あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

文字の大きさ
427 / 833

口に出さなければオケー

しおりを挟む
ほぼ観光目的でウリープルにやって来た二人。

とはいえ、周辺に生息するモンスターのレベルは決して低くない。

「はは、元気な奴が多いな」

「そうだな。悪くない」

二人が戦闘中に笑みを浮かべるぐらいには、そこそこ強いモンスターがいる。

(これだけ強いモンスターがいれば、意外と飽きることはないかもな)

一日で岩窟竜の元へ到着予定だった二人。
しかし、意外にも襲い掛かってくるモンスターのレベルが高く、ついつい遊んでしまった。

結果、岩窟竜が拠点としている山に到着するまでの道中で野営が決定。
普段であれば多少は愚痴が零れるティールだが、その日の機嫌は上々。

いつも通り自身が発動した結界を信頼し、就寝。

「……意外と、頭が切れるというか、冷静な個体がいたのか?」

翌日、結界の外にはいくつかの血痕があった。

ただ……血痕があるだけで、肉や骨は飛び散っていない。

「マスターとしては、昼間にぶつかってきてくれると嬉しい相手、か?」

「それはそうだな。夜中に戦闘は勘弁してほしい」

腹が膨れる朝食を食べ終え、本日も昨日と同じく遊びながら目的地へ行進。

すると、いくつかのパーティーがちらほらと視界に映る。
あまり絡みたくないティールは、なるべく相手に絡まれない様に進み……岩窟竜が住む山のふもとに到着。

「……あそこら辺って、絶対に戦いで崩れた部分だよな」

視線の先には、かなりボコボコとしていた。
山の側面が全て滑らか……なんてことはあり得ないので、それ自体はおかしくない。

しかし、妙に削れた部分がいくつもある。

「岩窟竜が削ったのか、それとも挑んだ冒険者が削ったのか……おそらく両方だろう」

ラストの言葉通り、両者の攻撃によって山の形はほんの少し変形していた。

「よし、とりあえず会いに行くぞ」

ダッシュで岩窟竜がいるであろう場所に向かおうとするが、一つの列を発見。

(あれは……やべっ!)

岩窟竜について情報を集めたい際に手入れたものの中の一つを思い出し、駆け出そうとした足を急停止。

「……面倒だけど、並ぶしかないか」

「並ぶのか? 力で解決しても良さそうだが」

「やめろやめろ、俺は同業者と喧嘩したい訳じゃないんだ。それに……もし本当にそうなったら、ただの喧嘩とかで済まないかもしれないだろ」

鑑定スキルを使わずとも、ぱっと見で並んでいる者たち……全員が並以上だと解る。

ある程度解っている事もあり、亜空間からブラッディ―タイガーの素材から造られたバスターソードを取り出す。
主人の意図を察し、ラストも亜空間から斬馬刀を取り出しながら進む。

「今日一日で、俺たちの番が来ると思うか?」

「……無理じゃないか?」

人族の少年と、竜人族の青年という妙なペアの登場。
並んでいる冒険者たちの視線が二人に集まる。

普通に考えて、ペアで訪れるのは色々とあり得ない。
しかし……実力だけではなく、武器を見る目が肥えている者たちは、二人が装備している武器……皮鎧などが、そこら辺に転がっている代物でないと直ぐに見抜く。

(あの竜人族の奴……まだ若そうだが、結構戦りそうだな。あのバカデカい剣? をしっかり扱えるのかはちょっと分からねぇが)

(となりの子は……剣士、戦士? でも、持っている魔力の量が普通じゃない。魔力量を考えれば魔法使いでもおかしくないわね)

一瞬はこの場に不釣り合いと思いつつも、そもそもこの場に来れる時点で並ではないと思い出す。

「「「「「「ッ!!!???」」」」」」

注目されている二人も含めて、突然耳に入った爆発音の方向へ顔を向ける。

(今のは、魔法による爆発音、かな? 結構な音だな)

音の大きさで攻撃力の高さが決まりはしないが……全員が同じことを考えた。
もしかしたら、今の攻撃で……と。

(殺られた? まさか殺られた!? はぁ~~~、頼むから俺たちの番が来るまで生き残っててくれ!!!)

