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六百五十話 バカに賛同するバカ
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「…………」
「ミレアナ、どうかしたか?」
「いえ、なんでもありません」
ザハークがファイヤドレイクとの戦闘に勝利し、上層へ向かう途中でミレアナの視線が一つの場所に集中していた。
(……もしかしたら、あのバカたちだったのかもしれませんね)
ミレアナはザハークとソウスケの二人と比べ、聴力が高い。
なので、ザハークが後方へ特大火球を弾いたときに、後方から聞こえた声に聞き覚えがあった。
(偶々ですので、こちらが百パーセント悪いとは言えませんが、こちらに全く非がないとは言えないですよね)
元々ザハークは後方で待機しているギリスたちの存在に気付いており、わざと特大火球を後方へ弾き飛ばしたわけではない。
それはミレアナも分かっているので、ザハークの動きにケチを付けるつもりはないが、今後ダンジョン内の行動で気を付けた方が良い内容だと思った。
(しかし、バカたちが偶然いたとは……不謹慎かもしれませんが、面倒な連中が消えてくれて助かりましたね)
ギリスたちが自分たちと対立した形になっているので、ミレアナは自分たちがギリスに戦闘で負けるとは一ミリも思ってないが、面倒な存在が消えてくれるのは有難い。
(いや、そもそもバカたちがあそこにいたのは、偶々ではないかもしれませんね……マジックアイテムには調べたい対象の位置を調べる物もあるでしょうから、それを使って私たちを追跡してきた……そしてあと一歩、襲い掛かるだけという場面で特大火球が飛んできたといった流れでしょうか?)
道中でグローチに襲われて仲間を失ったという事情などは知らないが、もし自分が考えている通りだと思うと、ミレアナは小さく噴き出してしまった。
「ふふ……バカな人達ですね」
「? 道中でバカな奴でもいたか??」
「いえ、そういう訳ではありません。ただ……無意味な理由でダンジョンに潜る者もいるのだと思いまして」
「そ、そんな奴がいたのか? 特に記憶にないが……もしいるなら、物凄いバカなんだろうな」
「えぇ、物凄くバカだと思います」
実際にギリスとその取り巻きに会ったことがあるミレアナから視て、ギリスたちは三十一階層以降の階層で十分に動けるほどの力量を持っていなかった。
(そもそも全員が三十一階層に転移できたのでしょうか? もしや、わざわざ二十一階層に転移して私たちを追いかけてきた? もしそうなのであれば……わざわざ無駄足ご苦労様、としか言えませんね)
ミレアナはソウスケというダンジョンの探索を行う上で、圧倒的に頼りになる人物がいるからこそ、スムーズにダンジョン探索を行えているのだと自覚している。
ソウスケのような超万能冒険者がいないギリスたちが無理矢理二十一階層から駆け足で進み、三十層のボスを突破して三十一階層以降に突入するには、それなりの犠牲が必要。
ミレアナが考えている通り、ギリスたちは三十一階層を突破するのに、決して少なくない犠牲を払った。
そしてマグマ帯で活動するのにある程度慣れてきたところで、標的を発見。
ザハークの戦闘が終わるまで待ち構えていると、不意に特大火球が自分たちのところに飛んできて……衝撃でマグマの海に飛ばされて呆気なく人生終了。
(仮に私の考えていることが正しければ、彼らは本当に無駄死にしたことになりますが……首謀者はギリスという名の男でしょうか? であれば、同行させられた他のメンバーは可哀そうとしか言えませんね)
確かに個人的な支援に同行させられ、特に何も得る物がなくマグマの海に落ちて死んだのであれば、可哀想だろう。
しかしミレアナの予想に反し、ギリスに同行していたメンバーはギリスの考えに賛同し、自らソウスケたちへの襲撃に参加していた。
