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五百七十六話 よそでやれ
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「ソウスケさん、あそこ……」
「ん? あれは……喧嘩か。しかも同業者」
二人の眼先には今にも殴り合いを始めそうな冒険者が二名いた。
少し離れた場所から聞き耳を立てて会話を聞いていると、どうやらお互いに気になる人が被っていた。
そしてその女性は自分の方に気があると云々かんぬん……簡潔纏めれば、男二人が自分の妄想を押し付け合っているだけ。
「なんというか……男らしい喧嘩内容だな」
「そういうものなのか? そうだとしても、いくらお互いの意見を主張しあっても決着が着かない内容だと思うがな」
ザハークの言う通りであり、ここで男二人がいくら話し合っても決着が着くことはない。
見てる分には面白いが、このままでは周囲の人たちに迷惑が掛かる。
「ザハーク、ちょっと止めてきてもらえるか。俺が行ってもあいつらの熱が冷めることはないと思うから」
「ふむ……そうだな。分かった」
冒険者たちがこのままでは本気で喧嘩を始めるかもしれない。
その二人がボロボロになって済むなら問題無いが、周囲の通行人や店に迷惑が及ぶのでザハークは露店で買った串焼きを一旦ソウスケに預け、お互いに胸ぐらをつかみ合っている冒険者の元に向かった。
「お前たち、喧嘩をするのは別に構わないが周りへの迷惑を考えろ」
「「うるせぇ!!! 外野は黙って、ろ……」」
殴り合い寸前だった二人は声を掛けてきたザハークの方を振り向き、怒鳴り散らかした。
だが……即座にその人物が自分たちよりも身長が高く、鬼人族ではないが鬼人族だと思い、声が小さくなった。
「お前たちもガキじゃないんだ。こんなところで殴り合いをすれば周囲の人に迷惑が掛かることぐらい分かるだろ。冒険者なら冒険者らしく、ギルドの訓練場で喧嘩をしろ」
もっともな正論をザハークにぶつけられ、周囲の人からもそうだそうだと声が飛ぶ。
いたたまれなくなった二人は走ってその場から去り、一応決着を着ける為に冒険者ギルドの訓練場へと向かった。
「はぁ……最初から素直に動くならこんなところで喧嘩などするなという話なのに……馬鹿はどかまでいっても馬鹿ということか」
「ナイス迫力だったぞ、ザハーク。怒鳴り散らそうとして最後の方は声が小さくなるあいつらの表情……ふふっ!! あまりにも間抜けすぎて面白かったぞ」
「確かに間抜けな表情になっていたな。大人なのだから喧嘩をする場所ぐらい選べばいいものを……」
「見た感じまだ二十代前半って感じだったし、頭に血が上りやすい年齢なんだろ」
歳を取っても血が上りやすい者はそのままだが、大抵の者は昔の自分は子供だったなぁ……と思い、心に余裕が生まれる。
「それをソウスケさんが言ってしまうのか?」
「それはほら、俺は余裕があるし……異性に興味はあっても今のところ恋愛にはあまり興味ないからな」
日本にいた頃では考えられない発想だと自分でも解っている。
だが、自由と力と財力を手に入れた今のソウスケは恋愛に対して興味が薄れていた。
お金を払えばスタイル抜群の美女を抱ける。
前世では金銭面や年齢面で入れなかった大人の店に入れるようになった。
ソウスケはそれだけで若干満足してしまってるところがある。
ただ、理由はまだある。それは……日本にいたときと比べ、楽しいと感じる娯楽施設が圧倒的に少ないのだ。
こちらの世界で生まれた住民にとっては楽しいと感じても、ソウスケからあまり楽しさを感じないのが正直なところ。
美女、美少女と触れ合う機会は確かに楽しい。
しかし、現状はダンジョンを探索したり鍛冶や錬金術を行っている方が楽しいと感じる割合が大きい。
(元の世界に戻る方法なんてないだろうし……というか、戻ったところでどうするんだって話だしな。そりゃいずれは結婚したいなぁ~~~とは思うけど、今のところその願望はあまり大きくないな)
