あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

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それは無理な話

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「岩窟竜の居場所? てめぇらみたいなガキが知ったところで、どうにも出来ねぇよぉあっ!!??」

とある冒険者にどストレートに尋ねると、モロに二人を見下す様な表情であっち行けというジェスチャーと共に、教える訳ないだろと告げられる。

しかし、「ガキが知ったところで」というあたりで既に主人の後方に立つ竜人族が、その男だけに向けて戦意を爆発させた。
当然……いきなり明らかにルーキーとは格が違う圧をぶつけられれば、下手に後退って転ぶこともある。

周囲で彼を笑う者がいるが、直接戦意を食らった男だけは、目の前の二人に対して得体の知れない何かを感じた。

「……そ、そうだな。街を出たところの……」

先程とは打って変わった態度で尋ねた主であるティールに岩窟竜の居場所を説明し始めた。

「ありがとうございます」

「お、おぅ……あ、あんまり下手な真似はするなよ!」

「分かりました」

得体の知れない何かを感じたが故に、最初はしようと思っていなかった忠告を行った。

「ウリープルから走りながら移動して……一日ぐらいか?」

「そうだな。走ればそれぐらいの時間で到着するだろう」

ラストが相手を威圧する為だけに戦意を爆発させたのだと解っているため、特に注意はなし。

「まぁ……それにしても、あれだな。力自慢? な冒険者が多いな」

「岩窟竜の防御力を突破するには、まずが力がなければと思っているのだろう」

高い防御力を突破するには、それを上回るパワーが必要。
その考え自体は間違っていない。

(筋骨隆々な人族。後は元々身体能力……パワーに優れた鬼人族や竜人族、後はドワーフや一部の獣人族が多いな)

筋肉がモリモリなだけではなく、大剣や大斧、ハンマーなどの武器を持ち歩く者たちが多く見かけられる。

「……マスター。やはり、岩窟竜に一度は挑むのか?」

「少しは試してみたい気持ちはあるけど、勇気と蛮勇の違いぐらいは解ってるよ」

ラストとしては、仮に……何らかの事情で岩窟竜、レグレザイアに挑むようなことがあれば、牙竜ではなく斬馬刀を使おうと考えていた。

「そうか……失礼なのは解っているが、意外だな」

「岩窟竜に挑まないことがか?」

「そうだ」

ブラッディ―タイガー、ツインヘッドベアー、キラータイガー、謎の黒服四人組、スカーレットリザードマン、グリフォン……等々のルーキーが遭遇すれば即ダッシュで逃げる、もしくは失神するような相手と遭遇しても勇猛果敢に挑んできた。

ティールが歳相応の子供でないことは重々承知している。

だが、それでも一度乗り越えれば十分な敵を何度も撃破してきた。
そんな今までを考えると……なんだかんだで挑んでしまうのかと考えるのも、無理はない。

「……今まで遭遇してきた強敵が全員が全員って訳じゃないけど、やっぱり倒さなかったら被害が出てただろ」

「うむ、そうだな」

スカーレットリザードマンとジェネラルリザードマンがツートップの群れなど、あそこで仕留めていなければ、街一潰されてもおかしくない脅威。

「でも、岩窟竜ってのはさ、多分だけど今拠点にしてる場所が居心地良いから、動かないでいるんだろ」

「おそらくそうだろうな」

「なら……いや、ならって言うのは変かもしれないけど、がっつり気合入れて討伐しようとするのは、良くないんじゃないかと思って」

全ての人類とモンスターが争うことのない世界をつくれるか?

ことは否。
モンスターの多くが人間は殺す対象、食料だと認識している様に……人間側も殆ど変わらない認識を持っている。

モンスターに対して恨みを持つ人間など、今回の様に基本的に人間に対して被害を与えない岩窟竜にも、容赦なく殺しに掛かる。

「まっ、とりあえず今回は一目、マジのドラゴンに会ってみたい。会話出来るなら会話してみたい。それが一番かな」

主人の言葉に、奴隷は決して日和っている、などとは思わなかった。
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