26 / 1,361
二十六話 少し申し訳なさを感じる
しおりを挟む
「二人が期待してくれてるのは嬉しいですけど、俺は騎士の道に進むつもりはありませんよ」
「分かっています。アリサ様と同じ冒険者の道に進むのですよね」
「えぇ、その通りです。俺がそういう道に進んでも……意外と上手くいかないと思いますよ」
あまり詳しいことは知らないが、貴族の世界はかなり黒いということだけは知っている。
なので、自分がそこに近い世界で生きていくのは性に合わないと断言出来る。
「グラストさん、俺は結構負けず嫌いです。それと……家族をバカにされたりしたら、そいつを許しません」
「……つまり、集団に属せば頻繁に衝突するということですか?」
「その通りです。それに俺のエクストラスキル、糸は……騎士の道に相応しい技がない。なんだかんだしょうもない理由を付けてくるバカが出てくるのは当然かと」
確かにアラッドが持つ糸は搦手が多い。
騎士道精神に相応しい力とかといえば、そうでないという考える者が多いだろう。
「それに……俺はあんまり縛られるのが好きじゃないんですよ。だから、騎士に向いてないんですよ。ドラングは父さんに憧れてるみたいなので、いずれ父さんを超えるのはドラングかもしれませんよ」
五歳の誕生日に同じく剣技のスキルを習得し、火魔法のスキルも習得した。
その事実にドラングは運命を感じていた。
アラッドに勝つという目標は消えていないが、いずれはフールの様な騎士になるという明確な目標を持っている。
「……それでは、絶対に騎士の道に進まないのですね」
「そうだな。俺が冒険者になって、騎士団の方から依頼を出されたら受たりすると思いますよ」
「なるほど、その可能性は十分にありそうですね」
「まっ、そうなるには俺が冒険者として有名にならないとだめですけどね」
「アラッド様なら直ぐに高名な冒険者になりますよ」
それについては確信していた。
グラストなら冒険者になって数年もすれば有名な冒険者として名を馳せるだろうと。
(どの道に進んでも、アラッド様は大成するでしょう。その武勇伝を聞くのが今から楽しみですね)
アラッドがこのまま成長し続ければ、ドラゴンを倒す可能性は十分にあり……いつしかドラゴンスレイヤーと呼ばれる日も遠くない。
「グラストさん、どうせなら打ち合ってくれませんか」
「えぇ、勿論構いませんよ」
相手は完全に格上の相手。
アラッドは一切気を抜くことなく身体強化を使い、体や武器に魔力を纏って挑む。
(強い……これが五歳児の実力とはやはり信じられませんね。糸を使わずにこれほど戦えるとは……本当に将来が楽しみな方だ)
アラッドのスタミナが続く限り二人の模擬戦は続き、数十分後にグラストと別れて大の字で倒れていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ~~~…………さすがグラストさんだな。全く攻撃が通らなかった」
躱され、受け止められ……アラッドの攻撃は全く体内に響くことはなかった。
模擬戦にて糸を使わなかったが、それには多少の理由があった。
それはアラッドの中で糸に対してそれなりに信頼を置いてるから。
(糸を使って勝てなかったら……まだまだ食らいついてそうだな)
何がなんでも勝ちたい。そう思ってしまいそうなので糸は使わずにそれ以外の力で戦った。
「小さな隙ぐらいはつくれそうだけど、そこを突いても絶対に対処されるよな……にしても、父さんやグラストまで俺が騎士になるのを期待してたのか……申し訳ないけど、そっちの道に進む気は本当にないんだよな」
騎士という言葉にカッコ良さは確かに感じる。
そしてアラッドは侯爵家の三男であり、そうそう絡んでくる相手などいない。
だが、面倒な奴が絡んでくる可能性がゼロとはいえない。
そういった相手を冷静に対処出来るか……本人は絶対に出来ないと思っている。
(母さんをバカにされることが多いだろうけど、父さんをバカにされてもキレてその場で半殺しにしそうだし……俺にそういう世界は絶対に合わないんだよな)
しかし自分のそういった道に期待してるフールに対し、多少の申し訳なさを感じた。
「分かっています。アリサ様と同じ冒険者の道に進むのですよね」
「えぇ、その通りです。俺がそういう道に進んでも……意外と上手くいかないと思いますよ」
あまり詳しいことは知らないが、貴族の世界はかなり黒いということだけは知っている。
なので、自分がそこに近い世界で生きていくのは性に合わないと断言出来る。
「グラストさん、俺は結構負けず嫌いです。それと……家族をバカにされたりしたら、そいつを許しません」
「……つまり、集団に属せば頻繁に衝突するということですか?」
「その通りです。それに俺のエクストラスキル、糸は……騎士の道に相応しい技がない。なんだかんだしょうもない理由を付けてくるバカが出てくるのは当然かと」
確かにアラッドが持つ糸は搦手が多い。
騎士道精神に相応しい力とかといえば、そうでないという考える者が多いだろう。
「それに……俺はあんまり縛られるのが好きじゃないんですよ。だから、騎士に向いてないんですよ。ドラングは父さんに憧れてるみたいなので、いずれ父さんを超えるのはドラングかもしれませんよ」
五歳の誕生日に同じく剣技のスキルを習得し、火魔法のスキルも習得した。
その事実にドラングは運命を感じていた。
アラッドに勝つという目標は消えていないが、いずれはフールの様な騎士になるという明確な目標を持っている。
「……それでは、絶対に騎士の道に進まないのですね」
「そうだな。俺が冒険者になって、騎士団の方から依頼を出されたら受たりすると思いますよ」
「なるほど、その可能性は十分にありそうですね」
「まっ、そうなるには俺が冒険者として有名にならないとだめですけどね」
「アラッド様なら直ぐに高名な冒険者になりますよ」
それについては確信していた。
