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死のラインは?
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「「「「「「「「「「ゲギャギャギャッ!!!!」」」」」」」」」」
空間に現れたモンスターは……ゴブリン。
油断は出来ないが、冒険者たちにとってそこまで脅威ではない緑色の小鬼。
しかし、三人が移動した空間に現れた数は二十以上。
(ん~~~……どう考えても、普通のゴブリンの身体能力ではない、な)
疾風瞬閃を抜いたティールは、冷静に襲い掛かるゴブリンの首を切断していく。
ラストとアキラも、普通のゴブリンよりも高い身体能力、運動能力に多少の驚きは感じたものの、驚愕するほどの強さではなく……数分も経たずにゴブリンたちは全滅した。
「普通のゴブリンよりは強かった。付け加えるなら、柱から柱に移動する、身を隠して襲撃する。そういった能力が高いゴブリンだった」
「マスターの言う通り、非常にこの場で戦うのに適したゴブリンだったな」
「…………つまりは、この柱などはこの空間に出現するモンスターたちの為にある、ということか」
アキラが口にした言葉と、同じことを考えていたティールとラスト。
であれば、周囲の柱を全て切断すれば良いのか?
そう考えるのは至極当然の流れだが……その柱に対する考えも、三人共同じだった。
「ティール。この柱……切断できるか?」
「……不可能ではないと思います。ただ、無駄なような気がして」
「ふむ、私も同じことを思った。やはり、この柱を切断しようとする労力は無駄、か」
彼等の直感は正しく、ティールやアキラたちであれば、部屋に多数存在する柱を切断することは、決して不可能ではない。
不可能ではないが、柱は短時間で元通りになってしまう。
何故元通りになるのか? そこまでティールたちは理解してはおらず、ただ直感的に斬るだけ無意味だと思っており、それ以上深く考えなかった。
「…………ッ、マスター、アキラ。どうやら次の客が来たようだ」
次の客はコボルト。
これも数は二十を越えており、その数だけでも非常に面倒である。
(こいつらも、この空間で戦うのに、本当に慣れてる、みたいだな。ん~~~~……ダンジョンって、本当に不思議な場所だな)
不思議と捉えるか、忌々しい場所と捉えるかは人それぞれ。
少なくとも……三人はこの状況に絶望することはなく、不思議と捉えるタイプであった。
(……この空間で戦うために用意されたコボルトたち、だな)
総数二十以上のコボルトたちは、通常のコボルトと比べて身体能力が高いだけではなく、先程現れたゴブリンと同様に全ての個体が短剣を有していた。
そしてただ短剣を有しているだけではなく、複数の投げナイフを装備しており、セットできる服も来ていた。
(全く、本当に面白い空間だな)
投げられるナイフには、時たま毒や麻痺毒が付いていることもあって、適当に対処する訳にはいかない。
それでもコボルト如きに後れを取る三人ではなく、これまた数分程度で討伐を終えた。
「……マスター、どれぐらいの奴らなら死んでいた?」
「そうだな……多分、Dランクの冒険者たちなら、結構危なかったと思う。六人ぐらいいれば大丈夫かもしれないけど、基本的に三人から四人、多くて五人とかが一般的だし……Cランクの冒険者でも、運が悪ければ万が一はあり得そうかな」
「ティール、私はまだ冒険者について知識が浅いのだが、Cランクという領域に到達する者たちであれば、そもそも転移トラップを踏むことがないと思ってしまうのだが」
「それはそうかもしれませんね。ちゃんとした斥候がいるパーティーなら、まず踏まないでしょう」
三人はちゃんと……自分が普通の行動をしてないという自覚はあった。
「加えて、二十半ばから後半ぐらいの者たちであれば、意外と万が一は起こらない気がする」
「…………いきなりコボルトではなく、ゴブリンの軍団と戦う流れを考えると、割とそうかもしれませんね」
冷静に現在自分たちが体験しているトラップのあれこれを考えるティールたちだが……まだ、転移トラップによる試練をクリアしたわけではない。
空間に現れたモンスターは……ゴブリン。
油断は出来ないが、冒険者たちにとってそこまで脅威ではない緑色の小鬼。
しかし、三人が移動した空間に現れた数は二十以上。
(ん~~~……どう考えても、普通のゴブリンの身体能力ではない、な)
疾風瞬閃を抜いたティールは、冷静に襲い掛かるゴブリンの首を切断していく。
ラストとアキラも、普通のゴブリンよりも高い身体能力、運動能力に多少の驚きは感じたものの、驚愕するほどの強さではなく……数分も経たずにゴブリンたちは全滅した。
「普通のゴブリンよりは強かった。付け加えるなら、柱から柱に移動する、身を隠して襲撃する。そういった能力が高いゴブリンだった」
「マスターの言う通り、非常にこの場で戦うのに適したゴブリンだったな」
「…………つまりは、この柱などはこの空間に出現するモンスターたちの為にある、ということか」
アキラが口にした言葉と、同じことを考えていたティールとラスト。
であれば、周囲の柱を全て切断すれば良いのか?
