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千九十九話 致し方ない
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その日、ソウスケたちはここ最近の様に部屋や鍛冶場に引き籠って製作を続けてはおらず、前回の様に自分たちが造った武器の性能を確かめる為にドラゴニックバレーに訪れていた。
「…………」
「どうしたんだ、ザハーク」
「そろそろ、Aランクドラゴンを相手に試してみたいなと思ってな」
本日、既に三体のBランクドラゴンを自身で製作した双剣、大剣、大太刀で討伐しているザハーク。
武器の出来は悪くなく、普段はあまり使わない武器を使ってBランクドラゴンと戦うのも楽しさを感じる。
しかし……そろそろ、本当にそろそろAランクドラゴンと戦ってみたいという欲がぐつぐつと煮え滾っていた。
ドラゴニックバレーに訪れてから多数のBランクドラゴンを討伐している。
Aランクモンスターであるヴァレードタイガーとも戦ったが……まだ、残念ながらAランクドラゴンとは戦えていない。
「Aランクドラゴンを相手に、自身で造った武器を試したいのですか?」
「ふむ……まぁ、それもありだな。大きなダメージを与えられずとも、数分も耐え続けられれば悪くない出来と言えるだろう」
当然の事ながら、BランクドラゴンとAランクドラゴンとでは鱗や角、爪の堅さが異なる。
とはいえ、Bランクドラゴンの素材をメインに造られた武器が、全く通じないという訳ではない。
「……そうなりますと、あまりあなたのパワーに頼った戦い方をしては駄目という縛りが設けられてしまいますよ」
「むっ………………むぅ~~~~~~~~…………そう、だな。であれば、Aランクモンスターを相手に試すのは、難しいか」
攻撃力は武器の質に、使用者の身体能力と技術が加算される。
ザハークの場合は、身体能力がそこら辺の……上位に足を踏み入れている冒険者よりも上であるため、ザハークのパワーを持ってダメージを与えられたとしても、他の冒険者では無理だったという事例が起きてもおかしくない。
「ザハークが魔力を纏うか、強化系スキルを発動するか。どちらか一つだけにするなら、まだなんとか実験の形にはなるんじゃないか?」
「そうか。その手があったか」
全くもってアホな提案であり、「そうか、その手があったか」ではないのだ。
Aランクのドラゴンとは、正真正銘の怪物。
暴力の化身であり、怒りの矛先が街に向かえば、その街が破壊されるケースも珍しくない。
そんな絶対的な強者を相手に縛りを設けて戦うなど、愚の骨頂という言葉以上のアホ大バカ野郎である。
実際のところ、素の身体能力はソウスケよりも上であるザハークだが、Aランクドラゴンを相手に魔力を纏うことによる身体能力の強化、スキルを発動することによる身体強化……そのどちらかしか使わなければ、相当厳しい戦いになる。
ただ……戦闘大好きオーガであるザハークからすれば、スリル満点の戦いは是非とも実行したい、体験したい。
「……それならば、武器の品質を試すには丁度良いかもしれませんね」
ミレアナもザハークならばと、信用……なのか呆れなのかは解らないが、ひとまず問題は無いだろうとは思っている。
「とはいえ、普通に欠けて壊れてしまう可能性もありますよ」
「それはそれで致し方ないことだろう。俺の技量が足りなかった、鍛え方が足りなかった。ただそれだけだ」
「……そうでしたね」
武器が壊れるのを怖がっていては、試し斬りなど出来ない。
なんなら、そんな武器を第三者に売却する事など出来ない。
ザハークは……ソウスケと同じく、鍛冶は趣味ではあるものの、それを売るというのがどういう行為なのか解っているからこそ、本当に試す相手がAランクドラゴンだったとしても、壊れてしまえばそれは致し方ないと考えていた。
(Aランクドラゴンか…………そうだね。そろそろ、それを目当てにもっと奥まで探索しても良さそうだね……ん?)
