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千百五十話 酔わず、蛮勇を掲げず
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「っ…………ザハーク、ミレアナ」
ドラゴニックバレー内でノックスたちと共に過ごした翌日、昼過ぎ頃まで変わらず過ごしていたソウスケ。
だが、昼食を食べてから約一時間……普段と異なる空気が漂っていたドラゴニックバレーに、更に圧が加わる。
ついでに……並みではない破壊音も同時に聞こえた。
「えぇ、解りました」
「…………ソウスケさん、次は譲ってくれよ」
ザハークとしては、音の主が例のモンスターであれば、正直なところ自分が戦いたかった。
しかし、今回ばかりは自身の大きな欲よりも、主の思いを優先させた。
「あぁ。ありがとう、ザハーク……すまない、直ぐに戻って来る」
「ご、ご無事で」
ノックスたちに、一時的にとはいえ護衛を放棄して済まないと伝えるソウスケ。
対して、彼らはその件に関してはなんとも思っておらず、逆に激戦へと向かうであろうソウスケの無事を祈る。
そんなジャバたちの想いに笑みを零しながら、ソウスケは例のモンスターがいるであろう場所へと駆け出す。
(場所は少し遠いか……あの音、ただ動いただけじゃない筈)
誰かと戦っている、もしくは襲っている可能性が高い。
前者であれば……その者たちの意志次第では、退かなければならない。
自分の方が倒せる可能性が高いから、という理由で間に入り、奪ってはならない。
それこそ、責任感や正義感などではなく、ただの我儘……強奪に等しい。
だが……後者であれば、ソウスケが変われる可能性が高い。
勿論、戦いと言えない戦況であったとしても、断る者はいるかもしれない。
(……今、対応してる人たちが、そこまで頑固じゃないことを祈るしかない、な……あれは…………急げっ!!!!)
標的を発見。
その先では、なんとか思い出せる顔の人物たちが、例のモンスター……水龍に襲われていた。
「ど、っせいッ!!!!!!!!!!!!!!!」
攻撃魔法を放つのではなく、グラディウスで斬撃波を……刺突を放つのではなく、ソウスケが取った行動は名槍、レヴァルグによる投擲。
「っ!!!!!!!」
だが、振り抜かれそうになる尾をなんとか捻り、水龍は大地を貫く投擲を回避した。
「ふぅ~~~~、間一髪、かな」
「き、君は」
「蒼天の、方々ですよね」
水龍に襲われていた探索者たちは、以前殺されたメンバーの仇内に燃え……結果的にソウスケたちがほんの少しだけ手助けしたとはいえ、赤龍を討伐することに成功した。
「貴様、我の邪魔をするか」
「まぁ、そういう事になるかな。しかし、邪魔って……それは、食事か? それとも、狩りか?」
「ふん!!!! そ奴らが、我が殺そうとしていた存在を殺した。だから、その人間たちを殺す」
「この人たちがあんたの標的を…………それって、赤龍か」
蒼天のメンバーと水龍の間に因縁があるとは聞いたことがない。
だが、彼らが直近で倒した大物と言えば、赤龍しかいしない。
水龍に比肩する存在も、赤龍しかいなかった。
「ほう、知っていてか……ぬぅ……もしや、貴様も関わっていたか」
「さぁ……どうだろう、ねッ!!!!!!」
ソウスケの答えを聞く前に十数の水激槍が放たれるも、既に手元に戻していたレヴァルグによってすべて弾き飛ばす。
「……多少はやるようだな」
「蒼天の皆さん、ここは俺の任せてくれませんか」
「し、しかし、君だけには!!!」
「大丈夫です。Aランクとのドラゴンとは戦闘経験があるので」
「っっっっっ……済まない!!!!!」
虚勢でも、嘘ではないことも解る。
圧倒的な存在をまだ歳若い者に任せてしまう……自分たちがいても無駄だと解っていても、悔しさで涙が零れる。
それでも、彼らは勇気と蛮勇、覚悟と酔いを間違えることはなく、その場をソウスケに任せて走り出した。
「待て、誰が逃げることを許しっ!!!!」
「おい……狩りは終わりだ」
登場して初めて放つ本気の戦意と殺意。
水龍から見れば小さな小さな体……その体から放たれる圧は、逃げる得物たちから強制的に意識を引き寄せられる程強烈だった。
ドラゴニックバレー内でノックスたちと共に過ごした翌日、昼過ぎ頃まで変わらず過ごしていたソウスケ。
だが、昼食を食べてから約一時間……普段と異なる空気が漂っていたドラゴニックバレーに、更に圧が加わる。
ついでに……並みではない破壊音も同時に聞こえた。
「えぇ、解りました」
「…………ソウスケさん、次は譲ってくれよ」
ザハークとしては、音の主が例のモンスターであれば、正直なところ自分が戦いたかった。
しかし、今回ばかりは自身の大きな欲よりも、主の思いを優先させた。
「あぁ。ありがとう、ザハーク……すまない、直ぐに戻って来る」
「ご、ご無事で」
ノックスたちに、一時的にとはいえ護衛を放棄して済まないと伝えるソウスケ。
対して、彼らはその件に関してはなんとも思っておらず、逆に激戦へと向かうであろうソウスケの無事を祈る。
そんなジャバたちの想いに笑みを零しながら、ソウスケは例のモンスターがいるであろう場所へと駆け出す。
(場所は少し遠いか……あの音、ただ動いただけじゃない筈)
誰かと戦っている、もしくは襲っている可能性が高い。
前者であれば……その者たちの意志次第では、退かなければならない。
自分の方が倒せる可能性が高いから、という理由で間に入り、奪ってはならない。
それこそ、責任感や正義感などではなく、ただの我儘……強奪に等しい。
だが……後者であれば、ソウスケが変われる可能性が高い。
勿論、戦いと言えない戦況であったとしても、断る者はいるかもしれない。
(……今、対応してる人たちが、そこまで頑固じゃないことを祈るしかない、な……あれは…………急げっ!!!!)
標的を発見。
その先では、なんとか思い出せる顔の人物たちが、例のモンスター……水龍に襲われていた。
「ど、っせいッ!!!!!!!!!!!!!!!」
攻撃魔法を放つのではなく、グラディウスで斬撃波を……刺突を放つのではなく、ソウスケが取った行動は名槍、レヴァルグによる投擲。
「っ!!!!!!!」
だが、振り抜かれそうになる尾をなんとか捻り、水龍は大地を貫く投擲を回避した。
「ふぅ~~~~、間一髪、かな」
「き、君は」
「蒼天の、方々ですよね」
水龍に襲われていた探索者たちは、以前殺されたメンバーの仇内に燃え……結果的にソウスケたちがほんの少しだけ手助けしたとはいえ、赤龍を討伐することに成功した。
「貴様、我の邪魔をするか」
「まぁ、そういう事になるかな。しかし、邪魔って……それは、食事か? それとも、狩りか?」
「ふん!!!! そ奴らが、我が殺そうとしていた存在を殺した。だから、その人間たちを殺す」
「この人たちがあんたの標的を…………それって、赤龍か」
蒼天のメンバーと水龍の間に因縁があるとは聞いたことがない。
だが、彼らが直近で倒した大物と言えば、赤龍しかいしない。
水龍に比肩する存在も、赤龍しかいなかった。
「ほう、知っていてか……ぬぅ……もしや、貴様も関わっていたか」
「さぁ……どうだろう、ねッ!!!!!!」
ソウスケの答えを聞く前に十数の水激槍が放たれるも、既に手元に戻していたレヴァルグによってすべて弾き飛ばす。
「……多少はやるようだな」
「蒼天の皆さん、ここは俺の任せてくれませんか」
「し、しかし、君だけには!!!」
「大丈夫です。Aランクとのドラゴンとは戦闘経験があるので」
「っっっっっ……済まない!!!!!」
虚勢でも、嘘ではないことも解る。
圧倒的な存在をまだ歳若い者に任せてしまう……自分たちがいても無駄だと解っていても、悔しさで涙が零れる。
それでも、彼らは勇気と蛮勇、覚悟と酔いを間違えることはなく、その場をソウスケに任せて走り出した。
「待て、誰が逃げることを許しっ!!!!」
「おい……狩りは終わりだ」
登場して初めて放つ本気の戦意と殺意。
水龍から見れば小さな小さな体……その体から放たれる圧は、逃げる得物たちから強制的に意識を引き寄せられる程強烈だった。
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