冷めた2人ですが周りからはおしどり夫婦と言われている件について(仮)

こうじ

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カルデナ家のおもてなし

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  あのパーティー会場での惨劇から数日後、マイル様が訪ねてきた。
 両親にはマイル様の事を話していたので快く歓迎してくれた。
「だいぶお疲れの様ですね」
「この数日間、城に呼び出されてね……、色々聞かれていたんですよ」
 苦笑いしながらマイル様は言った。
「元婚約者ですものね」
「僕が唆したんじゃないか、て怪しまれていたみたいなんだけどそもそも王太子の女性関係なんてわからないし公爵令嬢に話しかけられる訳が無いんだよ。根気よく話したら納得してくれたよ」
「災難でしたね、そういえばディアンヌ様はどうなるんでしょうか?」
「2人も殺しているからね、でも精神的に異常になっていたみたいだし何処かの施設で一生幽閉になるかもしれない、て。まぁ、婚約者交代の事情は噂になっていたから王族の評判も落ちるんじゃないかな」
「なるほど……」
「元カノの家族はかなり憔悴していたみたいだよ。一応父さんが様子を見に行ったらしいんだけど『天罰が下った』とか『裏切ったからこうなった』とか土下座したみたいだよ。父さんも複雑な心境だったみたい」
「憎しみもあるけどこんな末路になったら……、ですよね」
「やっぱり人を裏切っちゃダメなんだよ。絶対に良くない結果になるんだから。今回の事で凄く思ったよ」
 そんな事を話していたらお母様がお菓子を持ってやって来た。
「あらあら、話が盛り上がっているみたいね。クッキーを焼いたからよかったらどうぞ」
「あ、ありがとうございます。あの、これは夫人が作ったんですか?」
「えぇ、そうよ。うちは見ての通りだから出来る限りは自分の事は自分でやっているのよ。エリーナも炊事洗濯家事は一通りは出来るわよ」
 我が家は何せ貧乏侯爵家、メイドや執事、使用人を雇うお金すら無い。
 なので基本的に自分の事は自分でやる、自給自足が我が家の基本方針なのだ。
「それって平民と一緒じゃ……」
「えぇ、実質上の平民と変わらない生活なんですよ」
 マイル様は戸惑いの表情を見せつつクッキーを頬張った。
「美味いっ!」
 そう、お母様のクッキーは美味いのだ。
 お母様はお菓子作りの名人なのだ。
「コレ、お店で出しても可笑しくないぐらいの美味さですよっ!」
「そこまで言ってくれるなんて嬉しいわ♪」
 お母様は褒められてニコニコしている。
 
 
 
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