844 / 1,259
八百十四話 保険は大事
しおりを挟む
Aランク冒険者クラスの実力者同士の戦いでは……ほんの少し意識が飛び、衝撃に意識が向いてしまうだけで命取りとなる。
「ハッ!!!!!」
「ッ………ん、のぉ……」
疾風一閃。
旋風を纏うグラディウスの斬撃が騎士の首を斬り裂き、確実に戦力を削いだ。
(次だ!!!!)
当然、ミレアナやザハークの実力を信用しているとはいえ、ここで闘志が切れるソウスケ本体ではない。
まだ戦況が確実に自分たちの方に傾いていないことは理解している。
瞬時に戦況を見極め、防御だけで手一杯の味方の元へ向かい、先程と同じ疾風一閃を放ち……それと同時に、多数の攻撃魔法を放つ。
「ぬッ!!! ちっ! 気を引き締めろ!!」
全ての攻撃をタンクの男が防いだが、それらの攻撃力と味方が一人殺されたという事実から……ソウスケ本体に対する警戒心を上げる。
男の声は戦場に響き、「信じられない!」といった表情を浮かべる者もいたが、直ぐに現状を受け入れる。
ただ……男の同僚である同じ騎士は、少なからずその身に怒りを宿した。
「どちらに意識を割いてるのですか」
「ぐっ!? ちょろちょろと、鬱陶しい!!!!」
「そうして苛立ってもらえると、こちらとしては本望です」
魔弓から貫通力の高い風矢を何度も何度も放ち、敵に自由を与えない。
そして適度に煽り、平常心を乱す。
(私も、偶には暴れないといけませんね)
魔弓による攻撃と攻撃魔法による二つの遠距離攻撃だけでも十分強力だが、ミレアナの攻撃方法はその二つだけではない。
目の前の騎士と冒険者がチラチラとソウスケ本体を潰せないか、機会を窺うほんの僅かな隙が生まれた瞬間……魔弓をしまい、飛竜の双剣を抜いた。
「なっ!?」
ソウスケとザハークという超優れた接近戦大得意な魔法戦士と、超優れたハイバランサーがいれば、必然的にミレアナが前に出る必要がなくなる。
だが、決して接近戦の腕が錆び付いたわけではない。
魔力操作、弓の扱いだけではなく、体術や短剣に双剣の扱いも一級品。
ソウスケ本体の時と同じく、敵がうっかり隙を生んでしまえば……後は急所に刃をぶち込むだけ。
「っ!?」
そこまで時間を掛けることなく、ザハークがルティナ・ヴィリストとの戦闘に完全集中できる環境をつくれるかもしれない。
そんな考えが……少し甘かったと思い知らされる。
「この、やろう!!!!」
騎士に向けて放った斬撃は急所に向けられた攻撃に反応するマジックアイテムにより、ギリギリのところでガードされた。
魔弓と攻撃魔法の攻めから一転、双剣による奇襲を流れるように実行。
主にミレアナを相手にしていた騎士と冒険者の二人は、ソウスケ本体に意識を向けてる場合ではない。
まずは目の前の相手を殺すことに意識を集中させた。
「保険は大事ですね」
「なっ、ぁ……」
敵の全体を見れば、何かしらのマジックアイテムを身に付けているのは、一目瞭然。
その中に、防御系のマジックアイテムがあるかもしれない、と頭の中に考えを置いておいたミレアナ。
旋風を纏った双剣を敵の急所に突き付ける前に、超極細の風針を準備していた。
騎士が身に付けていた防御タイプのマジックアイテムは、使い捨てではなく、本人の魔力量次第でまだ何度も発動できたが、もう一度壁を発生させるまでにはタイムラグがあった。
「さぁ、あと一人」
「っ、嘗めてもらっては困るよ」
騎士の後ろから後衛職としてサポートしていた冒険者は、それらしいセリフを口にして構えるが、内心超ビビりまくっていた。
(嘘だろ。なんなんだこのエルフは!? いや、待て……もしかして!!??)
後衛職の男も防御系のマジックアイテムを装備していたが、ミレアナが放つ連撃はあっという間にその防御を打ち破り、首元に斬撃が叩きこまれた。
この時、状況が状況だったこともあり、ミレアナは今までの冒険者人生の中で過去一集中していた。
「ハッ!!!!!」
「ッ………ん、のぉ……」
疾風一閃。
旋風を纏うグラディウスの斬撃が騎士の首を斬り裂き、確実に戦力を削いだ。
(次だ!!!!)
