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八百七十三話 好きな人が作ったからこそ
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「…………」
「? 大丈夫ですか、アネット様」
「これが、命を奪うという感覚なんですね」
これまでアネットの命を狙う者たちは殺されてきたが、アネット自身が直接手を下したことは一度もない。
そんなアネットにとって相手がモンスターと言えど、生物の命を奪ったのは初めての体験。
これにより、アネットは戦闘者としての処女を捨てた
「もし気分が悪ければ、これから先は自分たちが戦いますのでご安心ください」
「……いえ、大丈夫です。これからも、戦います」
「そ、そうですか」
ソウスケとしては大人しく守られていて欲しいが、何故かアネット様はスイッチが入っており、十階層に到着するまで何度も戦闘に参加。
元々レベルが高くなかったため、何度もダンジョンのモンスターと戦闘を行った事でレベルアップし、攻撃魔法の威力は更に強化された。
「……美味しいですね」
「そう言ってもらえると幸いです」
当然ながら、夕食などもダンジョン内で食べる。
ソウスケは事前に用意していた食材、モンスターの肉などを使って王族が食べてもおかしくない……そう思えるような料理を少々時間を掛けて作った。
「ソウスケさんは、料理の腕も達者なのですね」
「冒険者として活動していれば、街の外で食事をする機会は多いですからね。自然とそれなりに出来るようになったといった感じです」
「羨ましいです。私を含め、第三騎士団のメンバーはあまり料理が上手くありませんからね」
「「「っ!!!」」」
騎士団長の言葉に、何名かの団員がブロウクンハート状態に。
貴族の令嬢であれば、自ら紅茶を淹れることはあっても、料理を行うことはまずない。
家の料理人たちが作ってくれるため、そもそも将来のことを考えても出来るようになる必要がないのだ。
だが……まだ婚約者などがいない状態の女性騎士たちからすれば、色々と焦りだす。
頑張って何か取り組んでみようと始めるも、当たり前だが最初から上手くいくわけがない。
「ソウスケさんは……やはり女性は料理が出来て、家庭的な人がモテると思いますか?」
「どう、なんですかね……」
貴族という世界は、前世のソウスケにとっては考えられない世界。
それでもこの世界で生活を始めてからある程度中身が解り、自分の常識が通用しない部分が多いと痛感し、一定の理解も持つようになった。
とはいえ、ソウスケの根っこは平民の逸れ。
モテるモテないの考え方も大して変わっていなかった。
「個人的な考えですけど、好きになった人の手料理というのは自然と食べてみたくなるもの、だと思うんですよ。専門の料理人が作った料理の方が美味しかったとしても、好きな人が作ってくれた料理には……また違う美味しさがあると思うんで」
「なるほど…………確かに、好きな人が作った物だからこそ、感じる何かはありそうですね」
こうして知った口を叩くソウスケだが、日本で生活してた時も恋人ができたことはない。
全て想像から得た内容ではあるが、それがアマンダや他の女性騎士たちの胸に響いた。
「……護衛は、俺一人でも良いのだが」
「いえ、そういう訳にはいきません。私たちはアネット様の護衛騎士ですので」
「そうか……まぁ、好きにしろ」
アマンダたちが用意したテントはアネットもそこで眠るという事で、ソウスケたちが持っているテントと同じく、中が完全に部屋となっている。
ソウスケが用意した湯船で疲れを癒し、ほんの少し休んだところで……夜の護衛がスタート。
場所がまだ上層であるため、モンスターパーティーが起こったとしても、ザハーク一人で簡単に対処出来る。
しかし、彼女たちの眼から確かなプライド、芯の強さを感じ取ったザハークはそれ以上は何も言わず、一定の時間が立つまでいつも通り外で休息を取りながらも、意識は半分覚醒させ続けた。
「? 大丈夫ですか、アネット様」
「これが、命を奪うという感覚なんですね」
これまでアネットの命を狙う者たちは殺されてきたが、アネット自身が直接手を下したことは一度もない。
そんなアネットにとって相手がモンスターと言えど、生物の命を奪ったのは初めての体験。
これにより、アネットは戦闘者としての処女を捨てた
「もし気分が悪ければ、これから先は自分たちが戦いますのでご安心ください」
「……いえ、大丈夫です。これからも、戦います」
「そ、そうですか」
ソウスケとしては大人しく守られていて欲しいが、何故かアネット様はスイッチが入っており、十階層に到着するまで何度も戦闘に参加。
元々レベルが高くなかったため、何度もダンジョンのモンスターと戦闘を行った事でレベルアップし、攻撃魔法の威力は更に強化された。
「……美味しいですね」
「そう言ってもらえると幸いです」
当然ながら、夕食などもダンジョン内で食べる。
ソウスケは事前に用意していた食材、モンスターの肉などを使って王族が食べてもおかしくない……そう思えるような料理を少々時間を掛けて作った。
「ソウスケさんは、料理の腕も達者なのですね」
「冒険者として活動していれば、街の外で食事をする機会は多いですからね。自然とそれなりに出来るようになったといった感じです」
「羨ましいです。私を含め、第三騎士団のメンバーはあまり料理が上手くありませんからね」
「「「っ!!!」」」
騎士団長の言葉に、何名かの団員がブロウクンハート状態に。
貴族の令嬢であれば、自ら紅茶を淹れることはあっても、料理を行うことはまずない。
家の料理人たちが作ってくれるため、そもそも将来のことを考えても出来るようになる必要がないのだ。
だが……まだ婚約者などがいない状態の女性騎士たちからすれば、色々と焦りだす。
頑張って何か取り組んでみようと始めるも、当たり前だが最初から上手くいくわけがない。
「ソウスケさんは……やはり女性は料理が出来て、家庭的な人がモテると思いますか?」
「どう、なんですかね……」
貴族という世界は、前世のソウスケにとっては考えられない世界。
それでもこの世界で生活を始めてからある程度中身が解り、自分の常識が通用しない部分が多いと痛感し、一定の理解も持つようになった。
とはいえ、ソウスケの根っこは平民の逸れ。
モテるモテないの考え方も大して変わっていなかった。
「個人的な考えですけど、好きになった人の手料理というのは自然と食べてみたくなるもの、だと思うんですよ。専門の料理人が作った料理の方が美味しかったとしても、好きな人が作ってくれた料理には……また違う美味しさがあると思うんで」
「なるほど…………確かに、好きな人が作った物だからこそ、感じる何かはありそうですね」
こうして知った口を叩くソウスケだが、日本で生活してた時も恋人ができたことはない。
全て想像から得た内容ではあるが、それがアマンダや他の女性騎士たちの胸に響いた。
「……護衛は、俺一人でも良いのだが」
「いえ、そういう訳にはいきません。私たちはアネット様の護衛騎士ですので」
「そうか……まぁ、好きにしろ」
アマンダたちが用意したテントはアネットもそこで眠るという事で、ソウスケたちが持っているテントと同じく、中が完全に部屋となっている。
ソウスケが用意した湯船で疲れを癒し、ほんの少し休んだところで……夜の護衛がスタート。
場所がまだ上層であるため、モンスターパーティーが起こったとしても、ザハーク一人で簡単に対処出来る。
しかし、彼女たちの眼から確かなプライド、芯の強さを感じ取ったザハークはそれ以上は何も言わず、一定の時間が立つまでいつも通り外で休息を取りながらも、意識は半分覚醒させ続けた。
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