新たな試しドラゴンを探しながら移動していると、遠く遠く離れた場所から、強い気配を複数感じた。
「…………」
「どうしたんだ、ザハーク」
「そろそろ、Aランクドラゴンを相手に試してみたいなと思ってな」
本日、既に三体のBランクドラゴンを自身で製作した双剣、大剣、大太刀で討伐しているザハーク。
武器の出来は悪くなく、普段はあまり使わない武器を使ってBランクドラゴンと戦うのも楽しさを感じる。
しかし……そろそろ、本当にそろそろAランクドラゴンと戦ってみたいという欲がぐつぐつと煮え滾っていた。
ドラゴニックバレーに訪れてから多数のBランクドラゴンを討伐している。
Aランクモンスターであるヴァレードタイガーとも戦ったが……まだ、残念ながらAランクドラゴンとは戦えていない。
「Aランクドラゴンを相手に、自身で造った武器を試したいのですか?」
「ふむ……まぁ、それもありだな。大きなダメージを与えられずとも、数分も耐え続けられれば悪くない出来と言えるだろう」
当然の事ながら、BランクドラゴンとAランクドラゴンとでは鱗や角、爪の堅さが異なる。
とはいえ、Bランクドラゴンの素材をメインに造られた武器が、全く通じないという訳ではない。
「……そうなりますと、あまりあなたのパワーに頼った戦い方をしては駄目という縛りが設けられてしまいますよ」
「むっ………………むぅ~~~~~~~~…………そう、だな。であれば、Aランクモンスターを相手に試すのは、難しいか」
攻撃力は武器の質に、使用者の身体能力と技術が加算される。
ザハークの場合は、身体能力がそこら辺の……上位に足を踏み入れている冒険者よりも上であるため、ザハークのパワーを持ってダメージを与えられたとしても、他の冒険者では無理だったという事例が起きてもおかしくない。
「ザハークが魔力を纏うか、強化系スキルを発動するか。どちらか一つだけにするなら、まだなんとか実験の形にはなるんじゃないか?」
「そうか。その手があったか」
全くもってアホな提案であり、「そうか、その手があったか」ではないのだ。
Aランクのドラゴンとは、正真正銘の怪物。
暴力の化身であり、怒りの矛先が街に向かえば、その街が破壊されるケースも珍しくない。
そんな絶対的な強者を相手に縛りを設けて戦うなど、愚の骨頂という言葉以上のアホ大バカ野郎である。
実際のところ、素の身体能力はソウスケよりも上であるザハークだが、Aランクドラゴンを相手に魔力を纏うことによる身体能力の強化、スキルを発動することによる身体強化……そのどちらかしか使わなければ、相当厳しい戦いになる。
ただ……戦闘大好きオーガであるザハークからすれば、スリル満点の戦いは是非とも実行したい、体験したい。
「……それならば、武器の品質を試すには丁度良いかもしれませんね」
ミレアナもザハークならばと、信用……なのか呆れなのかは解らないが、ひとまず問題は無いだろうとは思っている。
「とはいえ、普通に欠けて壊れてしまう可能性もありますよ」
「それはそれで致し方ないことだろう。俺の技量が足りなかった、鍛え方が足りなかった。ただそれだけだ」
「……そうでしたね」
武器が壊れるのを怖がっていては、試し斬りなど出来ない。
なんなら、そんな武器を第三者に売却する事など出来ない。
ザハークは……ソウスケと同じく、鍛冶は趣味ではあるものの、それを売るというのがどういう行為なのか解っているからこそ、本当に試す相手がAランクドラゴンだったとしても、壊れてしまえばそれは致し方ないと考えていた。
(Aランクドラゴンか…………そうだね。そろそろ、それを目当てにもっと奥まで探索しても良さそうだね……ん?)
新たな試しドラゴンを探しながら移動していると、遠く遠く離れた場所から、強い気配を複数感じた。
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