そう考えるのは至極当然の流れだが……その柱に対する考えも、三人共同じだった。
「ティール。この柱……切断できるか?」
「……不可能ではないと思います。ただ、無駄なような気がして」
「ふむ、私も同じことを思った。やはり、この柱を切断しようとする労力は無駄、か」
彼等の直感は正しく、ティールやアキラたちであれば、部屋に多数存在する柱を切断することは、決して不可能ではない。
不可能ではないが、柱は短時間で元通りになってしまう。
何故元通りになるのか? そこまでティールたちは理解してはおらず、ただ直感的に斬るだけ無意味だと思っており、それ以上深く考えなかった。
「…………ッ、マスター、アキラ。どうやら次の客が来たようだ」
次の客はコボルト。
これも数は二十を越えており、その数だけでも非常に面倒である。
(こいつらも、この空間で戦うのに、本当に慣れてる、みたいだな。ん~~~~……ダンジョンって、本当に不思議な場所だな)
不思議と捉えるか、忌々しい場所と捉えるかは人それぞれ。
少なくとも……三人はこの状況に絶望することはなく、不思議と捉えるタイプであった。
(……この空間で戦うために用意されたコボルトたち、だな)
総数二十以上のコボルトたちは、通常のコボルトと比べて身体能力が高いだけではなく、先程現れたゴブリンと同様に全ての個体が短剣を有していた。
そしてただ短剣を有しているだけではなく、複数の投げナイフを装備しており、セットできる服も来ていた。
(全く、本当に面白い空間だな)
投げられるナイフには、時たま毒や麻痺毒が付いていることもあって、適当に対処する訳にはいかない。
それでもコボルト如きに後れを取る三人ではなく、これまた数分程度で討伐を終えた。
「……マスター、どれぐらいの奴らなら死んでいた?」
「そうだな……多分、Dランクの冒険者たちなら、結構危なかったと思う。六人ぐらいいれば大丈夫かもしれないけど、基本的に三人から四人、多くて五人とかが一般的だし……Cランクの冒険者でも、運が悪ければ万が一はあり得そうかな」
「ティール、私はまだ冒険者について知識が浅いのだが、Cランクという領域に到達する者たちであれば、そもそも転移トラップを踏むことがないと思ってしまうのだが」
「それはそうかもしれませんね。ちゃんとした斥候がいるパーティーなら、まず踏まないでしょう」
三人はちゃんと……自分が普通の行動をしてないという自覚はあった。
「加えて、二十半ばから後半ぐらいの者たちであれば、意外と万が一は起こらない気がする」
「…………いきなりコボルトではなく、ゴブリンの軍団と戦う流れを考えると、割とそうかもしれませんね」
冷静に現在自分たちが体験しているトラップのあれこれを考えるティールたちだが……まだ、転移トラップによる試練をクリアしたわけではない。
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