382 / 1,389
三百八十二話 あれは何時だったか
しおりを挟む
「あれは……懐かしいな。暴走状態、か」
三人の冒険者と戦うオーガの目は赤く、体の脈が浮き出ている。
(確か、あの時襲い掛かってきたモンスターはレッドビートルだったか。同じCランクのモンスターではあるが……暴れっぷりなら、こっちの方が派手だな)
通常状態であっても、オーガやその上位種は上位品な戦い方などせず、派手に暴れることを好む。
(ん? 普通のオーガじゃなく、オーガファイターだったか。それなら、腕力だけは確実にBランクの域に達しているな)
ナイト、ウォーリアー、ファイターなどの上位種は、通常種と同じランク帯ではある。
それでも身体能力や技術力に差はあるため、そこに暴走という異常状態が加われば、五体を使った戦闘を得意とするファイターの腕力は確実にCランクの域を突破。
(さてはて、ここは助けに入るべきか否か……まっ、さすがに無理だろうな)
自分より先輩なのは間違いない。
しかし、同じルーキーであることが動きや装備の質から解る。
(少なくとも、ベテランの域には達していない)
連携、ここの実力も悪くないが故に、オーガファイターに多少のダメージは与えていた。
だが……今回ばかりは、その攻撃はオーガファイターの怒りのボルテージを更に上げる材料にしかならない。
「クロ、あの三人の護衛を頼む」
「ワフ!」
前回、黒いケルピーとの戦闘を楽しんだクロはあっさりと頷き、アラッドの指示に従った。
「きゃっ!!??」
地面を抉る蹴りから繰り出された礫に、高家の魔法使いが尻もちをつく。
「ガァァアアアアアアアッ!!!!」
後ろからの攻撃を鬱陶しく思っていたオーガファイターは、前衛と中衛の男女を無視し、全力で魔法使いを殺しに掛かった。
「おらっ!!!!!」
目の前の三人を潰すことだけに集中していたこともあり、隠れていた一人と一体の気配に気付かず、重さは乗った良い一撃を食らい、逆に尻もちをついた。
(割と良い一撃を叩きこんだつもりだが、心臓までは届かなかったか)
腕力だけではなく、耐久力も以前戦った刺青大量オークシャーマンに匹敵する。
それを瞬時に把握したアラッドは鋼鉄の剛剣・改を抜き、風の魔力を纏った。
「ふんっ!!!」
「ガッ!!!!??? グゥォオオオァッ!?」
風の斬撃を一太刀放ち、腕の切断には失敗するものの、少なくない量の血が流れだす。
とはいえ、アドレナリンドバドバ状態で、色々とキマっているオーガファイターはその一太刀で止まり、恐れることはない。
渾身の剛拳をアラッドに叩きこもうと動くが、そんな考え無しの行動は……アラッドからすれば、格好の的。
足元に糸を設置すれば、呆気なく転んでしまう。
「来世は、もう少し足元に気を付けて生きろよ」
「ギッ、ガ、ァ……」
細かい部分に注意がいかない状態とはいえ、馬力は半端ない。
中途半端な糸では転ばせる前に引き千切られるため、太さと本数を増やしていた。
そのため、先程までオーガファイターと戦ってい冒険者たちには、薄っすらとだがその糸が見えていた。
「ッ!! ワゥ!!!!!」
暴走状態のオーガファイターに止めを刺し、絶命させた直後、クロが突然吠えた。
「どうした、クロ」
主人に突然吠えた理由を尋ねられ、身振り手振りで答えるクロ。
「……何となく分かった。もしかしたら、今回の一件に関係している輩かもな」
何はともあれ、まずは現状の問題を片付けなければならない。
「さて、いきなり戦いに割って入って悪かった。ただ、お前たちだけでは分が悪いと思ってな」
「………………いや、助かった」
感謝の言葉が出てくるまで短くない間があったが、リーダーである男はアラッドに向かって軽く頭を下げた。
「そうね、私たちだけじゃちょっと厳しかったわね」
「悔しけど、その通りね」
冒険者にとって、負けず嫌いという重要な要素を持っているものの、先程までの戦況を冷静に振り返られない程、三人とも愚かではなかった。
三人の冒険者と戦うオーガの目は赤く、体の脈が浮き出ている。
(確か、あの時襲い掛かってきたモンスターはレッドビートルだったか。同じCランクのモンスターではあるが……暴れっぷりなら、こっちの方が派手だな)
通常状態であっても、オーガやその上位種は上位品な戦い方などせず、派手に暴れることを好む。
(ん? 普通のオーガじゃなく、オーガファイターだったか。それなら、腕力だけは確実にBランクの域に達しているな)
ナイト、ウォーリアー、ファイターなどの上位種は、通常種と同じランク帯ではある。
それでも身体能力や技術力に差はあるため、そこに暴走という異常状態が加われば、五体を使った戦闘を得意とするファイターの腕力は確実にCランクの域を突破。
(さてはて、ここは助けに入るべきか否か……まっ、さすがに無理だろうな)
自分より先輩なのは間違いない。
しかし、同じルーキーであることが動きや装備の質から解る。
(少なくとも、ベテランの域には達していない)
連携、ここの実力も悪くないが故に、オーガファイターに多少のダメージは与えていた。
だが……今回ばかりは、その攻撃はオーガファイターの怒りのボルテージを更に上げる材料にしかならない。
「クロ、あの三人の護衛を頼む」
「ワフ!」
前回、黒いケルピーとの戦闘を楽しんだクロはあっさりと頷き、アラッドの指示に従った。
「きゃっ!!??」
地面を抉る蹴りから繰り出された礫に、高家の魔法使いが尻もちをつく。
「ガァァアアアアアアアッ!!!!」
後ろからの攻撃を鬱陶しく思っていたオーガファイターは、前衛と中衛の男女を無視し、全力で魔法使いを殺しに掛かった。