当然、ミレアナやザハークの実力を信用しているとはいえ、ここで闘志が切れるソウスケ本体ではない。
まだ戦況が確実に自分たちの方に傾いていないことは理解している。
瞬時に戦況を見極め、防御だけで手一杯の味方の元へ向かい、先程と同じ疾風一閃を放ち……それと同時に、多数の攻撃魔法を放つ。
「ぬッ!!! ちっ! 気を引き締めろ!!」
全ての攻撃をタンクの男が防いだが、それらの攻撃力と味方が一人殺されたという事実から……ソウスケ本体に対する警戒心を上げる。
男の声は戦場に響き、「信じられない!」といった表情を浮かべる者もいたが、直ぐに現状を受け入れる。
ただ……男の同僚である同じ騎士は、少なからずその身に怒りを宿した。
「どちらに意識を割いてるのですか」
「ぐっ!? ちょろちょろと、鬱陶しい!!!!」
「そうして苛立ってもらえると、こちらとしては本望です」
魔弓から貫通力の高い風矢を何度も何度も放ち、敵に自由を与えない。
そして適度に煽り、平常心を乱す。
(私も、偶には暴れないといけませんね)
魔弓による攻撃と攻撃魔法による二つの遠距離攻撃だけでも十分強力だが、ミレアナの攻撃方法はその二つだけではない。
目の前の騎士と冒険者がチラチラとソウスケ本体を潰せないか、機会を窺うほんの僅かな隙が生まれた瞬間……魔弓をしまい、飛竜の双剣を抜いた。
「なっ!?」
ソウスケとザハークという超優れた接近戦大得意な魔法戦士と、超優れたハイバランサーがいれば、必然的にミレアナが前に出る必要がなくなる。
だが、決して接近戦の腕が錆び付いたわけではない。
魔力操作、弓の扱いだけではなく、体術や短剣に双剣の扱いも一級品。
ソウスケ本体の時と同じく、敵がうっかり隙を生んでしまえば……後は急所に刃をぶち込むだけ。
「っ!?」
そこまで時間を掛けることなく、ザハークがルティナ・ヴィリストとの戦闘に完全集中できる環境をつくれるかもしれない。
そんな考えが……少し甘かったと思い知らされる。
「この、やろう!!!!」
騎士に向けて放った斬撃は急所に向けられた攻撃に反応するマジックアイテムにより、ギリギリのところでガードされた。
魔弓と攻撃魔法の攻めから一転、双剣による奇襲を流れるように実行。
主にミレアナを相手にしていた騎士と冒険者の二人は、ソウスケ本体に意識を向けてる場合ではない。
まずは目の前の相手を殺すことに意識を集中させた。
「保険は大事ですね」
「なっ、ぁ……」
敵の全体を見れば、何かしらのマジックアイテムを身に付けているのは、一目瞭然。
その中に、防御系のマジックアイテムがあるかもしれない、と頭の中に考えを置いておいたミレアナ。
旋風を纏った双剣を敵の急所に突き付ける前に、超極細の風針を準備していた。
騎士が身に付けていた防御タイプのマジックアイテムは、使い捨てではなく、本人の魔力量次第でまだ何度も発動できたが、もう一度壁を発生させるまでにはタイムラグがあった。
「さぁ、あと一人」
「っ、嘗めてもらっては困るよ」
騎士の後ろから後衛職としてサポートしていた冒険者は、それらしいセリフを口にして構えるが、内心超ビビりまくっていた。
(嘘だろ。なんなんだこのエルフは!? いや、待て……もしかして!!??)
後衛職の男も防御系のマジックアイテムを装備していたが、ミレアナが放つ連撃はあっという間にその防御を打ち破り、首元に斬撃が叩きこまれた。
この時、状況が状況だったこともあり、ミレアナは今までの冒険者人生の中で過去一集中していた。
139
あなたにおすすめの小説
異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』
アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた
【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。
カクヨム版の
分割投稿となりますので
一話が長かったり短かったりしています。
虹色のプレゼントボックス
紀道侑
ファンタジー
安田君26歳が自宅でカップ麺を食ってたら部屋ごと異世界に飛ばされるお話です。
安田君はおかしな思考回路の持ち主でわけのわからないことばっかりやります。
わけのわからない彼は異世界に転移してからわけのわからないチート能力を獲得します。
余計わけのわからない人物に進化します。
作中で起きた事件の真相に迫るのが早いです。
本当に尋常じゃないほど早いです。
残念ながらハーレムは無いです。
全年齢対象で男女問わず気軽に読めるゆるいゆる~いストーリーになっていると思いますので、お気軽にお読みください。
未公開含めて30話分くらいあったのですが、全部行間がおかしくなっていたので、再アップしています。
行間おかしくなっていることに朝の4時に気づいて右往左往して泣く泣く作品を削除しました。
なかなかに最悪な気分になりました。
お気に入りしてくださった方、申し訳ありません。
というかしょっちゅう二行も三行も行間が空いてる小説をよくお気に入りしてくださいましたね。
お気に入りしてくださった方々には幸せになってほしいです。
【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ
一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。
百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。
平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。
そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。
『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様にて、先行公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~
あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。
それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。
彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。
シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。
それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。
すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。
〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟
そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。
同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。
※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
【薬師向けスキルで世界最強!】追放された闘神の息子は、戦闘能力マイナスのゴミスキル《植物王》を究極進化させて史上最強の英雄に成り上がる!
こはるんるん
ファンタジー
「アッシュ、お前には完全に失望した。もう俺の跡目を継ぐ資格は無い。追放だ!」
主人公アッシュは、世界最強の冒険者ギルド【神喰らう蛇】のギルドマスターの息子として活躍していた。しかし、筋力のステータスが80%も低下する外れスキル【植物王(ドルイドキング)】に覚醒したことから、理不尽にも父親から追放を宣言される。
しかし、アッシュは襲われていたエルフの王女を助けたことから、史上最強の武器【世界樹の剣】を手に入れる。この剣は天界にある世界樹から作られた武器であり、『植物を支配する神スキル』【植物王】を持つアッシュにしか使いこなすことができなかった。
「エルフの王女コレットは、掟により、こ、これよりアッシュ様のつ、つつつ、妻として、お仕えさせていただきます。どうかエルフ王となり、王家にアッシュ様の血を取り入れる栄誉をお与えください!」
さらにエルフの王女から結婚して欲しい、エルフ王になって欲しいと追いかけまわされ、エルフ王国の内乱を治めることになる。さらには神獣フェンリルから忠誠を誓われる。
そんな彼の前には、父親やかつての仲間が敵として立ちはだかる。(だが【神喰らう蛇】はやがてアッシュに敗れて、あえなく没落する)
かくして、後に闘神と呼ばれることになる少年の戦いが幕を開けた……!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる