あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

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実力は弁えている

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(ふぅ~~、焦るな。焦ったら負けだ)

無茶な攻撃をすれば、手痛いカウンターを返されるだけ。

焦れば、負けるイメージはないが、勝てるイメージも浮かばない。
ラストは意識的に心を落ちつかせ、勝機を窺う。

(地面から出た瞬間に、渾身の一撃をぶちかます)

ジェットモウルは、本来もっと地上に出て戦うモンスター。

しかし、ラストという存在が危険だと察し、地中を移動しながら戦うスタイルに変更。
この野生の勘が見事に刺さり、戦況としてはジェットモウル側が有利な状況が続いている。

ラストだけではなく、従者三人も勝機を窺っているが、これがまた中々見つからない。

(くっ!!! 持久戦に持ち込めば、完全にこちらがやられる)

ラスト一人だけで戦うというイメージであれば、負ける気は一切ない。
今まで通り、逆転の一撃を狙える。

ただ……今回は一人で戦っている訳ではなく、その面子が自分よりも弱い。
そんなこともあり、ラストにとって今回の敗北条件は、自分ではなく従者三人が殺られる状況。

いくら意識的に心を落ち着かせても、その不安感が中々思考から外れない。

(考えを、切り替えるしかないか!)

幸いにも、ジェットモウルが自分たちの地面を何度も潜っても、崩れることはない。

ここで地形が崩れれば、一気に戦況が変わる恐れがある。

(おそらく、地中の穴は全て繋がっている……それしかないか?)

頭に浮かんだ発想が、上手くいくか分らない。
とはいえ、未来がどうなるか分らないからといって、やらなければ戦いが終わらない。

「互いの背中を合わせてくれ!!!!」

「「「っ!?」」」

その指示、どういった意味があるのか直ぐには理解出来なかったが、三人はこの場のトップの指示に従い、背中を合わせて自身の前方に注意力を向けた。

(やるしかない!!!!)

ラストはほんの数秒ではあるが、全身に竜化を使用。
完全な竜化ではない為、身に付けている衣服などが弾け飛ぶことはなかったが、それでも格段にラストが発する威圧感が上昇。

ジェットモウルは直ぐにその危険さに反応したが、気付いたときには後方から轟火が迫っていた。

(よし!!)

ラストが行った攻撃は、今自身が放てる戦力のブレスを、ジェネラルが掘り進めた地中に向けて放った。

道は非常に入り組んでいるが、竜化を使用したラストのブレスはすさまじく、ジェットモウルは本能的に穴から跳びだした。

「っ! あそこだ!!!!」

一人の従者が地面から飛び出た標的を指さし、三人は一斉に遠距離攻撃を放った。
戦闘者としての本能が、ここが全ての力を使い切る時だと叫び、従者たちは反射で全力をぶちかました。

「ッ!!!!」

当然と言えば当然なのだが、その程度で殺られるジェットモウルではない。

熱さにやられて飛び出たとはいえ、咄嗟の反応は流石のBランクモンスター。
爪に岩を纏い、従者たちの遠距離攻撃を全て弾き飛ばした。

(お願いします、ラストさん!!!!!)

自分たちが放つ攻撃で、強敵を仕留められるとは、全く思っていなかった。
全力の殺意は込めていれど、自分たちの実力は弁えている。

「うぉおおおおおおおッ!!!!!!」

「ッ!?」

従者たちの攻撃に気を取られた隙に、ラストはジェットモウルの頭上に跳んでいた。

斬馬刀に轟火を纏い、重さを最軽から最重へ滑らかに変化。

この渾身の一撃にジェットモウルは……寸でのところで反応した。
これまた見事という他ないが、空中で取れた選択は爪を使った防御のみ。

しかも、纏っていた岩が、三人の遠距離攻撃によって削られており、万全の状態ではなかった。

結果……ジェットモウルは岩どころか爪を砕かれ、そのまま斬馬刀を脳天に直撃。

地面に叩き落とされた衝撃で地面は大きく揺れた。
砂煙が巻き起こり、一瞬すがたを見失うが……もうジェットモウルが地中へ潜ることはなく、その場から動かなくなっていた。
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