この世界を楽しみながら生きたい。
その気持ちは今でも変わっていなかった。
「ん? あれは……喧嘩か。しかも同業者」
二人の眼先には今にも殴り合いを始めそうな冒険者が二名いた。
少し離れた場所から聞き耳を立てて会話を聞いていると、どうやらお互いに気になる人が被っていた。
そしてその女性は自分の方に気があると云々かんぬん……簡潔纏めれば、男二人が自分の妄想を押し付け合っているだけ。
「なんというか……男らしい喧嘩内容だな」
「そういうものなのか? そうだとしても、いくらお互いの意見を主張しあっても決着が着かない内容だと思うがな」
ザハークの言う通りであり、ここで男二人がいくら話し合っても決着が着くことはない。
見てる分には面白いが、このままでは周囲の人たちに迷惑が掛かる。
「ザハーク、ちょっと止めてきてもらえるか。俺が行ってもあいつらの熱が冷めることはないと思うから」
「ふむ……そうだな。分かった」
冒険者たちがこのままでは本気で喧嘩を始めるかもしれない。
その二人がボロボロになって済むなら問題無いが、周囲の通行人や店に迷惑が及ぶのでザハークは露店で買った串焼きを一旦ソウスケに預け、お互いに胸ぐらをつかみ合っている冒険者の元に向かった。
「お前たち、喧嘩をするのは別に構わないが周りへの迷惑を考えろ」
「「うるせぇ!!! 外野は黙って、ろ……」」
殴り合い寸前だった二人は声を掛けてきたザハークの方を振り向き、怒鳴り散らかした。
だが……即座にその人物が自分たちよりも身長が高く、鬼人族ではないが鬼人族だと思い、声が小さくなった。
「お前たちもガキじゃないんだ。こんなところで殴り合いをすれば周囲の人に迷惑が掛かることぐらい分かるだろ。冒険者なら冒険者らしく、ギルドの訓練場で喧嘩をしろ」
もっともな正論をザハークにぶつけられ、周囲の人からもそうだそうだと声が飛ぶ。
いたたまれなくなった二人は走ってその場から去り、一応決着を着ける為に冒険者ギルドの訓練場へと向かった。
「はぁ……最初から素直に動くならこんなところで喧嘩などするなという話なのに……馬鹿はどかまでいっても馬鹿ということか」
「ナイス迫力だったぞ、ザハーク。怒鳴り散らそうとして最後の方は声が小さくなるあいつらの表情……ふふっ!! あまりにも間抜けすぎて面白かったぞ」
「確かに間抜けな表情になっていたな。大人なのだから喧嘩をする場所ぐらい選べばいいものを……」
「見た感じまだ二十代前半って感じだったし、頭に血が上りやすい年齢なんだろ」
歳を取っても血が上りやすい者はそのままだが、大抵の者は昔の自分は子供だったなぁ……と思い、心に余裕が生まれる。
「それをソウスケさんが言ってしまうのか?」
「それはほら、俺は余裕があるし……異性に興味はあっても今のところ恋愛にはあまり興味ないからな」
日本にいた頃では考えられない発想だと自分でも解っている。
だが、自由と力と財力を手に入れた今のソウスケは恋愛に対して興味が薄れていた。
お金を払えばスタイル抜群の美女を抱ける。
前世では金銭面や年齢面で入れなかった大人の店に入れるようになった。
ソウスケはそれだけで若干満足してしまってるところがある。
ただ、理由はまだある。それは……日本にいたときと比べ、楽しいと感じる娯楽施設が圧倒的に少ないのだ。
こちらの世界で生まれた住民にとっては楽しいと感じても、ソウスケからあまり楽しさを感じないのが正直なところ。
美女、美少女と触れ合う機会は確かに楽しい。
しかし、現状はダンジョンを探索したり鍛冶や錬金術を行っている方が楽しいと感じる割合が大きい。
(元の世界に戻る方法なんてないだろうし……というか、戻ったところでどうするんだって話だしな。そりゃいずれは結婚したいなぁ~~~とは思うけど、今のところその願望はあまり大きくないな)
この世界を楽しみながら生きたい。
その気持ちは今でも変わっていなかった。
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