グラストなら冒険者になって数年もすれば有名な冒険者として名を馳せるだろうと。
(どの道に進んでも、アラッド様は大成するでしょう。その武勇伝を聞くのが今から楽しみですね)
アラッドがこのまま成長し続ければ、ドラゴンを倒す可能性は十分にあり……いつしかドラゴンスレイヤーと呼ばれる日も遠くない。
「グラストさん、どうせなら打ち合ってくれませんか」
「えぇ、勿論構いませんよ」
相手は完全に格上の相手。
アラッドは一切気を抜くことなく身体強化を使い、体や武器に魔力を纏って挑む。
(強い……これが五歳児の実力とはやはり信じられませんね。糸を使わずにこれほど戦えるとは……本当に将来が楽しみな方だ)
アラッドのスタミナが続く限り二人の模擬戦は続き、数十分後にグラストと別れて大の字で倒れていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ~~~…………さすがグラストさんだな。全く攻撃が通らなかった」
躱され、受け止められ……アラッドの攻撃は全く体内に響くことはなかった。
模擬戦にて糸を使わなかったが、それには多少の理由があった。
それはアラッドの中で糸に対してそれなりに信頼を置いてるから。
(糸を使って勝てなかったら……まだまだ食らいついてそうだな)
何がなんでも勝ちたい。そう思ってしまいそうなので糸は使わずにそれ以外の力で戦った。
「小さな隙ぐらいはつくれそうだけど、そこを突いても絶対に対処されるよな……にしても、父さんやグラストまで俺が騎士になるのを期待してたのか……申し訳ないけど、そっちの道に進む気は本当にないんだよな」
騎士という言葉にカッコ良さは確かに感じる。
そしてアラッドは侯爵家の三男であり、そうそう絡んでくる相手などいない。
だが、面倒な奴が絡んでくる可能性がゼロとはいえない。
そういった相手を冷静に対処出来るか……本人は絶対に出来ないと思っている。
(母さんをバカにされることが多いだろうけど、父さんをバカにされてもキレてその場で半殺しにしそうだし……俺にそういう世界は絶対に合わないんだよな)
しかし自分のそういった道に期待してるフールに対し、多少の申し訳なさを感じた。
487
あなたにおすすめの小説
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約
Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。
腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。
地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。
彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。
「死んで、私の影になれ」
彼女は知っていた。
この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。
そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。
これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
世界最弱と呼ばれた少年、気づけば伝説級勇者でした ~追放されたので気ままに旅してたら、全種族の姫たちに囲まれていました~
fuwamofu
ファンタジー
魔力量ゼロの落ちこぼれとして勇者パーティを追放された少年リアン。
絶望の果てに始めた自由な旅の中で、偶然助けた少女たちが次々と彼に惹かれていく。
だが誰も知らない。彼こそが古代勇者の血を継ぎ、世界を滅ぼす運命の「真なる勇者」だということを──。
無自覚最強の少年が、世界を変える奇跡を紡ぐ異世界ファンタジー!
婚約破棄をしておけば
あんど もあ
ファンタジー
王太子アントワーヌの婚約者のレアリゼは、アントワーヌに嫌われていた。男を立てぬ女らしくないレアリゼが悪い、と皆に思われて孤立無援なレアリゼ。彼女は報われぬままひたすら国のために働いた……と思われていたが実は……。
「俺が勇者一行に?嫌です」
東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。
物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。
は?無理
私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私は実は“本物の聖女”でした。
さら
恋愛
私――ミリアは、クラスで地味で取り柄もない“都合のいい子”だった。
そんな私が、いじめの張本人だった美少女・沙羅と一緒に異世界へ召喚された。
王城で“聖女”として迎えられたのは彼女だけ。
私は「魔力が測定不能の無能」と言われ、冷たく追い出された。
――でも、それは間違いだった。
辺境の村で出会った青年リオネルに助けられ、私は初めて自分の力を信じようと決意する。
やがて傷ついた人々を癒やすうちに、私の“無”と呼ばれた力が、誰にも真似できない“神の光”だと判明して――。
王都での再召喚、偽りの聖女との再会、かつての嘲笑が驚嘆に変わる瞬間。
無能と呼ばれた少女が、“本物の聖女”として世界を救う――優しさと再生のざまぁストーリー。
裏切りから始まる癒しの恋。
厳しくも温かい騎士リオネルとの出会いが、ミリアの運命を優しく変えていく。
「次点の聖女」
手嶋ゆき
恋愛
何でもかんでも中途半端。万年二番手。どんなに努力しても一位には決してなれない存在。
私は「次点の聖女」と呼ばれていた。
約一万文字強で完結します。
小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる