あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

文字の大きさ
291 / 842

あの四人の目的は?

しおりを挟む
「まだ探索を続けるの?」

「そうですね。なんか……あいつらは何かを探してるように思えたんで」

少しの間休息時間を挟み、死体を一応回収したティールは探索を続けようと考えていた。

「ラスト、体力的に問題無いか?」

「あぁ、いつも通りに動けるぐらいには回復した」

強がりや虚勢ではなく、今からCランクやBランクのモンスターが襲ってきても、バチバチに戦えるぐらいには回復している。

寧ろ、先程の戦いで感覚が研ぎ澄まされており、今まで戦ってきた強者並みの力を持つ相手だとしても、余裕を持って勝てる……気がした。

「……何か探し物をしたいってことだろ。なら、俺らも手伝うぜ」

「良いんですか?」

「おう、勿論だ。この前ヴァンパイアから助けてくれた礼ってところだ」

ティーラスの提案は有難かった。

そしてティーラス以外のメンバーはどう思っているのかと……他のメンバーの顔を見ると、反対する者は一人もいなかった。

(ニーナさんたちが手伝ってくれるのは嬉しいな……あっ、やべ)

ニーナたちが手伝ってくれると解り、気持ちが緩んでいたところで……重要なことを一つ思い出した。

「皆、少しの間あいつらが探してたであろう物の探索に付き合ってもらっても良いか」

現在、ティールたちはボルガたち四人の護衛として活動中。

見るからに暗殺者であった四人に襲われ、見事撃退したまでは良かった。
だが、そういった場面に遭遇した場合、安全面を考えて直ぐに街に戻るのが賢明なのだが……ティールとしてはあの四人が探していたであろう物を、先に回収しておきたい。

「なんだ、そんなことか。勿論付き合うぜ!」

「断ると思ったのかい?」

「ボルガの言う通り、勿論付き合いますよ」

「私も、付き合います!」

四人としては、少しでも二人に恩を返したいという思いがあった。

ティールとラストは護衛依頼を受けた冒険者なので、先程襲い掛かってきた四人の暗殺者からボルガたちを守るのは当然のこと。

プロとして当たり前だが、四人は自分たちが今回の探索でモンスター以外から襲われるとは一ミリも考えていなかった。
二人からすれば当然の仕事と認識していても、ボルガたちからすればどう考えても特別手当を出さなければならない案件。

という訳なので、現在少しでも二人の力になりたいという思いが溢れ出ている。

「ありがと」

護衛対象である四人の了承を得られたので、早速周囲に何か怪しい物はないか捜索を開始。

相変わらず道中ではモンスターが襲ってくるが、Cランクの冒険者が五人と、そんな五人よりもランクは低いが、実力は上の二人がいるのでボルガたちが怪我を負うことは一切ない。

(……そう簡単には見つからないか。いや、そもそもあの四人が何かを探してるってのは俺の勘違いか? もしかして……誰かから依頼されて、ボルガたちを殺そうとしてた?)

貴族の令息や令嬢の暗殺が、裏の人間に依頼されることは決して珍しくない。

だが……ボルガたちの親の爵位は決して高くなく、他の権力者から狙われる様なことを裏でしている……なんてこともなく、狙われる理由が全くない。

(まぁ、それならそれで無事に四人を守れたから良かったって話なんだけど……でも、本当に四人が標的なら、もっと戦い方があったよな)

鎌男たちは自分たちの姿を見た者たちを、全員殺す気でいった。
男達が所属している組織が、見た者は全員殺す方針を取っているのか……それとも、自分たちが何を目的に行動してるのがバレると不味いのか…………四人の考えを聞き出す前に殺してしまったティールには、もう調べる手段がない。

やってしまったな~~と思いながらも探索していると、ティールは気になる壁を発見した。

(……奥に風が流れてる? …………音が他と違うな)

壁をノックしてみると、他とは違った音が鳴り、中に空間があるのを確認。

ティールは少し申し訳ないと思いながら、その壁を風の魔力で切り裂こう……と思った瞬間、小さな穴を発見した。
しおりを挟む
感想 123

あなたにおすすめの小説

元公務員、辺境ギルドの受付になる 〜『受理』と『却下』スキルで無自覚に無双していたら、伝説の職員と勘違いされて俺の定時退勤が危うい件〜

☆ほしい
ファンタジー
市役所で働く安定志向の公務員、志摩恭平(しまきょうへい)は、ある日突然、勇者召喚に巻き込まれて異世界へ。 しかし、与えられたスキルは『受理』と『却下』という、戦闘には全く役立ちそうにない地味なものだった。 「使えない」と判断された恭平は、国から追放され、流れ着いた辺境の街で冒険者ギルドの受付職員という天職を見つける。 書類仕事と定時退勤。前世と変わらぬ平穏な日々が続くはずだった。 だが、彼のスキルはとんでもない隠れた効果を持っていた。 高難易度依頼の書類に『却下』の判を押せば依頼自体が消滅し、新米冒険者のパーティ登録を『受理』すれば一時的に能力が向上する。 本人は事務処理をしているだけのつもりが、いつしか「彼の受付を通った者は必ず成功する」「彼に睨まれたモンスターは消滅する」という噂が広まっていく。 その結果、静かだった辺境ギルドには腕利きの冒険者が集い始め、恭平の定時退勤は日々脅かされていくのだった。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

生まれ変わったら飛べない鳥でした。~ドラゴンのはずなのに~

イチイ アキラ
ファンタジー
生まれ変わったら飛べない鳥――ペンギンでした。 ドラゴンとして生まれ変わったらしいのにどうみてもペンギンな、ドラゴン名ジュヌヴィエーヴ。 兄姉たちが巣立っても、自分はまだ巣に残っていた。 (だって飛べないから) そんなある日、気がつけば巣の外にいた。 …人間に攫われました(?)

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

神様のせいで最強魔力持ちにされたけどコミュ障だから、森の奥で人外の弟子とひっそり暮らしたい

☆ほしい
ファンタジー
極度のコミュニケーション障害で、まともに人と話せない青年、相川静(あいかわ しずか)。 彼はある日、女神の手違いで異世界に転移させられてしまう。 お詫びとして与えられたのは、世界を滅ぼせるほどの規格外の魔力。 しかし、コミュ障のシズカにとって、そんな目立つ力はトラブルの元でしかない。 彼は人目を避けるように、魔物が住む広大な森の奥深くへと逃げ込んだ。 そこで出会ったのは、親を亡くした一匹の幼いドラゴン。 言葉が通じないはずのドラゴンになぜか懐かれ、なし崩し的に弟子(?)として面倒を見る羽目に。 シズカは強すぎる魔力で獲物を狩り、ドラゴンに食事を与え、魔法をジェスチャーで教える。人間相手には一言も話せないが、ドラゴン相手なら不思議と心が安らぐのだった。 これは、最強の力を持つコミュ障青年が、人間社会から完全に孤立し、人外の弟子とのんびり暮らそうと奮闘する物語。

子猫が鳴けば・・・

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
どこまでも広がる花畑。天気も良い。これぞ絶好のお昼寝日和。でもお腹が空いたから寝る前に食事かな? そして、子猫が「みゃ〜」と鳴くと、、、 ※※※※※※※※ 見切り発車の為、更新が滞る事が多々あるかと思います。ですが、作者の《絶対完結まで書く!未完成の作品投稿したない!》という信条がありますので、安心してお読みください。 ご迷惑をお掛けしますが、最後までおつき合いくださいますと嬉しいです😊

悪役令嬢、休職致します

碧井 汐桜香
ファンタジー
そのキツい目つきと高飛車な言動から悪役令嬢として中傷されるサーシャ・ツンドール公爵令嬢。王太子殿下の婚約者候補として、他の婚約者候補の妨害をするように父に言われて、実行しているのも一因だろう。 しかし、ある日突然身体が動かなくなり、母のいる領地で療養することに。 作中、主人公が精神を病む描写があります。ご注意ください。 作品内に登場する医療行為や病気、治療などは創作です。作者は医療従事者ではありません。実際の症状や治療に関する判断は、必ず医師など専門家にご相談ください。

聖水が「無味無臭」というだけで能無しと追放された聖女ですが、前世が化学研究者だったので、相棒のスライムと辺境でポーション醸造所を始めます

☆ほしい
ファンタジー
聖女エリアーナの生み出す聖水は、万物を浄化する力を持つものの「無味無臭」で効果が分かりにくいため、「能無し」の烙印を押され王都から追放されてしまう。 絶望の淵で彼女は思い出す。前世が、物質の配合を極めた化学研究者だったことを。 「この完璧な純水……これ以上の溶媒はないじゃない!」 辺境の地で助けたスライムを相棒に、エリアーナは前世の知識と「能無し」の聖水を組み合わせ、常識を覆す高品質なポーション作りを始める。やがて彼女の作るポーションは国を揺るがす大ヒット商品となり、彼女を追放した者たちが手のひらを返して戻ってくるよう懇願するが――もう遅い。

処理中です...