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路上でお話聞きます。あくまで聞くだけですが

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 翌日、リコット様が頼んでくれた大工さんがやって来て早速修復工事が始まった。

「どれくらいかかりますか?」

「大体1か月位ですね」

 1か月かぁ……、かなり時間がかかりますね。

 その間、シスターとして何をするべきなのか……。

「そうだ、町の皆さんに顔を知ってもらう為に路上で懺悔とか悩みとかを聞いてみましょう」

 私は廃棄されそうな板をもらい『お悩みお聞きします』と書いて看板を作成。

 町の広場に行き看板を設置し地面に椅子を置いて座った。

「皆様、小さな事から大きな事まで悩みから懺悔したい事までなんでもお聞きしますよ~」

 待っていても人は寄ってこない、ここは積極的に声を出して人を呼んだ。

「シスター様、聞いていただきますか?」

「えぇ、勿論です。あ、お金は大丈夫ですよ」

 別に解決策を与える訳ではなくただお話を聞くだけ。

 これも修道院の研修で学んだ事だ。

 悩みを告白しに来るのは罪悪感とか心にモヤモヤしている物を持っているから。

 そのモヤモヤを吐き出し受け取るのがシスターの役目なのだ。

 懺悔をした人には「神は見ています、きっとあなたを許すでしょう」、悩みを告白しに来た人には「神は見ています、きっとあなたを導くでしょう」と最後に言うのが決まりだ。

 それさえ言えば人々の顔は大体は明るくなる。

 勿論、私は誰かに話す事は無い。

 まぁ犯罪を犯したなんて告白されたら別だけど。

 始めてから数分してからぽつぽつと人がやってきた。

「お母さんが大切にしていた花瓶を割っちゃった」、「実はへそくりをしている」、「好きな人がいて告白しようか悩んでいる」等……。

 やはり何かしらの悩みとか秘密とかを抱えているんだなぁ、なんて思ってしまう。
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