自分より前の冒険者たちに負けろと言っている様なものだが、口に出していないのでセーフ。
しおりを挟む
感想 123

あなたにおすすめの小説

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

ありふれた聖女のざまぁ

雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。 異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが… 「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」 「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」 ※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。

灼熱の連撃(ラッシュ)と絶対零度の神速剣:転生した双子のチート令嬢は、その異能で世界を救う

夜詩榮
ファンタジー
あらすじ 現代日本。活発な空手家の娘である姉・一条響と、冷静沈着な剣道部員である妹・一条奏は、突然の交通事故に遭う。意識が薄れる中、二人を迎え入れたのは光を纏う美しい女神・アステルギアだった。女神は二人に異世界での新たな生と、前世の武術を応用した規格外のチート能力を授ける。そして二人は、ヴァイスブルク家の双子の姉妹、リーゼロッテとアウローラとして転生を果たす。 登場人物 主人公 名前(異世界) 名前(前世) 特徴・能力 リーゼロッテ・ヴァイスブルク 一条いちじょう 響ひびき 双子の姉。前世は活発な空手家の娘で黒帯。負けず嫌い。転生後は長い赤みがかった金髪を持つ。チート能力は、空手を応用した炎の魔法(灼熱の拳)と風の魔法(超速の体術)。考えるより体が動くタイプ。 アウローラ・ヴァイスブルク 一条いちじょう 奏かなで 双子の妹。前世は冷静沈着な剣道部員。学業優秀。転生後は長い銀色の髪を持つ。チート能力は、剣術を応用した氷/水の魔法(絶対零度の剣)と土の魔法(鉄壁の防御・地形操作)。戦略家で頭脳明晰。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

前世は厳しい家族とお茶を極めたから、今世は優しい家族とお茶魔法極めます

初昔 茶ノ介
ファンタジー
 代々続くお茶の名家、香坂家。そこに生まれ、小さな時から名家にふさわしくなるように厳しく指導を受けてきた香坂千景。  常にお茶のことを優先し、名家に恥じぬ実力を身につけた彼女は齢六十で人間国宝とまで言われる茶人となった。  しかし、身体は病魔に侵され、家族もおらず、また家の定める人にしか茶を入れてはならない生活に嫌気がさしていた。  そして、ある要人を持て成す席で、病状が悪化し命を落としてしまう。  そのまま消えるのかと思った千景は、目が覚めた時、自分の小さくなった手や見たことのない部屋、見たことのない人たちに囲まれて驚きを隠せなかった。  そこで周りの人達から公爵家の次女リーリフィアと呼ばれて……。  これは、前世で名家として厳しく指導を受けお茶を極めた千景が、異世界で公爵家次女リーリフィアとしてお茶魔法を極め優しい家族と幸せになるお話……。   ーーーーーーーー  のんびりと書いていきます。  よかったら楽しんでいただけると嬉しいです。

〈完結〉貴女を母親に持ったことは私の最大の不幸でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」ミュゼットは初潮が来た時に母から「唯一のこの家の女は自分」という理由で使用人の地位に落とされる。 そこで異母姉(と思っていた)アリサや他の使用人達から仕事を学びつつ、母への復讐を心に秘めることとなる。 二年後にアリサの乳母マルティーヌのもとに逃がされた彼女は、父の正体を知りたいアリサに応える形であちこち飛び回り、情報を渡していく。 やがて本当の父親もわかり、暖かい家庭を手に入れることもできる見込みも立つ。 そんな彼女にとっての母の最期は。 「この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。」のミュゼットのスピンオフ。 番外編にするとまた本編より長くなったりややこしくなりそうなんでもう分けることに。

処理中です...