「おらっ!!!!!」
目の前の三人を潰すことだけに集中していたこともあり、隠れていた一人と一体の気配に気付かず、重さは乗った良い一撃を食らい、逆に尻もちをついた。
(割と良い一撃を叩きこんだつもりだが、心臓までは届かなかったか)
腕力だけではなく、耐久力も以前戦った刺青大量オークシャーマンに匹敵する。
それを瞬時に把握したアラッドは鋼鉄の剛剣・改を抜き、風の魔力を纏った。
「ふんっ!!!」
「ガッ!!!!??? グゥォオオオァッ!?」
風の斬撃を一太刀放ち、腕の切断には失敗するものの、少なくない量の血が流れだす。
とはいえ、アドレナリンドバドバ状態で、色々とキマっているオーガファイターはその一太刀で止まり、恐れることはない。
渾身の剛拳をアラッドに叩きこもうと動くが、そんな考え無しの行動は……アラッドからすれば、格好の的。
足元に糸を設置すれば、呆気なく転んでしまう。
「来世は、もう少し足元に気を付けて生きろよ」
「ギッ、ガ、ァ……」
細かい部分に注意がいかない状態とはいえ、馬力は半端ない。
中途半端な糸では転ばせる前に引き千切られるため、太さと本数を増やしていた。
そのため、先程までオーガファイターと戦ってい冒険者たちには、薄っすらとだがその糸が見えていた。
「ッ!! ワゥ!!!!!」
暴走状態のオーガファイターに止めを刺し、絶命させた直後、クロが突然吠えた。
「どうした、クロ」
主人に突然吠えた理由を尋ねられ、身振り手振りで答えるクロ。
「……何となく分かった。もしかしたら、今回の一件に関係している輩かもな」
何はともあれ、まずは現状の問題を片付けなければならない。
「さて、いきなり戦いに割って入って悪かった。ただ、お前たちだけでは分が悪いと思ってな」
「………………いや、助かった」
感謝の言葉が出てくるまで短くない間があったが、リーダーである男はアラッドに向かって軽く頭を下げた。
「そうね、私たちだけじゃちょっと厳しかったわね」
「悔しけど、その通りね」
冒険者にとって、負けず嫌いという重要な要素を持っているものの、先程までの戦況を冷静に振り返られない程、三人とも愚かではなかった。
356
あなたにおすすめの小説
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
スラム街の幼女、魔導書を拾う。
海夏世もみじ
ファンタジー
スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。
それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。
これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。
私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達より強いジョブを手に入れて無双する!
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。
ネット小説やファンタジー小説が好きな少年、洲河 慱(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りに雑談をしていると突然魔法陣が現れて光に包まれて…
幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は【勇者】【賢者】【剣聖】【聖女】という素晴らしいジョブを手に入れたけど、僕はそれ以上のジョブと多彩なスキルを手に入れた。
王宮からは、過去の勇者パーティと同じジョブを持つ幼馴染達が世界を救うのが掟と言われた。
なら僕は、夢にまで見たこの異世界で好きに生きる事を選び、幼馴染達とは別に行動する事に決めた。
自分のジョブとスキルを駆使して無双する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?」で、慱が本来の力を手に入れた場合のもう1つのパラレルストーリー。
11月14日にHOT男性向け1位になりました。
応援、ありがとうございます!
転移したらダンジョンの下層だった
Gai
ファンタジー
交通事故で死んでしまった坂崎総助は本来なら自分が生きていた世界とは別世界の一般家庭に転生できるはずだったが神側の都合により異世界にあるダンジョンの下層に飛ばされることになった。
もちろん総助を転生させる転生神は出来る限りの援助をした。
そして総助は援助を受け取るとダンジョンの下層に転移してそこからとりあえずダンジョンを冒険して地上を目指すといった物語です。
【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。
まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」
そう、第二王子に言われました。
そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…!
でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!?
☆★☆★
全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。
読んでいただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる