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千百三十六話 誓約
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「どのクランに、所属しているんですか」
「鳳凰牙ってくらんだ。規模的には、さっきあんたが口にバラスタが所属してる深紅と同じぐらいね」
(つまり、大手クランってことだよな~~~)
ドラゴニックバレーで活動出来るバラスタという冒険者と限定すれば、自ずと特定出来る。
ベルダはソウスケがおそらく知らないだろうと思い、わざわざそのバラスタが所属するクランと同じぐらいの大きさだと伝えて上げた。
「…………………俺は、この国の生まれではなく、つい最近まで別の国で活動していました」
「知ってるよ、隣国のエイリスト王国でしょ」
勿論、ベルダは目の前のソウスケが、あのソウスケであると認識している。
「そうです。なので……この街というか、この国? などの事を、あまり信用していません」
「この国に入国して初めて訪れた街で、何か勘違いした冒険者たちに絡まれましたものね」
一応、信用出来ない理由はあるぞと、ミレアナは本当にあった事を伝えた。
「……つまり、私がクランの力を利用して、報復するかもしれないって考えてるわけかい」
「気を悪くしたらすいません。ただ、何分俺たちは国外から来た冒険者なので」
「…………まぁ、そうね。仕方ない事ね」
ベルダ自身、冒険者の中でも誠実に行動し、冒険者として上がって来たからこそ、そう思われることに多少の苛立ちを覚えるも……冷静に相手の立場になって考えることができ、ソウスケたちの言い分に納得した。
「解ったわ。私は、あんたのところのザハークと戦って、何が起こってもクランの力を利用し、報復しないと誓うわ」
「分かりました。では、書面記載しましょうか」
ダンジョンに何度も潜っていると、宝箱の中から誓約書の効力が染み込んだ書類などが手に入る。
ソウスケは一緒に入っていた羽付きペンとインクも取り出し、ベルダの前に置いた。
「それではベルダさん、この様に記入をお願いします」
ミレアナはアイテムバッグの中から洋紙とペンを取り出し、今しがた思い付いた内容を書き記し、ベルダに見せた。
「……オッケー、分かったよ」
先程の内容とは少々異なるものの、ベルダはその差に思うところはなかった。
「………………ほい。私のところは書いたよ」
「ありがとうございます………………では、俺たちの名前も書こうか、ミレアナ」
「えぇ」
自分たちの名前の部分だけはソウスケ、ミレアナ自ら記し、最後は三人の魔力を流す。
「これで、誓約が完了しました」
「……にしても、この場にザハークはいないけど、あいつ抜きで決めちゃっても良かったの?」
「ザハークは強敵と戦うチャンスを逃したりしませんので、ザハーク的には先程道中でベルダさんから申し込まれた際に、受けても良いと思っていましたよ」
「つまり、主人であるあんたに配慮して、あの場で受けても構わないって答えたわけね」
まだぱっと見ではあるが、ベルダから見てザハークという異例の従魔は、素直に主人とはいえ言う事に従うタイプとは思えなかった。
(……それだけ、このソウスケって子が強いってことなら……この訳の解らない感覚が、強いからこそって感じで正しいって感じね)
ベルダは目の前にいるソウスケというBランク冒険者の強さを、いまいち正確に測れていなかった。
ただ、ザハークがソウスケに配慮していたという情報から、自分の感覚がどちらの意味で正しいのか理解した。
(ふむ……どうやら、ソウスケさんの実力はある程度理解出来てるようですね)
一応自分の気持ちだけを押し通そうとする訳ではない態度を見て、礼儀知らずのクソゴミ野郎ではないと解っていても、ミレアナ的にはあまり太々しい態度は好印象ではなかった。
だが、ベルダがある程度ソウスケの実力を理解出来たと感じ、後に思い知らせる必要はないなと、静かな冷気を出すことなく洋紙とペンをしまった。
「鳳凰牙ってくらんだ。規模的には、さっきあんたが口にバラスタが所属してる深紅と同じぐらいね」
(つまり、大手クランってことだよな~~~)
ドラゴニックバレーで活動出来るバラスタという冒険者と限定すれば、自ずと特定出来る。
ベルダはソウスケがおそらく知らないだろうと思い、わざわざそのバラスタが所属するクランと同じぐらいの大きさだと伝えて上げた。
「…………………俺は、この国の生まれではなく、つい最近まで別の国で活動していました」
「知ってるよ、隣国のエイリスト王国でしょ」
勿論、ベルダは目の前のソウスケが、あのソウスケであると認識している。
「そうです。なので……この街というか、この国? などの事を、あまり信用していません」
「この国に入国して初めて訪れた街で、何か勘違いした冒険者たちに絡まれましたものね」
一応、信用出来ない理由はあるぞと、ミレアナは本当にあった事を伝えた。
「……つまり、私がクランの力を利用して、報復するかもしれないって考えてるわけかい」
「気を悪くしたらすいません。ただ、何分俺たちは国外から来た冒険者なので」
「…………まぁ、そうね。仕方ない事ね」
ベルダ自身、冒険者の中でも誠実に行動し、冒険者として上がって来たからこそ、そう思われることに多少の苛立ちを覚えるも……冷静に相手の立場になって考えることができ、ソウスケたちの言い分に納得した。
「解ったわ。私は、あんたのところのザハークと戦って、何が起こってもクランの力を利用し、報復しないと誓うわ」
「分かりました。では、書面記載しましょうか」
ダンジョンに何度も潜っていると、宝箱の中から誓約書の効力が染み込んだ書類などが手に入る。
ソウスケは一緒に入っていた羽付きペンとインクも取り出し、ベルダの前に置いた。
「それではベルダさん、この様に記入をお願いします」
ミレアナはアイテムバッグの中から洋紙とペンを取り出し、今しがた思い付いた内容を書き記し、ベルダに見せた。
「……オッケー、分かったよ」
先程の内容とは少々異なるものの、ベルダはその差に思うところはなかった。
「………………ほい。私のところは書いたよ」
「ありがとうございます………………では、俺たちの名前も書こうか、ミレアナ」
「えぇ」
自分たちの名前の部分だけはソウスケ、ミレアナ自ら記し、最後は三人の魔力を流す。
「これで、誓約が完了しました」
「……にしても、この場にザハークはいないけど、あいつ抜きで決めちゃっても良かったの?」
「ザハークは強敵と戦うチャンスを逃したりしませんので、ザハーク的には先程道中でベルダさんから申し込まれた際に、受けても良いと思っていましたよ」
「つまり、主人であるあんたに配慮して、あの場で受けても構わないって答えたわけね」
まだぱっと見ではあるが、ベルダから見てザハークという異例の従魔は、素直に主人とはいえ言う事に従うタイプとは思えなかった。
(……それだけ、このソウスケって子が強いってことなら……この訳の解らない感覚が、強いからこそって感じで正しいって感じね)
ベルダは目の前にいるソウスケというBランク冒険者の強さを、いまいち正確に測れていなかった。
ただ、ザハークがソウスケに配慮していたという情報から、自分の感覚がどちらの意味で正しいのか理解した。
(ふむ……どうやら、ソウスケさんの実力はある程度理解出来てるようですね)
一応自分の気持ちだけを押し通そうとする訳ではない態度を見て、礼儀知らずのクソゴミ野郎ではないと解っていても、ミレアナ的にはあまり太々しい態度は好印象ではなかった。
だが、ベルダがある程度ソウスケの実力を理解出来たと感じ、後に思い知らせる必要はないなと、静かな冷気を出すことなく洋紙とペンをしまった。
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