転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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五百七十五話 今日は……二度寝しない

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「はぁ~~~~~~……今日も元気にやってくか」

鍛冶に熱中した日の晩、ソウスケはいつも以上にぐっすりと寝られたが、普段よりも早く起きることができた。
普段のソウスケならここで二度寝するところだが、今日は気合を入れてベッドから降りた。

「今日は何を造ろうか……悩むな」

ザハークと一緒に鍛冶作業に集中するようになり、あまり時間を無駄にしたくないという思いが芽生えたソウスケは顔を洗ってささっと着替え、下に降りた。

既にザハークも店員に料理を適当に頼んで食べている。

(朝って普通はこんなにがっつり食べられないもんだと思うけど、この世界は食材の質が高いよな)

料理の技術に関しては日本にいた頃の方が高いという確信があるが、食材の美味さはこちらの方が断然高い。

(野菜一つにしても味が一段ぐらい上な気がするんだよな。偶にマヨネーズとかドレッシングが欲しいなと思う時はあるけど……マヨネーズに関しては造れるか? 確か卵と塩と……植物油? と…………お酢? だったか)

意外にもソウスケの頭の中にはマヨネーズの知識が入っていた。

(塩と卵は当然あるとして……植物油もある。ただ……お酢はあるのか?)

お酢は日本で作られた調味料。この世界にも日本に近しい国はあり、お酢は存在する。
ただし、今すぐ手に入るかは分からない。

(マヨネーズ……あのどんな料理に使っても大体合う美味さ……ヤバい、急にマヨネーズが欲しくなってきたな)

しかしこれから数週間は鍛冶に集中する時間。
お酢を探す時間はあまりない。

「……お酢に関してはまた後で考えよう」

朝食を食べ終え、ザハークと本日も鍛冶ギルドに向かい、鍛冶場で武器や防具を造る二人。
使った素材で最良の武器を造れるように頑張るのは当然として、二人ともこんな武器を造ってみよう。

そんな子供心を持ちながら武器造りに没頭する。

そして二人が鍛冶に熱中してから五時間ほどが経ち、昼過ぎになったので一旦作業を中断した。

「ふぅーーー、ザハーク。一旦終わろう」

「うむ、丁度良い頃合いだな。俺も腹が減ってきた」

一旦鍛冶場から離れ、露店で適当に料理をつまんでいく。

「ソウスケさんは相変わらず良い武器を造るな」

「そうか? ザハークも良質な装備を造ってると思うぞ」

「……偶に自信を持って良い装備だと思える物を造れるときがあるが、ソウスケさんには一歩及ばない」

ザハークも鍛冶の勘を取り戻し、腕も徐々にではあるが上がってきている。
だが、流石にまだソウスケが造る良質な一品に追いつけたとは思っていない。

加えて、鍛冶の腕だけではなく発想力も足りないと感じる。

しかしそれに関してはソウスケが元々は日本という国で育ち、漫画やゲームにはまっていたという点から、大きく差が出てしまうのは仕方ない。

「まっ、お互い鍛冶を続けてれば腕は上がっていくさ」

「うむ、それはそうだな……一つ聞きたいのだが、今回はいつ頃に造った武器を売るのだ?」

「そうだな~~~……多分、数週間後ぐらい?」

「かなり造り貯めるのだな」

「あぁ、折角造るんだからたくさん在庫はあったほうが良いと思ってな」

今まで二回ほど露店で造った武器を売ってきたが、ソウスケは自分とザハークが造る武器は基本的に売れると確信している。

それもその筈であり、二人は冒険者とその従魔。
武器や防具を造るのに素材をわざわざ買ったり依頼する必要はない。
素材が欲しいと思えばダンジョンに潜る。もしくは森の中に入って自らの手で手に入れる。

それが出来るので、材料費を考えずに装備品を売ることができる。
そんな二人が武器や防具を売る時、値段は良心的な価格になるので冒険者や戦闘職の目に留まりやすい。
そして二人が造る武器に粗悪品はない。

ソウスケが武器を造れば、ホーンラビットの角を使用した武器でも一定の確率で貫通力強化の性能が付与される。
性能が付与されているかいなか、それだけで装備品の価値は大きく変わる。

ホーンラビットなど、ソウスケにとっては投擲だけで殺せて角を手に入れるのにコストなど全く必要ない。

(昼休憩が終われば次は何を造ろうか……迷うな)

素材や魔石の心配はないので、二人の装備品造りはまだまだ続く。
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