スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

文字の大きさ
741 / 1,361

七百四十話 今回も?

しおりを挟む
(これは……もしかしなくても、俺のせい……なのか?)

アッシュはアラッドが錬金術に触れているところを見て、影響を受けたのは間違いなかった。

元々幼い頃から戦闘に関して興味が薄かった部分もあるが……切っ掛けをつくってしまったのは、アラッドの影響があったと言えなくもない。

(そうだよな…………俺も、我ながら貴族の枠から離れた行動をしてきたもんな…………貴族の令息、っていうのを考えれば、模範的な兄ではなかったよな)

これまで基本的に生きたいように生きてきたアラッドだが、しっかりと貴族の令息らしくない生き方をして来たという自覚はある。

当主であるフールは、基本的に当主としての仕事に追われており、母親であるエリアは幼い頃こそ構って構って構っていたが、アッシュは割とそれを嫌がる時期が早かった。

そのため……自然と家族の中で関わる時間が多くなるのが、当時学園に通っていなかったアラッドということになる。

(俺のせい、か……いや、でもあれか。貴族の枠から外れた生き方をしてきた身としては、他の兄弟にそれらしい生き方を求めるのは卑怯というか、俺にそんな事を求める資格はない、か……)

全責任とまではいかずとも、貴族の枠からはかなり外れていた背中を見せ続け、尚且つきっちりそのまま冒険者という道に進んだ。

そんな自分が、これ以上弟の人生にあれこれなるべく正しい方に……なんて言うのはおこがましい、と思うしかないと判断。

(そうだな、珍しい存在ではあると思うが……このまま正真正銘の独身貴族になったとしても、アッシュがそれまでの人生を悔いることはないだろう)

どんな時でも楽しそうに錬金術に没頭し続ける。
そんな光景が容易に想像出来てしまい……良いのか悪いのか判断に困る。

(でも、そうなると……人生、何が起こるか解らないものだ。仮にアッシュに気になる人が現れるかもしれない。そうなると……真面目に、どんな女性なのか気になるな)

この先の人生、もしかしたらお前にも好きな人ができるかもしれないだろ。

そんな問いに対して、アッシュは……ノーとは、そんな確率はゼロパーセントだとは答えない。
それが研究者、生産者の性とも言える回答。


祝勝会で夕食を食べ終え、大浴場で疲れを癒した後も……ベランダで夜風に当たりながら、ずっと同じことを考え続けていた。

「何を考えてるんだい、アラッド」

友人であるスティームは、アラッドが悩みはしないが、何かを考え続けていることには勘付いてた。

「別に大したことは考えてないぞ。ただ……仮に、この先アッシュが気になる女性が現れたとして、その女性はいったいどういった人なんだろうなって考えてたんだ」

そんな事を数時間も考え続けていたのか? とはツッコまなかった。

先程のやり取りで、スティームも改めてアッシュの女性に対する興味のなさを思い知らされたため、寧ろ興味が湧くトークテーマである。

「アッシュ君が興味を……異性として、恋愛的な意味で興味を持つ女性、ってことだよね」

「そういう事だ」

「……錬金術に関して知識がある。それは大前提だよね」

「最低限、錬金術という存在を見下すことはなく、ある程度興味を持っている人なら、とりあえずラインにはのるかもな」

錬金術。
やはりここは外せないポイントである。

「…………でも、アッシュ君って外見的な好みがないんだもんね」

「隠してるという可能性は捨てきれないが、今のところそういった様子は一切ないからな」

「そうなると……内面に目を向けるしかない、かな」

「優しい、なんてこの世で最もくだらないところは考えてないだろうな」

アラッドらしからぬの言葉に、ギョッとした表情を浮かべるスティーム。

「………………」

「ん? どうしたスティーム。なんて顔してるんだ」

「あ、いや……その、なんて言うか、アラッドにしては珍しい考え、だと思ってさ」

「あぁ、そういう事か。俺がくだらないって言ったのは、個人が好みのタイプを口にする上での話だ。優しい人、なんてさすがに抽象的過ぎると思わないか?」

「そ、そういう事だったんだね。う、うん。そういう意味でなら……そう、だね。解らなくもない、かな?」

あまり合コンなどの経験がないスティームとしては、半分程しか理解出来ない感覚だった。

アラッドも……前世ではまだ大学生になっておらず、死ぬまでそれらしいモテ期もなかった為、恋愛的な意味での人間の黒さに関しては身を持っては体験していないが……知識としては頭に入っていた。

そしてそれは……人それぞれという便利な言葉を使ってしまうが、決して言い過ぎとも言えない。

「でもそうなると……あまり内面も気にしない、のかな」

「ダメな方向にいってなければ、そこまで気にしないのかもしれないな……基本的に異性に興味がなくとも、メンヘラとかも無理そうだな」

「め、メンヘラ?」

「あぁ……えっとな………………好きな人を束縛したがる、人?」

ネットで生まれたネットスラングであるため、スティームが知らないのも無理はなく、アラッドの説明を聞いても……スティームが首を傾げてしまうのも無理はない。
しおりを挟む
感想 480

あなたにおすすめの小説

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約

Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。 腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。 地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。 彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。 「死んで、私の影になれ」 彼女は知っていた。 この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。 そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。 これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。

凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」 「それは良いですわね、勇者様!」 勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。 隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。 毎日の暴行。 さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。 最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。 今までの行いを、後悔させてあげる--

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

処理中です...