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追放されましたが想定内!

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 婚約破棄騒動から1週間が経過して俺は父親に呼ばれた。

 予想していた通り、俺は勘当される事になった。

 それでも処分としては軽い方で他の面々は公爵令嬢を罵倒した事で公爵の怒りを買い多額の慰謝料を請求され家ごと追い込まれているそうだ。

 事の元凶である王太子は身分剥奪され一生表に出れないらしい。

 そして男爵令嬢は王家に対する反逆罪で処刑される事になった。

 もっと時間がかかると思ったが長引かせると厄介になりそうなので迅速に対応したそうだ。

 そんな訳で俺は家を追い出された訳だが……。


「新しい人生にかんぱーい!」

 俺は追い出されたその日に町の酒場で祝杯をあげていた。

「シューラ、お前全て失ったのに元気だな」

「そりゃそうだろ! 漸く窮屈な貴族生活とおサラバして冒険者生活が出来るんだ! こんな最高の事なんて無いだろうっ!」

「結局、お前が冒険者をやっていた事は誰にもバレなかったな」

「そりゃ俺なんて居てもいなくてもどうでもいい存在だったし? 親だって俺よりも弟の方を可愛がってたし」

「それはそれで寂しくないか?」

「とうの昔に諦めたよ」

 俺は冒険者仲間であるニックと共に飲んでいた。

 実は俺、密かに冒険者をやっている、と言っても特別な能力も無い何処にでもいる冒険者だけど。

「婚約の話はどうなったんだ?」

「弟に移ったよ、相手側も納得している」

「弟に全部持っていかれたのか」

「まぁな、でも元婚約者は弟の方がタイプみたいだったし結局は収まる所に収まったんじゃないの? 俺にはもう関係無いし」

 そう言って酒をグイッと飲んだ。

「じゃあこれからはこの国で冒険者として暮らしていくんだな」

「ん~、せっかくだから心機一転してよその国で活動しようかな、と思ってる」

「それだったらリンダー王国なんてどうだ? あそこは冒険者も優遇してくれるみたいだし活動にも制限はないし」

「実は俺も考えてた。冒険者ギルドに登録していればどこに行っても活動できるからな」

「俺もリンダー王国に行こうと思っていたんだ。 ただ一人旅は寂しいからな」

 俺もニックもパーティーを組まないソロ冒険者だ。

 俺はこの誘いを受ける事にした。

 翌日、俺達は王都を離れ馬車に乗り込みリンダー王国に向かった。

 未練なんてものは全く無く清々しい気分で旅立つことが出来た。 
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