ミレアナは世の中にどうしようもないバカがいることは知っていたが、一つのクランにそんな大バカの考えに賛同するバカが何人もいるとは予想出来なかった。
「ミレアナ、どうかしたか?」
「いえ、なんでもありません」
ザハークがファイヤドレイクとの戦闘に勝利し、上層へ向かう途中でミレアナの視線が一つの場所に集中していた。
(……もしかしたら、あのバカたちだったのかもしれませんね)
ミレアナはザハークとソウスケの二人と比べ、聴力が高い。
なので、ザハークが後方へ特大火球を弾いたときに、後方から聞こえた声に聞き覚えがあった。
(偶々ですので、こちらが百パーセント悪いとは言えませんが、こちらに全く非がないとは言えないですよね)
元々ザハークは後方で待機しているギリスたちの存在に気付いており、わざと特大火球を後方へ弾き飛ばしたわけではない。
それはミレアナも分かっているので、ザハークの動きにケチを付けるつもりはないが、今後ダンジョン内の行動で気を付けた方が良い内容だと思った。
(しかし、バカたちが偶然いたとは……不謹慎かもしれませんが、面倒な連中が消えてくれて助かりましたね)
ギリスたちが自分たちと対立した形になっているので、ミレアナは自分たちがギリスに戦闘で負けるとは一ミリも思ってないが、面倒な存在が消えてくれるのは有難い。
(いや、そもそもバカたちがあそこにいたのは、偶々ではないかもしれませんね……マジックアイテムには調べたい対象の位置を調べる物もあるでしょうから、それを使って私たちを追跡してきた……そしてあと一歩、襲い掛かるだけという場面で特大火球が飛んできたといった流れでしょうか?)
道中でグローチに襲われて仲間を失ったという事情などは知らないが、もし自分が考えている通りだと思うと、ミレアナは小さく噴き出してしまった。
「ふふ……バカな人達ですね」
「? 道中でバカな奴でもいたか??」
「いえ、そういう訳ではありません。ただ……無意味な理由でダンジョンに潜る者もいるのだと思いまして」
「そ、そんな奴がいたのか? 特に記憶にないが……もしいるなら、物凄いバカなんだろうな」
「えぇ、物凄くバカだと思います」
実際にギリスとその取り巻きに会ったことがあるミレアナから視て、ギリスたちは三十一階層以降の階層で十分に動けるほどの力量を持っていなかった。
(そもそも全員が三十一階層に転移できたのでしょうか? もしや、わざわざ二十一階層に転移して私たちを追いかけてきた? もしそうなのであれば……わざわざ無駄足ご苦労様、としか言えませんね)
ミレアナはソウスケというダンジョンの探索を行う上で、圧倒的に頼りになる人物がいるからこそ、スムーズにダンジョン探索を行えているのだと自覚している。
ソウスケのような超万能冒険者がいないギリスたちが無理矢理二十一階層から駆け足で進み、三十層のボスを突破して三十一階層以降に突入するには、それなりの犠牲が必要。
ミレアナが考えている通り、ギリスたちは三十一階層を突破するのに、決して少なくない犠牲を払った。
そしてマグマ帯で活動するのにある程度慣れてきたところで、標的を発見。
ザハークの戦闘が終わるまで待ち構えていると、不意に特大火球が自分たちのところに飛んできて……衝撃でマグマの海に飛ばされて呆気なく人生終了。
(仮に私の考えていることが正しければ、彼らは本当に無駄死にしたことになりますが……首謀者はギリスという名の男でしょうか? であれば、同行させられた他のメンバーは可哀そうとしか言えませんね)
確かに個人的な支援に同行させられ、特に何も得る物がなくマグマの海に落ちて死んだのであれば、可哀想だろう。
しかしミレアナの予想に反し、ギリスに同行していたメンバーはギリスの考えに賛同し、自らソウスケたちへの襲撃に参加していた。
ミレアナは世の中にどうしようもないバカがいることは知っていたが、一つのクランにそんな大バカの考えに賛同するバカが何人もいるとは予想出来なかった。
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