731 / 1,389
七百三十話 少なくとも……
しおりを挟む
「ふっふっふ……どうでしょうか、アラッド様」
「……とても有難い。俺一人では、とても……」
アラッドは執事たちに似合う礼服を用意された、だけではなく髪型までビシッとセットされていた。
(とはいえ、俺の場合は相変わらず強面というか……いや、執事さんたちがあれこれ悩んで礼服を選び、セットしてくれたからこそ、多少は和らいでいるのか)
お世辞ではなく、アラッドは鏡に映る自身の姿に、非常に満足していた。
「兄さん……」
「どうした、アッシュ。そんな顔して」
「……この人たちが選んでくれたのは嬉しいけど、僕には……」
似合ってない、とは言えなかった。
それは彼等の努力を無駄にする言葉であると、アッシュも解っていた。
「気にするな、アッシュ。俺もこういった服が俺に本当に似合ってるのか、という疑問は持つ。ただ……プロが選んでくれたこともあって、鏡を見ればやはり悪くはないと思う」
本当にピッタリの服を選び、髪も最高のスタイルにセットしてくれた。
だからこそ……本当に自分がここまで豪華な服を着て、洒落た髪型にして似合っているのかと思っしまう。
「アラッドの言う通りだと思うよ」
「スティームさん……」
「ちなみに、僕は二人の服装、髪型はとても似合ってると思うよ」
「俺は、自分は置いといて二人はとても似合ってる……普段より、カッコ良さ三割増しにはなってるな」
「僕も自分はともかく……アラッド兄さんやスティームさんの格好は、とても似合ってると思う」
「はは!! ありがとよ、アッシュ。でも、これで最低でも二人……いや、ここに居るプロの人たちは、俺たちの格好を最高だと思ってくれてるんだ」
周囲を見渡すと、礼服選びに髪型をセットしていた執事たちを見渡すと、皆良い笑顔で頷いた。
「…………分かりました。とりあえず、もう少し胸を張ろうと思います」
「そうだ。今日ぐらいは胸を張れ。お前は今日の主役なんだ。強敵に勝った……その自覚はあるだろ」
「主役と言えば、アラッド兄さんもその通りだと思いますけど」
「はっはっは、そうだったな……まっ、細かい事は良い。美味い飯が、俺らを持ってる」
祝勝会となれば、豪華な料理が待っている。
国王から直接聞いたわけではないが、それはアラッドの中で決定事項だった。
「そちらも終わったのですね」
「おぅ、そっちも丁度終わったみたいだな」
通路でばったりと出会ったアラッドたちとフローレンスたち。
「おっ!!! 良い感じじゃん、アラッド!!!」
「そうか? いや、まぁ俺も鏡を見た時、悪くないとは思ったが、普段からこういう服を決めたり、髪をセットしたりすることはないからな」
「確かにそうだね。でも、普段の服装じゃなくて、こんな感じでビシッとした礼服を着たら……これはこれで魅力的な感じだよ」
「そうか? そう言ってくれると肩の力が少しは抜ける。っと、ガルーレも似合ってると思うぜ」
アラッドたちと同じく髪がセット……結まれており、赤を基調としたドレスを着ていた。
「っ……へ~~~? ふふ、ありがとね」
パーティーメンバーの服装を褒めることに、特に意図はなかった。
だからこそ、本当に自分の服装を褒められるのは予想外だった。
「アッシュとスティームも似合ってるじゃん! 祝勝会にどんな人たちが来るかは知らないけど、令嬢たちがいれば、モテモテ間違いなしよ!!!」
モテモテ間違いなし。
基本的に喜ばない男はいないが……それに当て嵌まらない例外が、この場に三人いる。
「は、ははは。そうかな」
「……ガルーレさん。褒めてくれるのは嬉しいですけど、正直遠慮したいです」
「あっはっは!!! 良いじゃん良いじゃん、相変わらずだね~」
相変わらずな態度、スタンスのアッシュが面白く、つい笑いが零れてしまう。
「ガルーレさんの言う通り、本当に似合ってますよ、アラッド」
「そりゃどうも」
「あら、疑ってるのですか?」
「つっても、俺より良い男なんて、いくらでも見てきただろ」
自分で口にした良い男たちに対し、嫉妬の感情などは欠片もない。
ただ、アラッドは思った事をそのまま口にしただけ。
「……どうやら、やはりアラッドは自分の価値をまだ理解出来ていないようですね」
「自分の価値、ねぇ…………基本的に強くなる為、面白いと興味を持ったことだけに集中して生きるって人生を送って来たんだ。己の価値云々なんてあまり考えたことないな」
「あなたらしいですね。そうですね……例えるなら、未知の宝石、でしょうか」
未知の宝石、それが誰を指してるのか、アラッドはじっくり十秒ほど考え……自分を指してるのだと、ようやく理解した。
「まて、それは俺の事を言ってるのか?」
「あなた以外に、誰がいるのですか」
「スティームやアッシュがいるだろ」
理解はしても、基本的に自身の評価はどうでも良く、身内を持ち上げるアラッド。
それもまたアラッドらしいと思いつつも、フローレンスは首を横に振った。
「それは否定しません。しかし、三人の中で一番未知なのは誰かと問われれば、間違いなくアラッドですよ」
アラッドが二人の方に顔を向けると、当然と言った表情を浮かべながら頷かれてしまった。
「……とても有難い。俺一人では、とても……」
アラッドは執事たちに似合う礼服を用意された、だけではなく髪型までビシッとセットされていた。
(とはいえ、俺の場合は相変わらず強面というか……いや、執事さんたちがあれこれ悩んで礼服を選び、セットしてくれたからこそ、多少は和らいでいるのか)
お世辞ではなく、アラッドは鏡に映る自身の姿に、非常に満足していた。
「兄さん……」
「どうした、アッシュ。そんな顔して」
「……この人たちが選んでくれたのは嬉しいけど、僕には……」
似合ってない、とは言えなかった。
それは彼等の努力を無駄にする言葉であると、アッシュも解っていた。
「気にするな、アッシュ。俺もこういった服が俺に本当に似合ってるのか、という疑問は持つ。ただ……プロが選んでくれたこともあって、鏡を見ればやはり悪くはないと思う」
本当にピッタリの服を選び、髪も最高のスタイルにセットしてくれた。
だからこそ……本当に自分がここまで豪華な服を着て、洒落た髪型にして似合っているのかと思っしまう。
「アラッドの言う通りだと思うよ」
「スティームさん……」
「ちなみに、僕は二人の服装、髪型はとても似合ってると思うよ」
「俺は、自分は置いといて二人はとても似合ってる……普段より、カッコ良さ三割増しにはなってるな」
「僕も自分はともかく……アラッド兄さんやスティームさんの格好は、とても似合ってると思う」
「はは!! ありがとよ、アッシュ。でも、これで最低でも二人……いや、ここに居るプロの人たちは、俺たちの格好を最高だと思ってくれてるんだ」
周囲を見渡すと、礼服選びに髪型をセットしていた執事たちを見渡すと、皆良い笑顔で頷いた。
「…………分かりました。とりあえず、もう少し胸を張ろうと思います」
「そうだ。今日ぐらいは胸を張れ。お前は今日の主役なんだ。強敵に勝った……その自覚はあるだろ」
「主役と言えば、アラッド兄さんもその通りだと思いますけど」
「はっはっは、そうだったな……まっ、細かい事は良い。美味い飯が、俺らを持ってる」
祝勝会となれば、豪華な料理が待っている。
国王から直接聞いたわけではないが、それはアラッドの中で決定事項だった。
「そちらも終わったのですね」
「おぅ、そっちも丁度終わったみたいだな」
通路でばったりと出会ったアラッドたちとフローレンスたち。
「おっ!!! 良い感じじゃん、アラッド!!!」
「そうか? いや、まぁ俺も鏡を見た時、悪くないとは思ったが、普段からこういう服を決めたり、髪をセットしたりすることはないからな」
「確かにそうだね。でも、普段の服装じゃなくて、こんな感じでビシッとした礼服を着たら……これはこれで魅力的な感じだよ」
「そうか? そう言ってくれると肩の力が少しは抜ける。っと、ガルーレも似合ってると思うぜ」
アラッドたちと同じく髪がセット……結まれており、赤を基調としたドレスを着ていた。
「っ……へ~~~? ふふ、ありがとね」
パーティーメンバーの服装を褒めることに、特に意図はなかった。
だからこそ、本当に自分の服装を褒められるのは予想外だった。
「アッシュとスティームも似合ってるじゃん! 祝勝会にどんな人たちが来るかは知らないけど、令嬢たちがいれば、モテモテ間違いなしよ!!!」
モテモテ間違いなし。
基本的に喜ばない男はいないが……それに当て嵌まらない例外が、この場に三人いる。
「は、ははは。そうかな」
「……ガルーレさん。褒めてくれるのは嬉しいですけど、正直遠慮したいです」
「あっはっは!!! 良いじゃん良いじゃん、相変わらずだね~」
相変わらずな態度、スタンスのアッシュが面白く、つい笑いが零れてしまう。
「ガルーレさんの言う通り、本当に似合ってますよ、アラッド」
「そりゃどうも」
「あら、疑ってるのですか?」
「つっても、俺より良い男なんて、いくらでも見てきただろ」
自分で口にした良い男たちに対し、嫉妬の感情などは欠片もない。
ただ、アラッドは思った事をそのまま口にしただけ。
「……どうやら、やはりアラッドは自分の価値をまだ理解出来ていないようですね」
「自分の価値、ねぇ…………基本的に強くなる為、面白いと興味を持ったことだけに集中して生きるって人生を送って来たんだ。己の価値云々なんてあまり考えたことないな」
「あなたらしいですね。そうですね……例えるなら、未知の宝石、でしょうか」
未知の宝石、それが誰を指してるのか、アラッドはじっくり十秒ほど考え……自分を指してるのだと、ようやく理解した。
「まて、それは俺の事を言ってるのか?」
「あなた以外に、誰がいるのですか」
「スティームやアッシュがいるだろ」
理解はしても、基本的に自身の評価はどうでも良く、身内を持ち上げるアラッド。
それもまたアラッドらしいと思いつつも、フローレンスは首を横に振った。
「それは否定しません。しかし、三人の中で一番未知なのは誰かと問われれば、間違いなくアラッドですよ」
アラッドが二人の方に顔を向けると、当然と言った表情を浮かべながら頷かれてしまった。
212
あなたにおすすめの小説
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
スラム街の幼女、魔導書を拾う。
海夏世もみじ
ファンタジー
スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。
それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。
これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。
私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達より強いジョブを手に入れて無双する!
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。
ネット小説やファンタジー小説が好きな少年、洲河 慱(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りに雑談をしていると突然魔法陣が現れて光に包まれて…
幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は【勇者】【賢者】【剣聖】【聖女】という素晴らしいジョブを手に入れたけど、僕はそれ以上のジョブと多彩なスキルを手に入れた。
王宮からは、過去の勇者パーティと同じジョブを持つ幼馴染達が世界を救うのが掟と言われた。
なら僕は、夢にまで見たこの異世界で好きに生きる事を選び、幼馴染達とは別に行動する事に決めた。
自分のジョブとスキルを駆使して無双する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?」で、慱が本来の力を手に入れた場合のもう1つのパラレルストーリー。
11月14日にHOT男性向け1位になりました。
応援、ありがとうございます!
転移したらダンジョンの下層だった
Gai
ファンタジー
交通事故で死んでしまった坂崎総助は本来なら自分が生きていた世界とは別世界の一般家庭に転生できるはずだったが神側の都合により異世界にあるダンジョンの下層に飛ばされることになった。
もちろん総助を転生させる転生神は出来る限りの援助をした。
そして総助は援助を受け取るとダンジョンの下層に転移してそこからとりあえずダンジョンを冒険して地上を目指すといった物語です。
【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。
まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」
そう、第二王子に言われました。
そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…!
でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!?
☆★☆★
全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。
読んでいただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる