あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

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意外にも効く?

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「アキラさんの方はどうでしたか?」

「風竜か…………強かった。間違いなく、強かった」

ティールからの問いに対し、アキラはまず……強かったと、漠然としつつも真実である事を口にした。

「強く……そして、速かった」

「ふむ。同じ風属性のBランクモンスターであるグリフォンよりも、か?」

「あぁ、そうだな。勿論、グリフォンが弱いという訳ではない。ただ……やはり、風竜の方が素早く、なにより切れ味があった」

アキラがティールたちと共に戦った個体はブラックグリフォン。
ただ、ラストが一人で戦ったグリフォンの動き、強さは覚えているため、一応比べることが出来る。

「素早い、鋭い。だが、捉えられない……加えて、脆さを感じない頑丈さもあった」

土竜と比べれば細い。
ティールが戦っていた火竜よりも細いが、それでも決して小さいわけではない。

「鋭い。でも、脆さを感じさせない頑丈さ………………あれですね。アキラさんが使う刀の様な強さを持ってるってことですよね」

「むっ……そう、だな…………緋焔の様に、矛盾を感じさせるところがあった」

緋焔とは、アキラの切り札であるランク八の刀。

刀とは切れ味、切断力に特化した武器であり、切れ味はあれど脆そうに見える……という感想を抱く者は多い。

だが、緋焔は切れ味は十分にあると同時に、脆そうとは感じない。
寧ろ堅さを感じさせ、使用者に安心感を与える。

「それと、放つ風魔法、翼から放つ斬撃……どれも恐ろしい切れ味だった」

アキラはティールの様に器用に動きながら攻撃魔法を放つことは出来ない。
というより、大半の戦闘者が出来ないことであり、自由自在に飛行する竜が多数の遠距離攻撃を放つなど、恐ろし過ぎる弾幕でしかない。

ただ……それでも、アキラはこうして自分の脚で、二本の脚で立っている。
自分の力で、勝利を捥ぎ取ったのである。

「こちらの土竜とは違い……自由自在に、という言葉が強さそうだが、どの様にして討伐したのだ?」

ダンジョンには修復機能がある。
だが、まだ風竜が放った斬撃波によって切り裂かれた地面の跡が残っているため、アキラが語る恐ろしさは十分理解出来る。

だからこそ、どの様にして倒したのかが気になった。

「降りてこい、と挑発しただけだ」

「ほぅ…………思った以上に、効果があったと」

ドラゴンとは、モンスターの中でもプライドが高い種。

ダンジョンから生まれたモンスターにプライドがあるのかという疑問が生まれるも、結論として……ダンジョンで生まれたドラゴンにも、プライドと呼べるものはあった。

アキラが対峙した風竜は火竜や土竜と比べてクールな性格をしていた。
物理攻撃を否定するつもりはない。
ただ、相手が飛べないのであれば、こちらは飛びながら遠距離攻撃を続けて倒せば良い。

直接叩き潰さなければ気が済まない!! などといった気性の荒さはなく、狩りの様な戦いで済むのであれば構わない。

しかし……性格は堅物よりなところがあるアキラだが、ティールたちとの生活の中でそういった部分も養われたのか、上手く挑発を行い、結果として風竜はまんまと釣られた。

「その通りだ。あまりあぁいった事は得意ではないのだが……相手がドラゴンだったからか、上手く釣れた」

「……Bランクドラゴンの場合だと、ブラックグリフォンの様に人の言葉を喋れずとも、ヴァルの様に理解出来るかもしれませんからね。そういった相手だと、挑発という行為が対人戦並みに有効な手段になるかもしれませんね」

実際のところ、そうだとしてもラストやティールは……おそらく使うことはない。

アキラも本当はそういった行動を取らずに斬り裂けるに越したことはなかった。

だが、知ってると知らないとでは大きな差がある。
小さな一手が戦況を変えることもあり……挑発とは、その代表格とも言えた。

(小細工などせず、真正面から斬り伏せたいものだが…………もう少し、どういったやり方があるのか知っておくべきか?)

戦う者として、侍として……叶う事なら、全ての敵を真正面から斬り伏せたい。
しかし……今、彼女は冒険者である。

優先すべきは、生き残る事。
であれば、挑発という手は否定すべきではなく、寧ろ受け入れるべき手と言えた。
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