさんからです」
近所にある有名洋菓子店の箱の中には、色とりどりのケーキが並ぶ。
「マコトとハルは主役だから、好きなケーキ選んでいいぞ」
「あはは、ありがとうございます。じゃあ、ハルくん、お先にどうぞ」
「いいんですかー?」
ハルくんは、少し迷ってガトーショコラを選んだ。俺は甘ったるい菓子は少し苦手なので、ベイクドチーズケーキにする。俺が選び終わると、いい年の大人達が、あーだこーだ言い合いながら、子供のようにはしゃいで、ケーキを選んでいった。
「いいなぁ、タルト美味しそう」
甘ったるい女の声がカウンターの端から聞こえた。俺より二つ年下の綺麗な女は、カウンターの向こう側の長身の男を見上げていた。
「食べかけだけど、いるか?」
貴俊は小首を傾げた。大将の持っている小皿には、食べ始めたばかりのチェリータルトが乗っていた。女は首を横に振って、ウェーブかかった長い髪をかきあげる。ネイルサロンで働く彼女の爪は、華やかな桜模様があしらわれていた。
「一口、ちょうだい」
彼女の艶っぽい催促を受けて、貴俊はフォークに一欠片のケーキ乗せて、カウンターから女の紅い唇に差し出した。女は唇を開いて、男のフォークを招き入れた。思わず、目を逸らした。胸の奥に暗い炎が灯り、熱く締め付ける。彼女には内縁の夫もいるはずであった。けれど、随分前から、貴俊のことを男として見ている、ような気がする。
「うわー、アイちゃん、やめろよ。マコトが妬くだろ」
マルさんが、冗談ぽく笑いながら二人を嗜めた。
「えー?」
アイちゃんは、キョトンとした顔で、わざとらしく口元を手で覆う。
「マコトはこんなことで妬いたりしませんよ」
貴俊は笑って「なぁ?」なんて、俺に話を振ってくる。
「まあ、イチイチ相手にしてられませんからね」
なんでもないことのように笑って、グラスを傾けた。
「マコトは大人だなー」
マルさんが、感心したように呟いた。
嫉妬しないなんてことはない。貴俊は俺とは違って、女性も恋愛対象と成り得るのだから、気にならないはずがない。けれど、客相手に嫉妬するような面倒臭いヤツになるのも、堪えられない。
「マコトさん、アイさんのこと狙っているんですか?」
小声で尋ねられて顔を上げると、垂れ目の青年が首を傾げていた。
「……いたッ」
貴俊がポンッとハルくんの頭を叩くと、常連達はワッと笑いだした。誰にも言ったこともなければ、聞かれたこともなかったが、長年の付き合いである彼等には、大将とマコトの関係は、おおかた察しがついているようであった。そして、そんな俺たちのことを、避けることもなく、色眼鏡で見ることもなく、あるがままに見守ってくれている彼等と酒を酌み交わすのは、居心地が良い一時であった。
「なんで、笑うんですかぁ?」
何も知らない新参者のハルくんだけは、ムッと口をへの字に曲げた。
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