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千四十九話 削ってはいけない
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「よろしくお願いします!!!」
ヌレールアの元気の良い挨拶から、翌朝もスタート。
昼過ぎまでは先日と同じ様に街の外に出てモンスターの相手をし、早めに屋敷へ戻ってから、復習開始。
「ヌレールア様、全力の一撃を叩き込むことは大事ですが、そこで動きが止まってしまうのは良くありません」
「はぁ、はぁ」
「難しいことを言ってるとは思いますが、常に頭の片隅に置いておいてください」
「は、はい!!! もう一回、お願いします!!!」
大剣、大斧といった武器の性質上、やはり一番の強味は一撃で勝負を終わらせられる可能性がある部分。
モンスターの中にはトレントの様な再生といった厄介な力を持つ個体もいるが、そんなトレントであっても、体を両断……もしくは魔石をバッサリと斬られてしまえば、息絶えてしまう。
だが、その分どうしても振りが大きくなってしまい、次の動作が見破られてしまうことがある。
(本当に厳しいことを言ってる自覚はあるけど、頭の片隅にあるだけで意識は変わってくる……筈。それに、いずれそれが出来るようになったら、絶対にヌレールア様の力になる)
本気で誰かを指導することは初めてなこともあり、どうしても絶対とは言い切れないソウスケ。
それでも、大剣や大斧に関してはザハークの考えも取り入れている為、それなりに自信を持って指導できる。
「少し休憩しましょう」
「は、はい」
もう一回!! と言いたいところだが、脚が小鹿の様にプルプルと震えていれば、さすがに疲れてからが本番!! という考えも意味をなさない。
「はぁ、はぁ……は、反省点を直すって、本当に、難しいですね」
「少し意識すれば出来るものから、それが長い課題になる場合もありますからね。それでも、個人的には既にそこが反省点だと気付けた時点で、成長してる証だと思います」
「っ……はい」
解らなくはない、でも心の底から納得は出来てない。
とても解り易い表情を浮かべるヌレールアに、ソウスケは苦笑いを浮かべながら、納得出来る様に言葉を掛ける。
「ヌレールア様、焦る気持ちが生まれるのは理解出来ます。でも、だからといってこの先……私たちが去った後、訓練時間を増やそうとして食事を取る時間や睡眠時間……休息する時間を減らしては駄目ですよ」
「うっ……も、勿論、解ってます」
まだ、まだ他の時間を削ってもっと訓練時間を増やそう、とは思っていなかった。
ただ……本当に自分は目指す場所に向かえてるのかと、小さな焦りがヌレールアの中にあり、容易にソウスケが駄目だと口にした通りの未来が想像出来てしまった。
「本当ですか?」
「……正直、もっと頑張らないとって、焦りはありました」
「素直に答えてくれてありがとうございます……あまり、まだ数年間もある。そう考えるのは良くないとは思います。でも、まだ数年……焦るには早い時期でもあり、私たちの目から見てもヌレールア様は確実に成長出来てます」
まだ時間はあるという考えは、怠惰に繋がってしまう可能性がある。
ただ、時間に限りがあるという現状が、焦りに繋がってしまう可能性があるのもまた事実。
「とはいえ、これから壁に当たってしまう期間と言うのがあると思います。それでも、焦り過ぎて自身の体を、休める機会を削ってしまわないように」
「こ、心も、ですか」
「えぇ、そうです。心もです。ヌレールア様の原動力は、目標に向かって自分を変えようと、変わろうとする心です。そこに乱れが生じれば……それは実戦にも表れ、護衛の騎士がいたとしても、万が一が起こる可能性に繋がります」
何故、まだヌレールアと歳が変わらないソウスケの口から、ここまで自分がそうかもしれない、と思える言葉が出てくるのか解らない。
人によっては、人生経験の浅さから、その助言が薄く感じるかもしれない。
しかし……ヌレールアにとっては、人生を変える切っ掛けとな人物の言葉。
故に、その助言を疑う様な気持ちは、一切なかった。
ヌレールアの元気の良い挨拶から、翌朝もスタート。
昼過ぎまでは先日と同じ様に街の外に出てモンスターの相手をし、早めに屋敷へ戻ってから、復習開始。
「ヌレールア様、全力の一撃を叩き込むことは大事ですが、そこで動きが止まってしまうのは良くありません」
「はぁ、はぁ」
「難しいことを言ってるとは思いますが、常に頭の片隅に置いておいてください」
「は、はい!!! もう一回、お願いします!!!」
大剣、大斧といった武器の性質上、やはり一番の強味は一撃で勝負を終わらせられる可能性がある部分。
モンスターの中にはトレントの様な再生といった厄介な力を持つ個体もいるが、そんなトレントであっても、体を両断……もしくは魔石をバッサリと斬られてしまえば、息絶えてしまう。
だが、その分どうしても振りが大きくなってしまい、次の動作が見破られてしまうことがある。
(本当に厳しいことを言ってる自覚はあるけど、頭の片隅にあるだけで意識は変わってくる……筈。それに、いずれそれが出来るようになったら、絶対にヌレールア様の力になる)
本気で誰かを指導することは初めてなこともあり、どうしても絶対とは言い切れないソウスケ。
それでも、大剣や大斧に関してはザハークの考えも取り入れている為、それなりに自信を持って指導できる。
「少し休憩しましょう」
「は、はい」
もう一回!! と言いたいところだが、脚が小鹿の様にプルプルと震えていれば、さすがに疲れてからが本番!! という考えも意味をなさない。
「はぁ、はぁ……は、反省点を直すって、本当に、難しいですね」
「少し意識すれば出来るものから、それが長い課題になる場合もありますからね。それでも、個人的には既にそこが反省点だと気付けた時点で、成長してる証だと思います」
「っ……はい」
解らなくはない、でも心の底から納得は出来てない。
とても解り易い表情を浮かべるヌレールアに、ソウスケは苦笑いを浮かべながら、納得出来る様に言葉を掛ける。
「ヌレールア様、焦る気持ちが生まれるのは理解出来ます。でも、だからといってこの先……私たちが去った後、訓練時間を増やそうとして食事を取る時間や睡眠時間……休息する時間を減らしては駄目ですよ」
「うっ……も、勿論、解ってます」
まだ、まだ他の時間を削ってもっと訓練時間を増やそう、とは思っていなかった。
ただ……本当に自分は目指す場所に向かえてるのかと、小さな焦りがヌレールアの中にあり、容易にソウスケが駄目だと口にした通りの未来が想像出来てしまった。
「本当ですか?」
「……正直、もっと頑張らないとって、焦りはありました」
「素直に答えてくれてありがとうございます……あまり、まだ数年間もある。そう考えるのは良くないとは思います。でも、まだ数年……焦るには早い時期でもあり、私たちの目から見てもヌレールア様は確実に成長出来てます」
まだ時間はあるという考えは、怠惰に繋がってしまう可能性がある。
ただ、時間に限りがあるという現状が、焦りに繋がってしまう可能性があるのもまた事実。
「とはいえ、これから壁に当たってしまう期間と言うのがあると思います。それでも、焦り過ぎて自身の体を、休める機会を削ってしまわないように」
「こ、心も、ですか」
「えぇ、そうです。心もです。ヌレールア様の原動力は、目標に向かって自分を変えようと、変わろうとする心です。そこに乱れが生じれば……それは実戦にも表れ、護衛の騎士がいたとしても、万が一が起こる可能性に繋がります」
何故、まだヌレールアと歳が変わらないソウスケの口から、ここまで自分がそうかもしれない、と思える言葉が出てくるのか解らない。
人によっては、人生経験の浅さから、その助言が薄く感じるかもしれない。
しかし……ヌレールアにとっては、人生を変える切っ掛けとな人物の言葉。
故に、その助言を疑う様な気持ちは、一切なかった。
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