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千百四十三話 同じ、ではない?
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「………………チッ」
ソウスケは出来上がった短剣の出来栄えを見て、小さく舌打ちを零す。
ドラゴニックバレーに水龍の姿が確認された翌日、ノックスたちは上昇した身体能力の微調整を行っており、ソウスケたちはいずれ彼らに武器を送る為に、製作の勘を取り戻そうと鍛冶場に籠っていた。
「珍しいな、ソウスケさん」
大剣を造り終えたザハークは普段度変わらない表情を浮かべてはいるが、本当にソウスケの反応に驚いていた。
造り終えた武器を視て、悩ましい声を零す姿は何度も見たことがある。
しかし、舌打ちをする姿は始めて見た。
「視れば解るよ」
「そうか…………ふむ…………………………良くは、ないな」
二人は、上司と部下といった関係ではない。
人間とモンスターではあるが、ソウスケはザハークのことを仲間だと思っている。
ザハークにとっても同じ認識ではあるが……それでも一応、冒険者と従魔という関係。
ソウスケの従魔だからこそ、楽しい冒険や戦いを体験することが出来、美味い飯をたらふく食べられているのだと解っている。
そのため、非常に言葉を選ぼうとした結果、なんとか無難? な言葉を口にした。
「だろ」
「…………水龍というドラゴンの出現が原因か」
「まぁ、そうなのかもしれないね」
原因があるとすれば、それしかない。
ソウスケは特に隠すことはなく、恥ずかしそうにすることなく認めた。
「……あの赤龍と、同程度の実力を持つドラゴンだったな」
「らしいね」
「………………同じ龍でも、差はあるのだろう。だが、それでもと感じるが……そうではないのか?」
弱い、などとは思わない。
先日大手クラン、蒼天が赤龍と激闘を繰り広げる光景を見て、もし自分一人で戦ったらと想像したザハーク。
当然ながら、無傷で倒せるイメージが湧くことはなく、絶対に倒せるとも断言は出来ない。
ただ……これまで何度も強敵戦い、着実に強くなっているザハークだが、それでも本当の意味で本気を出したソウスケに勝てるとは思わない。
だからこそ、少し心配し過ぎなのでは、という思いがあった。
「どうだろうな……でもさ、ザハークも蒼剣の切れ味とかは、見たことあるだろ」
「うむ、そうだな…………凄まじいの一言だ」
戦闘だけではなく、鍛冶も嗜むザハークではあるが、これから先冒険や戦いの合間に鍛冶を三年五年……十年続けたとしても、水龍の蒼剣ほどの武器を造り上げられる自信はない。
「……しかしだ、ソウスケさん。その蒼剣は、確か……ソウスケさんが転移? したダンジョンの最下層のボスモンスターを倒し、得た宝箱の中に入っていたのだったな」
「? そうだね。確かにそうだったけど……それがどうかしたか?」
「俺の記憶が正しければ、亡くなったソウスケさんをこの世界に届けたのは、神という存在ではなかったか?」
仲間であるミレアナ、ザハークには自分の過去を多少なりとも話しているため、ザハークはソウスケが異世界に来た経緯を覚えていた。
「よく覚えてるな」
「記憶に残る話ではある……その蒼剣は、神がソウスケさんの為に用意した物ではないか」
「それは…………どうなんだろうな」
確かに、ソウスケはダンジョンの下層に転移した。
しかし……下に降りるという道を選ばず、地上に戻るという選択肢もあった。
「いや、でも……そうだな…………そうじゃないと、合わない、か」
ソウスケが最初に攻略したダンジョンは、普通に考えれば戦闘を覚えたての人間が攻略するレベルのダンジョンではない。
ボスモンスターであるワイバーンも通常のワイバーンより強いのは間違いなかったが……それでも、ランク九の得物を手に入れられるほど難易度が高いダンジョンではない。
複数のダンジョンを攻略してきたからこそ、普通はあり得ないと断言出来る。
「俺の考えではあるが、ソウスケさんが持つ水龍の蒼剣は、神の力が宿っているのではないかと……そう思えるんだ」
「か、神の力が、か……」
ザハークが何を伝えたいのか理解。
解らなくもない考えであり、ソウスケの中で抱えていた重さが、またほんの少し軽くなる。
ソウスケは出来上がった短剣の出来栄えを見て、小さく舌打ちを零す。
ドラゴニックバレーに水龍の姿が確認された翌日、ノックスたちは上昇した身体能力の微調整を行っており、ソウスケたちはいずれ彼らに武器を送る為に、製作の勘を取り戻そうと鍛冶場に籠っていた。
「珍しいな、ソウスケさん」
大剣を造り終えたザハークは普段度変わらない表情を浮かべてはいるが、本当にソウスケの反応に驚いていた。
造り終えた武器を視て、悩ましい声を零す姿は何度も見たことがある。
しかし、舌打ちをする姿は始めて見た。
「視れば解るよ」
「そうか…………ふむ…………………………良くは、ないな」
二人は、上司と部下といった関係ではない。
人間とモンスターではあるが、ソウスケはザハークのことを仲間だと思っている。
ザハークにとっても同じ認識ではあるが……それでも一応、冒険者と従魔という関係。
ソウスケの従魔だからこそ、楽しい冒険や戦いを体験することが出来、美味い飯をたらふく食べられているのだと解っている。
そのため、非常に言葉を選ぼうとした結果、なんとか無難? な言葉を口にした。
「だろ」
「…………水龍というドラゴンの出現が原因か」
「まぁ、そうなのかもしれないね」
原因があるとすれば、それしかない。
ソウスケは特に隠すことはなく、恥ずかしそうにすることなく認めた。
「……あの赤龍と、同程度の実力を持つドラゴンだったな」
「らしいね」
「………………同じ龍でも、差はあるのだろう。だが、それでもと感じるが……そうではないのか?」
弱い、などとは思わない。
先日大手クラン、蒼天が赤龍と激闘を繰り広げる光景を見て、もし自分一人で戦ったらと想像したザハーク。
当然ながら、無傷で倒せるイメージが湧くことはなく、絶対に倒せるとも断言は出来ない。
ただ……これまで何度も強敵戦い、着実に強くなっているザハークだが、それでも本当の意味で本気を出したソウスケに勝てるとは思わない。
だからこそ、少し心配し過ぎなのでは、という思いがあった。
「どうだろうな……でもさ、ザハークも蒼剣の切れ味とかは、見たことあるだろ」
「うむ、そうだな…………凄まじいの一言だ」
戦闘だけではなく、鍛冶も嗜むザハークではあるが、これから先冒険や戦いの合間に鍛冶を三年五年……十年続けたとしても、水龍の蒼剣ほどの武器を造り上げられる自信はない。
「……しかしだ、ソウスケさん。その蒼剣は、確か……ソウスケさんが転移? したダンジョンの最下層のボスモンスターを倒し、得た宝箱の中に入っていたのだったな」
「? そうだね。確かにそうだったけど……それがどうかしたか?」
「俺の記憶が正しければ、亡くなったソウスケさんをこの世界に届けたのは、神という存在ではなかったか?」
仲間であるミレアナ、ザハークには自分の過去を多少なりとも話しているため、ザハークはソウスケが異世界に来た経緯を覚えていた。
「よく覚えてるな」
「記憶に残る話ではある……その蒼剣は、神がソウスケさんの為に用意した物ではないか」
「それは…………どうなんだろうな」
確かに、ソウスケはダンジョンの下層に転移した。
しかし……下に降りるという道を選ばず、地上に戻るという選択肢もあった。
「いや、でも……そうだな…………そうじゃないと、合わない、か」
ソウスケが最初に攻略したダンジョンは、普通に考えれば戦闘を覚えたての人間が攻略するレベルのダンジョンではない。
ボスモンスターであるワイバーンも通常のワイバーンより強いのは間違いなかったが……それでも、ランク九の得物を手に入れられるほど難易度が高いダンジョンではない。
複数のダンジョンを攻略してきたからこそ、普通はあり得ないと断言出来る。
「俺の考えではあるが、ソウスケさんが持つ水龍の蒼剣は、神の力が宿っているのではないかと……そう思えるんだ」
「か、神の力が、か……」
ザハークが何を伝えたいのか理解。
解らなくもない考えであり、ソウスケの中で抱えていた重さが、またほんの少し軽くなる。
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