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手札へと昇華
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(本当に、恐ろしい、人だっ!!)
ヒツギの情報が正しければ、ティールは刀身がそこまで長くない二振りの剣を使って戦う戦闘スタイルの持ち主。
その情報は……決して間違ってはいなかった。
ティールは豹雷と疾風瞬閃を装備し、高速移動しながら二刀流で戦うのが得意な戦闘スタイルである。
ただ、人は本当にここぞというタイミングでしか見せない切り札という物がある。
ティールの場合……人よりもそれが多かった。
決して必死でバスターソードを振るっているわけではないが、それなりに形にはなっており、確実にヒツギを追い詰めていた。
(やはり、感覚を鋭く、するだけではダメかっ!!!)
改めて差を感じさせるも、ヒツギの眼から勝利に対する執念は消えない。
だからこそ、ティールはまだ終わらせようとはしなかった。
「っ……二刀流、か」
ヒツギは後方に下がると、小太刀を抜刀。
ティールが最初から気になっていた武器だった。
戦いの礼儀として、戦う前に鑑定を使って調べるような真似はしなかったが、それでもあれがヒツギの手札の一つであることには気づいていた。
「えぇ、その通りです。まだまだ未熟な身ではありますが……」
「っ!!!」
未熟な身だと語りながらも駆け出し、振るわれた斬撃。
(………………これが、未熟な動き? 形……という部分なら、俺よりも優れてる)
数十秒の攻防の中で、ティールは素直に二刀流の腕に関しては、自分よりもヒツギの方が上だと認めた。
だからこそ、何故それほどの腕前を持ちながら、まだまだ未熟な身ではあると口にしたのか解らなかった。
(口では未熟と言いながら、実際はそれなり、使えることによる……差を、利用したのか?)
ティールは動きにスマートさが少し失われ、避けられる攻撃は思いっきり避ける、これまでよりも強く弾く。
単純に手数がヒツギの方が多いということもあって、ティールは仮設リングの広さを十分に使う戦うスタイルへと変えた。
(それは、それで……良いアイディア、だな。正直、少し驚かされた。でも……あの表情は、騙す気があったとは……思えなかった、な)
ティールは海千山千に至れるほどの経験は積んでおらず、人生経験もない。
それでも、何故か先程ヒツギが自分に向けて伝えた言葉は、嘘だとは思えなかった。
「二刀流、か………………アキラ。俺は、基本的に大剣を使って戦うか、素手で戦っている。二振りの大剣を持って戦うことはない。だから詳しいことは解らないが……あのヒツギの歳で、二刀流という技術を、あそこまで高められるものなのか?」
ラストは、度々ティールが二刀流で戦う姿を見ている。
だからこそ……口には出さないが、二刀流という技術に関しては、ティールよりも上なのが解ってしまった。
「そう、だな…………いることには、いる。あまり好きな言葉ではないが、二つの刀を同時に操る……それに関しては、天賦の才を持つ者が、天才を知っている」
世界は広く、ティールはティールで常識の外にいる存在だと思っているアキラだが、大和にも二刀流に関しては天才や規格外の才鬼、傑物と呼ぶに相応しいアキラと歳が近い者がいる。
「そうか。であれば…………むぅ……目の前で実際に観てこんな事を言うのもあれだが、あの男がそれほどの技術を秘めている様には視えなかった」
「私も同じだ。擬態していたようには思えない………………からくりがあるとすれば、ヒツギが抜刀したあの小太刀か」
アキラの予想通り、ヒツギの二刀流がティールよりも優れていたのにはからくりがあった。
勿論、ヒツギはヒツギで実戦でも一つの武器として使えるように時間を見つけては二刀流の訓練を行っている。
ただ……ティールという怪物を相手にするには、まだ手札とは呼べない。
だが、二刀流を一つの手札として昇華したのが……先程ヒツギが抜刀した小太刀、親和であった。
ヒツギの情報が正しければ、ティールは刀身がそこまで長くない二振りの剣を使って戦う戦闘スタイルの持ち主。
その情報は……決して間違ってはいなかった。
ティールは豹雷と疾風瞬閃を装備し、高速移動しながら二刀流で戦うのが得意な戦闘スタイルである。
ただ、人は本当にここぞというタイミングでしか見せない切り札という物がある。
ティールの場合……人よりもそれが多かった。
決して必死でバスターソードを振るっているわけではないが、それなりに形にはなっており、確実にヒツギを追い詰めていた。
(やはり、感覚を鋭く、するだけではダメかっ!!!)
改めて差を感じさせるも、ヒツギの眼から勝利に対する執念は消えない。
だからこそ、ティールはまだ終わらせようとはしなかった。
「っ……二刀流、か」
ヒツギは後方に下がると、小太刀を抜刀。
ティールが最初から気になっていた武器だった。
戦いの礼儀として、戦う前に鑑定を使って調べるような真似はしなかったが、それでもあれがヒツギの手札の一つであることには気づいていた。
「えぇ、その通りです。まだまだ未熟な身ではありますが……」
「っ!!!」
未熟な身だと語りながらも駆け出し、振るわれた斬撃。
(………………これが、未熟な動き? 形……という部分なら、俺よりも優れてる)
数十秒の攻防の中で、ティールは素直に二刀流の腕に関しては、自分よりもヒツギの方が上だと認めた。
だからこそ、何故それほどの腕前を持ちながら、まだまだ未熟な身ではあると口にしたのか解らなかった。
(口では未熟と言いながら、実際はそれなり、使えることによる……差を、利用したのか?)
ティールは動きにスマートさが少し失われ、避けられる攻撃は思いっきり避ける、これまでよりも強く弾く。
単純に手数がヒツギの方が多いということもあって、ティールは仮設リングの広さを十分に使う戦うスタイルへと変えた。
(それは、それで……良いアイディア、だな。正直、少し驚かされた。でも……あの表情は、騙す気があったとは……思えなかった、な)
ティールは海千山千に至れるほどの経験は積んでおらず、人生経験もない。
それでも、何故か先程ヒツギが自分に向けて伝えた言葉は、嘘だとは思えなかった。
「二刀流、か………………アキラ。俺は、基本的に大剣を使って戦うか、素手で戦っている。二振りの大剣を持って戦うことはない。だから詳しいことは解らないが……あのヒツギの歳で、二刀流という技術を、あそこまで高められるものなのか?」
ラストは、度々ティールが二刀流で戦う姿を見ている。
だからこそ……口には出さないが、二刀流という技術に関しては、ティールよりも上なのが解ってしまった。
「そう、だな…………いることには、いる。あまり好きな言葉ではないが、二つの刀を同時に操る……それに関しては、天賦の才を持つ者が、天才を知っている」
世界は広く、ティールはティールで常識の外にいる存在だと思っているアキラだが、大和にも二刀流に関しては天才や規格外の才鬼、傑物と呼ぶに相応しいアキラと歳が近い者がいる。
「そうか。であれば…………むぅ……目の前で実際に観てこんな事を言うのもあれだが、あの男がそれほどの技術を秘めている様には視えなかった」
「私も同じだ。擬態していたようには思えない………………からくりがあるとすれば、ヒツギが抜刀したあの小太刀か」
アキラの予想通り、ヒツギの二刀流がティールよりも優れていたのにはからくりがあった。
勿論、ヒツギはヒツギで実戦でも一つの武器として使えるように時間を見つけては二刀流の訓練を行っている。
ただ……ティールという怪物を相手にするには、まだ手札とは呼べない。
だが、二刀流を一つの手札として昇華したのが……先程ヒツギが抜刀した小太刀、親和であった。
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