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五百三話 何故付き従うのか
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「なぁ、あの人今鉄の塊を変形させなかったか?」
「そうだよな……ぼ、冒険者なんだよな」
「だと思うけど……だってオーガの従魔だってあの人に付き従ってる? って感じだし」
この道場の依頼を受け、従魔を連れて来たということは冒険者ということで間違いない。
ソウスケの服装からしても冒険者にしか見えないだろう。
しかしそんな人物がいきなり鉄の塊を変形させ、大きな針が四方向に分かれた小さな道具を作った。
「というか、今更だけどあのエルフの冒険者、超美人だよな」
「俺もそう思った!! エルフは何度も見たことがあるけどあの人は別格と言うか……師範と話してる人、いったいどこであんな美人と知り合ったんだろうな」
学術都市には多くの種族が訪れる。
単純にダンジョンに潜る為、他に何かを学ぶために訪れる価値がありるので、門下生たちにとってエルフは見慣れた存在だった。
だが、ミレアナの正体はエルフではなくハイ・エルフ。
見た目はそこまで変わらないのだが、実力と体から溢れているオーラはやや変わってくる。
そしてミレアナはエルフ、ハイ・エルフの中でもトップレベルの美しさを持つ。
門下生たちの中には女子もいるが、同性でもミレアナの美しさには圧倒されて嫉妬なんて感情は生まれなかった。
しかし門下生たちの中で全員に一つだけ生まれた感情があった。
師範と対等な立場で話す自分達と大して歳が変わらない少年。
道場に冒険者が訪れることは珍しくない。
だが、どの冒険者も師範には低姿勢気味の態度で接している。
ソウスケが不敬な態度を取っているという訳ではない。
それは門下生たちも解っているが、師範の力に全くビビッていない……そう思えた者も何名かいた。
「というか、あのオーガ……ザハーク、さん? に全く勝てる気がしないんだけど」
「そりゃ希少種のオーガだぞ。元がCランクなんだから希少種ならBランク……もしくはAランクぐらいの強さを持ってるんじゃないか?」
「マジかよ……それが本当だったら俺達が束になっても勝てないな。ダックスもそう思うだろ」
「……そうだな。勝てないと認めるのは非常に辛いが、現時点では力の差が開き過ぎている」
ダックスという名の門下生は子爵系の子息であり、学術都市の学園に通っている生徒でもある。
授業が選択制なので予定がない日は轟炎流の道場で同じ門下生たちと一緒に汗を流している。
まだ学生だが、その実力は冒険者のルーキーを既に超えており、将来は騎士になれる可能性だってある。
同じ門下生たちにとっては貴族の子息だが身分関係無く接してくれるリーダー的存在だ。
「はっはっは! お前って本当に負けず嫌いだよな」
「相手が誰であっても負けるのは悔しいに決まってるだろ……あのオーガ、俺達の攻撃を一度もまともに食らっていないんだぞ。一太刀ぐらいは浴びせられると思ていたんだがな」
「まだ門下生の俺達がAランクかもしれないザハークさんに一太刀まともに当てられたら大金星だな」
「だよな。模擬戦でも勝ちたいって思いはあるけど……立っている位置が離れすぎてるぜ」
(立って入り位置、か。俺達の攻撃をあそこまで捌けるのだ。ただ身体能力が高いだけではなく、実戦の経験も豊富なのだろうな)
ザハークはダンジョンに生まれてから一年も経っていないが、戦闘経験に関しては豊富と言えるだろう。
今日、自分達の模擬戦としてやって来たオーガは圧倒的なまでに強い。
それは門下生全員が認めていた。
だが……そのオーガを従える少年。
強いのか、弱いのか? それが全く解らない。
「そういえばあの冒険者は強いのか? テイマーって自身はあんまり強くないじゃん。鉄の塊を変形させてたし、得意なのは実戦での戦いじゃなくて錬金術なんじゃねぇかな」
「そうかもしれないって思うけど、そんな人にザハークさんが付いて行くと思うか? どうやってモンスターを仲間にするのか良く知らないけど、そんな簡単に付いて行くようには思えないな。ダックスはどう思う」
「……正直なところ、強いのか弱いのか読めない。色々と上手く隠されている、そんな感じがするな」
後衛で戦うのか、それともサポートをメインに活動しているのか解らない。
ただダックスはソウスケに妙な違和感を感じていた。
「そうだよな……ぼ、冒険者なんだよな」
「だと思うけど……だってオーガの従魔だってあの人に付き従ってる? って感じだし」
この道場の依頼を受け、従魔を連れて来たということは冒険者ということで間違いない。
ソウスケの服装からしても冒険者にしか見えないだろう。
しかしそんな人物がいきなり鉄の塊を変形させ、大きな針が四方向に分かれた小さな道具を作った。
「というか、今更だけどあのエルフの冒険者、超美人だよな」
「俺もそう思った!! エルフは何度も見たことがあるけどあの人は別格と言うか……師範と話してる人、いったいどこであんな美人と知り合ったんだろうな」
学術都市には多くの種族が訪れる。
単純にダンジョンに潜る為、他に何かを学ぶために訪れる価値がありるので、門下生たちにとってエルフは見慣れた存在だった。
だが、ミレアナの正体はエルフではなくハイ・エルフ。
見た目はそこまで変わらないのだが、実力と体から溢れているオーラはやや変わってくる。
そしてミレアナはエルフ、ハイ・エルフの中でもトップレベルの美しさを持つ。
門下生たちの中には女子もいるが、同性でもミレアナの美しさには圧倒されて嫉妬なんて感情は生まれなかった。
しかし門下生たちの中で全員に一つだけ生まれた感情があった。
師範と対等な立場で話す自分達と大して歳が変わらない少年。
道場に冒険者が訪れることは珍しくない。
だが、どの冒険者も師範には低姿勢気味の態度で接している。
ソウスケが不敬な態度を取っているという訳ではない。
それは門下生たちも解っているが、師範の力に全くビビッていない……そう思えた者も何名かいた。
「というか、あのオーガ……ザハーク、さん? に全く勝てる気がしないんだけど」
「そりゃ希少種のオーガだぞ。元がCランクなんだから希少種ならBランク……もしくはAランクぐらいの強さを持ってるんじゃないか?」
「マジかよ……それが本当だったら俺達が束になっても勝てないな。ダックスもそう思うだろ」
「……そうだな。勝てないと認めるのは非常に辛いが、現時点では力の差が開き過ぎている」
ダックスという名の門下生は子爵系の子息であり、学術都市の学園に通っている生徒でもある。
授業が選択制なので予定がない日は轟炎流の道場で同じ門下生たちと一緒に汗を流している。
まだ学生だが、その実力は冒険者のルーキーを既に超えており、将来は騎士になれる可能性だってある。
同じ門下生たちにとっては貴族の子息だが身分関係無く接してくれるリーダー的存在だ。
「はっはっは! お前って本当に負けず嫌いだよな」
「相手が誰であっても負けるのは悔しいに決まってるだろ……あのオーガ、俺達の攻撃を一度もまともに食らっていないんだぞ。一太刀ぐらいは浴びせられると思ていたんだがな」
「まだ門下生の俺達がAランクかもしれないザハークさんに一太刀まともに当てられたら大金星だな」
「だよな。模擬戦でも勝ちたいって思いはあるけど……立っている位置が離れすぎてるぜ」
(立って入り位置、か。俺達の攻撃をあそこまで捌けるのだ。ただ身体能力が高いだけではなく、実戦の経験も豊富なのだろうな)
ザハークはダンジョンに生まれてから一年も経っていないが、戦闘経験に関しては豊富と言えるだろう。
今日、自分達の模擬戦としてやって来たオーガは圧倒的なまでに強い。
それは門下生全員が認めていた。
だが……そのオーガを従える少年。
強いのか、弱いのか? それが全く解らない。
「そういえばあの冒険者は強いのか? テイマーって自身はあんまり強くないじゃん。鉄の塊を変形させてたし、得意なのは実戦での戦いじゃなくて錬金術なんじゃねぇかな」
「そうかもしれないって思うけど、そんな人にザハークさんが付いて行くと思うか? どうやってモンスターを仲間にするのか良く知らないけど、そんな簡単に付いて行くようには思えないな。ダックスはどう思う」
「……正直なところ、強いのか弱いのか読めない。色々と上手く隠されている、そんな感じがするな」
後衛で戦うのか、それともサポートをメインに活動しているのか解らない。
ただダックスはソウスケに妙な違和感を感じていた。
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